数年前から、海外で熱視線を浴びる『禅』(ZEN)。国内でも、写経や坐禅、禅画など禅体験がちょっとしたブームになっています。
広島県福山市に、禅を気軽に体験できるスポットがオープンしたと聞き、さっそく行ってきました!
国内外が注目!『禅と庭のミュージアム』
福山市中心部から車を約20分走らせると、目的地の『神勝寺 禅と庭のミュージアム』にたどり着きます。
2016年9月のオープン以来、国内外から取材クルーが相次いで訪れる福山の新星スポットは、1965年に建立された約7万坪の『天心山 神勝寺』が舞台です。
国際的な修行道場を中核に、伽藍や茶室など新旧の名建築を有する禅寺。もっと身近に感じてもらおうと、ミュージアムを切り口に大改修したそう。
その目玉が、全長46メートルのアートパビリオン『洸庭(こうてい)』。彫刻家の名和晃平氏率いるクリエイター集団『SANDWICH』(京都府)の作品で、伝統的なこけら葺きの外観が、重厚な存在感を放っています。
手前に広がるのは、作庭家の中根史郎氏による日本庭園。斬新なパビリオンと、意匠をこらした和の空間のコントラストがとってもクール!
専用スロープを渡って、船をイメージしたパビリオンの内部へ。
待ち受けるのは、これまで経験したことがない漆黒の世界。目を凝らすと、光を帯びたさざ波が浮かび上がってきます。
研ぎ澄まされていく五感。この体験で見えてくるのは、じぶん自身の心なのかも。
もう一つの目玉は、江戸時代の臨済宗中興の祖『白隠』の常設展です。
根強い人気の『白隠』。国内有数のコレクションを誇る『神勝寺』がミュージアムの開館を機に、所蔵品の中から入れ替え制で20~30点を展示しています。
躍動感溢れる白隠の墨跡やダルマの禅画が、何の隔てもなく展示。筆を運ぶ白隠の息遣いが今にも聞こえてきそう。
自然あふれるロケーションも楽しんで!
山の中にある『禅と庭のミュージアム』。敷地内は豊かな自然を借景とし、異なる趣の絶景があちこちに。
紅葉ライトアップは11月の土・日曜限定。幽玄な庭園を散策できますよ。
それでは、イチオシのビュースポットをお教えしましょう!
それがこの、周囲の景色を取り込んだお風呂。
『浴室』は禅寺にとって、心と体の垢を落とす大切な伽藍。総ケヤキの湯船に張られたのはラドンを含むトロリとした天然温泉で、入浴料800円(貸しタオル付き)を払えばどなたでも入浴できるんです。紅葉シーズンの真っ赤な湯船に浸かってみたい!
禅体験もお土産もおもてなしの極致
このミュージアムは、写経や坐禅、お茶など、禅体験もバリエーション豊か。茶室『秀路軒』にお邪魔して一服しました。
美意識を貫いた和室で、お茶と和菓子のセットをいただきました。驚いたのは、手作りという和菓子のクオリティ。上品な甘さと、口溶けの良い香り豊かな餡。至福感のヒミツは、こしらえるスタッフさんの真心に違いない。限定10個で、『秀路軒』だけの味わいです。
お土産売り場も必見!フランスの人気パティシエ、ピエール・エルメと、名和晃平氏(SANDWICH)がコラボした焼き菓子セットをはじめ、味、デザインなどこだわり抜いたオリジナル商品が揃っています。
3時間の滞在は、あっという間に過ぎていきました。庭の手入れ、食事、接客すべてにおいて一流を極めた『禅と庭のミュージアム』。それは、禅寺で働くひとたちのおもてなしの心映え。身も心も清められ、一歩敷地の外に出たとき世界が少し変わって見えました。
神勝寺 禅と庭のミュージアム
住所/広島県福山市沼隈町大字上山南91
拝観時間/9:00~17:00(最終受付16:30)
※11月週末(土・日曜)は18時~21時までライトアップ予定
拝観料/大人1200円、高校生以上900円、中学生500円、小学生以下無料
※各種体験は別途料金が必要(要問合せ)
電話/084-988-1111
http://szmg.jp
瀬戸内Finderフォトライター ハタノエリ
撮影:Yusuke Minami
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この記事を取材したフォトライター
ハタノ エリ
1978年宮崎県生まれ。愛媛県松山市在住。 新聞記者のちフリーライター。 日常にも、おもてなしの心があふれる愛媛。2年前、この地を離れても忘れられず、2017年春、戻ってきました!訪れたらきっと、大好きになる。そんな確信があるからこそ、誰かの「愛媛行き」を、グッと後押しする記事を書いていきたい。
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