全国でも珍しい紙漉きの里『井本紙漉場』
標高約400m。全国的に最も標高の高い紙漉き場のひとつ、徳島県那賀町拝宮(はいぎゅう)地区。かつては質の高い障子紙の産地でした。その歴史を今に伝える『井本紙漉場』はくねくねと山道を登った先にあります。築60年の民家を改修し、紙漉きの体験施設として整備されました。
紙漉き体験は各地で行われていますが、楮刈から和紙の乾燥まで、一通りの工程を体験できる場所は全国的にも珍しく、『井本紙漉場』は料金もリーズナブルなので、手漉き和紙に憧れる人にとって、ここはまさに穴場です!
本格的に体験したい人は1月がおすすめ!
和紙の原料にはミツマタや雁皮などが使われますが、拝宮地区では良質な楮(こうぞ)が採れたことから、楮を用います。私たちがよく目にする簾桁(すけた)を使って紙を漉くまでには約10もの工程があり、紙を漉くのはほぼ最終段階。それまでの工程にこそ、紙漉きの醍醐味が詰まっている…といっても過言ではありません!
本格的に和紙のことを知りたい人には1月の楮刈りもおすすめ。年に1度の楮刈りは年明け、厳しい寒さの中、行われます。刈り取った楮は釜で蒸し、表面の黒皮を剥ぎ、乾燥させた後、一晩水につけて和紙の元となる白皮を作ります。昔ながらのやり方を辿りながら、先人の知恵や技術に思いを馳せれば、紙一枚といえど、宝物のような尊さを感じることと思います。
楮刈りのシーズン以外は、包丁で黒皮と甘皮を削り取って白皮を作る作業から体験させてもらえるので、寒さが苦手な方は夏場にどうぞ。裏にはプライベートビーチならぬ、プライベートな渕が。山の水は冷たくて気持ちがいいので、子供も大人も水遊びが楽しめます。
世界に一枚のオリジナル和紙を作ろう!
簡単そうに見えて意外と難しい紙漉き。子供でも扱いやすいよう、A4サイズの紙が漉けるコンパクトな簾桁(すけた)を使って、1回の体験で10枚程度の紙を漉きます。
近くに咲いている野花や葉を一緒に漉き込んで、自分だけのオリジナルの和紙を作ってみては?
和紙の使い道は自由ですが、『井本紙漉場』では漉いた紙で手紙を書くことをおすすめしているのだとか。静かな山里で日本の田舎体験、してみませんか?
井本紙漉場
所在地:徳島県那賀郡那賀町拝宮字井ノ元93-1
TEL:080-6389-9571(NPO法人阿波農村舞台の会)
営業時間:予約があったときのみ営業
料金:1日コース:1名4000円 ※近くにコンビニなどはないので、昼食などは持参を。
3名以上から受付。予約は希望日の1週間前までに。
参考ホームページ
http://www.nousonbutai.com/imoto-kamisukiba/index.html/
瀬戸内Finderフォトライター 飛田久美子
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この記事を取材したフォトライター
飛田 久美仔
飛田久美仔(とびたくみこ) 1973年生まれ。 徳島県在住。 徳島県の出版社で10年以上勤務し、月刊誌の編集長を務める傍ら、MOOKや企業のパンフレット、HPなどの制作に携わる。2014年12月よりフリーのライター兼編集者に。美味しいもの、楽しいこと、新しいものはいち早く知りたいタイプ。自分史や自費出版の編集、電子書籍なども気軽にご相談を! 2015年4月より地域おこし協力隊として、移住対策と地域資源の活用がライフワーク。
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