盆に沈む島・周防大島の風物詩。生きとし生けるものと故人とが出会う、幽玄な夏祭り/周防大島花火大会(山口県周防大島町)【PR】

「盆に沈む島」
島の人がときどき冗談めかして、そう言うことがあります。

島の名は、周防大島。かつて6万とも7万とも言われた人口は、今や約1万7,000人。人口減少は例に漏れず深刻ですが、夏の夜の夢のように人口が一気にふくれあがる日があります。
その日とは、夏の一大イベント『周防大島花火大会』開催日。帰省客、観光客、さらに亡くなった人が一堂に会すため、本当に島が沈むんじゃないかと思うぐらいたくさんの人が押し寄せます。

精霊流しからはじまる花火大会

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花火大会当日。会場の入り口には、『精霊流し』の大きな看板。地元の人が近くのお寺に立ち寄っては、手に紙の箱を携えて海へと向かいます。

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『精霊流し』とは、お盆に帰ってきた先祖の霊をあの世に送り出す日本古来の儀式。海辺に設けられた受付で線香をあげると、紙の箱『精霊』に火が灯され、漁船いっぱいに積まれていきます。

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少し沖へ進んだ船から、精霊が一つまた一つと、海へ放たれていきます。

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ゆらゆらゆらゆら……先祖の霊をのせた小舟が、波のない真っ黒な海を漂います。幽玄の美、という言葉を知っていても、使いたくなったのは初めてです。

盆踊り越しに打ち上がる死者への送り火

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人ごみをかき分けかき分け進むと、そこは盆踊り会場。島の人たちが代わる代わる踊りの輪をかたち作ります。日本に生まれてきて良かった〜としみじみ眺めていると、唐突にド〜ン!花火大会がはじまりました!!

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島の人たちも踊りをやめて、食い入るように夜空に咲く花火を眺めます。

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海に2,000灯近くの精霊が浮かぶなか、約5,000発の花火が夏の夜空を彩ります。この花火もまた故人をあの世へ送り出す『送り火』でもあるんです。

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最後の花火が夜空に散ると、一斉に帰りはじめるお客さん。
と同時に、ひっそり再開される盆踊り。じつは、ここから島に古くから受け継がれる盆踊りが始まります。静かになった会場に、響き渡る太鼓の音。どうしてか涙が込み上げてきます。

精霊流しに盆踊りに花火、どれも死者に向けてのハナムケ。賑やかな祭りのようでいてどこか切ない島の夏祭りに、日本の原風景を見た気がしました。


●周防大島花火大会(すおうおおしまはなびたいかい)
開催日/2017年8月中旬
場所/東安下庄一帯(山口県大島郡周防大島町安下庄)
花火打上時間/20:15~20:50
打ち上げ玉数/約5,000発
駐車場/会場周辺に約1300台
アクセス/JR山陽本線大畠駅からバスで50分、山陽自動車道玖珂ICから車で50分
問合せ先/0820-77-0242(周防大島花火大会実行委員会)
http://www.suouoshima.com/event0709.html

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この記事を取材したフォトライター

藤本 雅史

藤本 雅史

藤本 雅史/フォトライター 東京の広告会社と編集プロダクションを経て、3.11をきっかけにルーツである山口県に移住。 はじめは地域おこしと意気込むも、人口約100人の島のばあちゃんから聞いた「無人島になっても、それが自然なことならええ。またいつか人が住みつくときが来ようね」の一言に感銘を受け、肩の力が抜ける。 以来、雑誌や広告の企画・編集・執筆と少しの農業を生業としながら、大きなスケールの小さな声を求めて瀬戸内をあるく日々を過ごす。

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