みなさん『民芸』をご存知でしょうか?
民芸とは『民衆的工芸』の略称で、織物、竹細工、陶芸、木工など、かつては山村の農閑期の手仕事として、岡山でも盛んに行われてきました。
しかし、日本の経済発展とともに、暮らしの形は変わり、民芸は廃れてしまいました。
その『民芸』を復興しようという取り組みが岡山県で行われています。
それが今回ご紹介する『民芸新時代』。空き家となった古民家でそのままになっていた漆椀のリプロダクトなどを通して、地域の可能性を提案するプロジェクトです。
眠っていた漆椀に新しい命を吹き込む
こちらが民芸新時代の代表作『古民家の漆椀』。
空き家の活用にと古民家を清掃した際、たくさんの漆器が出てきたことが活動のはじまりでした。
時間の流れと共に山村の古民家は主を失い、民芸の器たちも使われることはなくなってしまいました。
忘れさられつつある、かつての暮らしと道具。それを昔のものと捨ててしまうのではなく、その価値を再評価し、今日的な姿で蘇らせたのがこの『古民家の漆椀』。
古民家に眠っていた漆椀を大胆にカッティングすることで、新しくも懐かしい商品へと生まれ変わらせました。
色は赤と黒。サイズはそれぞれ大、中、小の3つ。
大量生産の製品とは違いサイズも形も様々。カッティングもその器に合わせて行っているので全てが一点ものです。
古民家の漆椀は、民芸新時代のHPの他、難波邸、無印良品岡山ロッツ内の小商いスペース『Open MUJI』などで販売されています。
器との出会いも一期一会。直感を信じて自分だけのお気に入りを探してみてください。
田舎で人おこし
民芸新時代の企画とデザインを担当したのは、プロダクトデザイナーの能登大次さんとテキスタイルデザイナーの宇治侑香さん。
製造は山村のシェアハウスで共同生活をする若者たちが行っています。
このシェアハウスで暮らすのは、引きこもりや不登校など、様々な問題・悩みを抱えた現代の若者たちです。
彼らは、田舎での共同生活をし、民芸新時代の活動のほか、耕作放棄地を耕したり、田植えをしたり、様々な田舎の仕事を体験しながら、社会復帰を目指しています。
漆椀のみでなく、山村の暮らしは、民芸新時代によって現代の悩める若者たちの暮らしとして生まれ変わりました。
古民家、民芸、農作業、かつての山村の風景は、徐々に失われるつつあります。
田舎での暮らしは、一見何もないように見えるかもしれません。けれど、そこにはその土地の人々が暮らし紡いだ歴史と資源が残されています。
『古民家の漆椀』は、かつての木地師と現代の若者との永い時間を超えたコラボーレーション。手にすることで、地域や日本の可能性を感じることができる。かもしれません。
民芸新時代
HP:http://shop.new-mingei.com/
瀬戸内Finderフォトライター 浅井克俊/アサイアサミ(ココホレジャパン)
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ココホレジャパン
ココホレジャパンは、岡山を拠点に全国で「地域の魅力を広告する」インディペンデントでオルタナティブな広告会社です。 雑誌「TURNS」の企画制作、岡山を代表する魚「ままかり」の可能性を探すプロジェクト=「ままかRe:Project」の主催のほか、CMやグラフィック制作など、広告屋さんぽいこともたまにしています。 大都市のモノマネ・劣化版ではない、その地域・企業だけの魅力を掘り起こし、デザイン・編集して、「これ、いいでしょ!」と伝えていく。 それが私たちの仕事です。 ココホレジャパン http://kkhr.jp
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