子供から大人まで、誰もが知る昔ばなし『桃太郎』。
全国各地様々な場所に残る桃太郎伝説ですが、なんと香川にも桃太郎伝説の里があるんです。
桃太郎伝説の里『鬼無』
『桃太郎』とは、桃から生まれた男の子が犬・猿・キジを連れて鬼退治に行く、という日本で昔から愛されてきたおとぎ話。
そんな桃太郎の伝説がたくさん存在しているのが、香川の鬼無(きなし)町。そう、『鬼』が『無(なし)』と書くのです。
土地勘がある方はお気づきかもしれませんが、香川には更に『鬼ヶ島』の別名を持つ女木島があります。早速信憑性がある予感!
稚武彦命を祀った『熊野権現桃太郎神社』
高松市鬼無町にあるこちらの神社の名前は『熊野権現桃太郎神社』。
建設された年は不明ですが、ゆうに築200年は超える古い神社とのこと。
現在も子どもたちの健やかな成長を願って、大切に守られています。
そして、この神社に祀られているのが『稚武彦命(わかたけひこのみこと)』。
この人物が実は…
桃太郎のモデルは『稚武彦命』
香川版桃太郎は、孝霊天皇第八の皇子・稚武彦命がモデルとされています。
船に乗ってやってきた稚武彦命は、川で洗濯をしていたおばあさんと出会いそのご縁でおじいさんおばあさんの養子になったとされています(諸説あり)。
そして、当時、海を渡ってやってくる鬼(海賊)に苦しめられていた住民に頼まれ、仲間を募り退治をすることに。
その鬼(海賊)が根城にしていたのが、先述した『女木島』。
鬼を退治した後、鬼がいなくなった場所、という意味でこの土地一帯の名前が『鬼無』になったんですね。
社殿内には、桃太郎のお話を描いた絵や大凧がずらっと並んでいます。
こちらは普段公開されていないため、お祭りや行事のタイミングであれば見ることができるそう。
日本でここだけ!桃太郎ファミリーの墓
そしてこちらが桃太郎伝説を裏付ける大きな証拠の一つ!境内にある、桃太郎のお墓と石碑です。
左の石碑には、『桃太郎の遺跡』『桃太郎 爺婆犬猿雉之墓』とあります。
…え?桃太郎だけじゃない?!右を見てみると…

左から、『犬』、『猿』、一つ飛んで『雉』と書かれた木札がある小さなお墓が。
実は鬼無町の近くには、犬島(岡山県)、猿王(綾川町)、雉ヶ谷(鬼無町)といった島や地名があり、各地出身の勇士が稚武彦命と共に鬼ヶ島(女木島)に鬼退治に向かったという言い伝えがあるのだとか。
なるほど!少々家来たちの扱いがざっとしてはいますが、確かにしっかりした証拠が揃っています、香川の桃太郎。
真偽はさておき、このような名前がついた地名が周囲にあるのは事実なんです。
それにしても、こんなところに幼少時から親しんできた英雄たちが眠っていたとは驚きです!
奥にはなんとおじいさんとおばあさんのお墓もありますよ。
『桃太郎』登場人物全員のお墓があるのは国内でも唯一ここ『熊野権現桃太郎神社』だけだとか。これはレアです!
縁結びの神でもあるようなので、お墓兼パワースポットでもあるのでしょうか?
鬼が眠る『鬼ヶ塚』も
「登場人物全員?いや鬼がいないじゃないか」とお思いのあなたはこちらにも足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
神社から歩いて行ける場所にあるのが、この『鬼ヶ塚』。
こちらは女木島からお礼参りに来た残党たちを埋めたとされる塚で、稚武彦命たちはこの近くの場所で残党を返り討ちにしたそうです。
まだ出てくるかという物的証拠…なんとおばあさんが洗濯をしていた川もすぐ近くに残っているのです。それがこの『本津川』。
『おばあさんの洗濯場』と看板も立っていますね。
ここでおばあさんは毎日洗濯をしていたのか…桃太郎がどんぶらこ、どんぶらこと船に乗ってやって来た場所なのか…とおとぎ話の世界に一人思いを馳せます。
他にも沢山!桃太郎ゆかりの場所
実はこの他にも、おじいさんとおばあさんが住んでいた『大古家』、おじいさんが柴刈りに行った『柴山』(現在は跡地)、おじいさんとおばあさんがお参りに行った『子授け地蔵』など多くの興味深いスポットがたくさん残っている鬼無。
桃太郎伝説の里を巡り、ロマンを感じてみてはいかがでしょうか。
熊野権現桃太郎神社
住所/香川県高松市鬼無町鬼無848番地
最寄駅/JR予讃線鬼無駅
瀬戸内Finderフォトライター 山田芽実
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この記事を取材したフォトライター
山田 芽実
香川生まれ。 高校卒業後、米国・京都・香川・東ティモールを経てまた香川在住。 地元のすてきさを改めて発見中。 絵を描いたり写真を撮ったりしています。
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