山中に佇む徳島屈指の古刹・太龍寺を散策
ここ数年、若者や外国人の間でも人気のお遍路。徳島県は『発心の道場』といわれるお遍路の第一ステージということもあって、徒歩で巡礼する『歩き遍路』もよく見かけます。そんな歩き遍路にとって『へんろころがし』と呼ばれる難所のひとつ、太龍寺。延暦12年(793年)に開基した徳島屈指の古刹は、観光で訪れる人も多いのですが、駐車場から山門、山門から本堂まで坂道が続き、徒歩で20分くらいかかります。
そこでおすすめなのが、太龍寺ロープウェイ! 1992年より運行を開始し、ロープウェイのおかげで誰もが楽に参拝できるようになりました。
西日本最長!ロープウェイが楽しすぎ
太龍寺ロープウェイは全長2775m。那賀郡那賀町の『道の駅鷲の里』内にロープウェイの発着地があります。太龍寺の山頂駅舎までは約10分。鉄塔支柱の大きさは世界一!標高600mの山を越えていくので、那賀川から剣山山系、紀伊水道、橘湾と壮大な景色とともに空中散歩を満喫できます。
ゴンドラに同乗した車掌さんがガイド役も務め、ロープフェイの技術や地域の歴史など見どころを丁寧に解説してくれます。かつてこの辺りにはオオカミが住んでいて、空海も修行中、オオカミの遠吠えを耳にしたという逸話から5頭のオオカミの郡像を山犬ヶ嶽で見ることができます。
皇室や藩主も篤く信仰したパワースポット
太龍寺のご本尊は虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)。福、徳、知恵を大空の如く無限に授けてくれる仏様で、うし年、とら年生まれの守り本尊です。秘仏ですが年に一度だけ1月12日の初会式の時に開扉し、直接拝むことができます。
本堂から600mほど離れたところにある舎心ヶ嶽は、19歳の空海こと弘法大師が虚空蔵菩薩のご真言を1日1万回、100日間唱えるという虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)という厳しい修行を成し遂げた場所。この修行により、超人的な記憶力と判断力を身に着けた空海は、唐へ渡り、様々な学問を短期間で習得。のちに高野山に真言密教の根本道場を開きました。その場所には今、空海のブロンズ像が鎮座しています。
太龍寺が『西の高野』といわれるのは、伽藍(がらん)の荘厳な雰囲気、樹齢数百年の巨杉や大檜に囲まれた境内、大師堂の配置が御廟の橋、拝殿、御廟と高野山奥の院と同じであることに由来します。
火災、落雷などの災害により幾度となく存続が危ぶまれるも、太龍寺が今日に続いているのは、皇室や藩主から篤く信仰されたことに加え、この山に不思議な力が宿っているからかもしれません。納経所の隣の持仏堂の廊下には、太龍寺の守り神といわれる迫力ある龍天井絵を見ることができます。
この他にも徳島では最大最古といわれる仁王像、大師堂に彫刻された『竹林の七賢人』、彫刻家・流政之氏による『山さきもり』など見どころが多いのも魅力。歩くほどに清々しい気分になり、心身ともにリフレッシュできるおすすめスポットです。
四国霊場第二十一番 舎心山常住院 太龍寺
所在地:徳島県阿南市加茂町龍山2
TEL:0884-62-2021
太龍寺ロープウェイ
所在地:徳島県那賀郡那賀町和食郷字田野76
最寄り駅/JR桑野駅
TEL :0884‐62‐3100
営業時間:3月~11月 7:20~17:00(上り・下り最終)
12月~2月 8:00~17:00(上り・下り最終)
※定期20分間隔
料金:大人 往復2470円(片道1300円)
中・高生 往復1800円(片道980円)
小人 往復1200円(片道650円)
ホームページ
http://www.shikoku-cable.co.jp/tairyuji/
瀬戸内Finderフォトライター 飛田久美子
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この記事を取材したフォトライター
飛田 久美仔
飛田久美仔(とびたくみこ) 1973年生まれ。 徳島県在住。 徳島県の出版社で10年以上勤務し、月刊誌の編集長を務める傍ら、MOOKや企業のパンフレット、HPなどの制作に携わる。2014年12月よりフリーのライター兼編集者に。美味しいもの、楽しいこと、新しいものはいち早く知りたいタイプ。自分史や自費出版の編集、電子書籍なども気軽にご相談を! 2015年4月より地域おこし協力隊として、移住対策と地域資源の活用がライフワーク。
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