徳島県の南東部を流れる那賀川の中流域に点在する10の町から構成される加茂谷。
近年では農業や観光などのPRにも力を入れており、移住者からも注目される地域の一つです。
そんな美しい山々に代表される雄大な自然、お接待の精神にあふれる人々の多い加茂谷で、地元の人々を中心に人気を集めているのが、和田さん夫婦が営む『和み工房 しげぱん』です。
移住者夫婦が営む加茂谷唯一のベーカリー
『和み工房 しげぱん』は、加茂谷を流れる那賀川の堤防沿いにある細い通りにあります。
友人たちの手を借りながら古民家を改装した店舗がオープンしたのは2016年11月のこと。
壁の漆喰を塗ったり、床の板を張ったり、一つずつ自分たちの手で仕上げていったそうです。
埼玉県で暮らしていた和田さん夫妻が徳島県の加茂谷に引っ越してきたのは2012年でした。
東日本大震災をきっかけに移住を決め、それまでの電気工事の仕事を辞めてパン職人の道へ。
「せっかく知らない土地で暮らす機会を得たのに、以前と同じ仕事はつまらないと思って。そこで選んだのが家族全員が好きなパンをつくること。とにかくやってみようと決心しました」
毎日、徳島市に通ってパンづくりを教わりながら、自分の店を持つ日を夢見ていたといいます。
厳選された材料でつくるこだわりのパン
『和み工房 しげぱん』に並ぶパンは、どれも和田さんが厳選した材料を使用しています。
基本の素材となる強力粉は九州産、ライ麦の全粒粉は北海道産。
バターは高千穂発酵バター、卵は小松島で平飼いされている鶏が生んだもの、塩は鳴門でつくられたものを選ぶというこだわり。
ほかにも、阿波美豚の無添加ウィンナーや地元で採れた蜂蜜など、安心できる材料ばかりです。
季節に応じて約20品目のパンが店頭に並べられますが、特にオススメは定番の『りゅすてぃっく』と『くるみれーずん』、それから『季節ぱん(ベリーベーグル)』とのこと。
手に取ってみると、みっしりと重く、口の中で噛みしめる度、素材の味がじんわりと広がっていきます。
亀の形をしたメロンパンの『かめろん』、マクロビオティックでチョコレートの代わりに使われる甘いキャロブ(いなご豆)のチップを練り込んだ『きゃめろん』などもよく売れているそうです。
また、旬の食材を使った『季節ぱん』をつくっているのも『和み工房 しげぱん』の特長の一つ。
8月までは加茂谷(十八女町)の無農薬夏みかんを用いた『夏みかんベーグル』でしたが、9月からはブルーベリー、クランベリー、ラズベリーという3種類のベリーを贅沢に使った『ベリーベーグル』と『ペッパーチーズベーグル』が店頭を飾っています。
毎月のように新作が生まれるため、訪れるお客さんとも「このパンは新作?」と会話が弾むそう。
自然豊かな加茂谷を満喫するお供に
「家族みんなが囲む食卓の中心にあるパンをつくりたい」という思いでパンを焼く和田さん。
今後は「より加茂谷という地域で愛されるベーカリーになりたい」と笑顔で話してくれました。
徳島市などからも足しげく通うファンも出てきた古民家ベーカリー『和み工房 しげぱん』。
ここで買ったおいしいパンをお弁当やおやつに、加茂谷の豊かな自然の中を散策してみては?
和み工房 しげぱん
住所/徳島県阿南市吉井町地神南6-2
営業時間/火水金土10:00~18:00(売り切れ次第終了)※イベントの出店等で臨時休業あり
定休日/月・木・日曜日
電話/0884-25-0388
https://www.shige-pan.com
瀬戸内Finderフォトライター 重藤貴志
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この記事を取材したフォトライター
重藤 貴志
徳島で暮らしているインタヴュアー/ライター/コピーライターです。屋号は“Signature”。新聞広告をはじめ、書籍や雑誌、ウェブサイトなど、幅広い媒体で仕事をしています。生まれ育ちは東京ですが、縁あって徳島に移り住みました。県外出身者の視点から見た徳島の魅力を中心に、瀬戸内のさまざまな情報を紹介していきます。 Twitter https://twitter.com/Siqoqtaq
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