連載!まどろみ小路を奥へ奥へ。尾道町屋散策#3『紙片』で見つける特別なもの/本と音楽 紙片(広島県尾道市 尾道商店街)

全長約40メートルの通り土間

かつて商店街に多く見られたという尾道町屋。その通り土間を再現した『まどろみ小路』を奥へと歩き、最後に出会ったのは、とても静かな本屋さんでした。
尾道町屋の小路をたどる連載、最終回です!

本と音楽 『紙片』

ゲストハウスあなごのねどこ』を後にして、通り土間の『まどろみ小路』から奥庭へ。
その先のくぐり門を抜ければ、小路の終着点、『本と音楽 紙片』がたたずんでいます。

紙片はかつて離れだった建物をリノベーションした場所。白いカーテンの中へ入りレジの左手に進むと、本とCDが陳列された奥行きあるスペースが。

「あの人はきっとこんな本が好き」。
店主の寺岡圭介さんが、たとえば訪れるお客さんや友人など読む人のことを思いながらセレクトした詩や小説、エッセイ、絵本などが並びます。

「商店街から一転して静か」

読書の邪魔にならない、でも気が付くときれいな音が聞こえる…。聴き心地良いBGMは店内で販売されているCDの楽曲。気になるものはもちろん試聴も出来ます。

通り土間を通ってお店にたどりつく魅力を「商店街から一転して静かなこと」と教えてくれた寺岡さん。商店街、そして日常の喧騒から離れて本や音楽に向き合う時間を好んでか、電車を乗り継ぎ訪れるお客さんも。じっくりと選び、素敵な本が見つかったと笑顔で帰っていきました。

音楽集『紙片』

紙片に並ぶものの中で特におすすめしたいのが2枚組の音楽集『紙片(税込3000円)』。
広島県向島(むかいしま)在住のクラリネット奏者瀬戸信行など、寺岡さんが一組一組依頼した19アーティストが、店名にちなんだ『紙片』をテーマに全21曲を提供しました。

紙片を瓶に詰めて

店内の壁を思わせる柔らかなグレーの小箱を開けると、CDケースの表紙に小さな瓶が。
中には、寺岡さんが紙をコーヒーで染めて切り、一枚一枚詰めていった『紙片』が入っています。

ブックレットには詩人・池田綾乃の詩も。作品集のために書き下ろされた100篇のうち、10篇10パターンがアトランダムにセレクトされ、それぞれのCDに収録されています。ちなみにこの詩も一枚一枚寺岡さんが貼ったもの。どこまでも丁寧。

尾道町屋、通り土間の奥にあるもの

「店そのものが入っているような作品集が出来たね、と言ってもらえました」と寺岡さん。
クラリネットやピアノ、トロンボーン、そして美しいボーカル。家に戻り音楽集を流していると、紙片での静かな時間がよみがえります。

港町として栄えてきた尾道商店街には、かつて店舗から住居、奥庭へと屋内を貫く、長い『通り土間』で結ばれた尾道町屋が並んでいました。
カフェからゲストハウス、そして本屋へ。
尾道町屋を再現した『まどろみ小路』を奥へとたどれば、メインストリート、そして日常の喧騒から離れた、特別な時間、特別な場所を見つけることができました。


本と音楽 紙片
住所/広島県尾道市土堂二丁目4-9 あなごのねどこの奥の庭
最寄り駅/JR尾道駅
営業時間/11:00〜19:00
休/木曜日
電話/なし
P/なし
https://shihen.theshop.jp

瀬戸内Finderフォトライター 増田 薫

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増田 薫

増田 薫

愛知県岡崎市出身。ライター/詩人。 詩とエッセイのワークショップ『ほし紡ぎ/https://hoshitsumugi.wordpress.com/』運営。 東京、神奈川での学生/社会人生活を経て、夫と息子、家族3人で四国へ引っ越し10年目になりました。愛媛県の島々を中心に、地元に息づくとっておきのスポットをひとつひとつ丁寧にレポートさせていただきます。 愛媛、素敵なところです。どうぞいらしてくださいね。

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