岡山県北の奥津温泉街で昭和2年に創業した『名泉鍵湯 奥津荘』。
著名な版画家、棟方志功も昭和20年代に居候し制作活動をしていたという名旅館です。
昭和初期の木造建築が、荘厳な雰囲気を醸し出しています。
ガラス扉を開け、真っ赤な絨毯が敷かれたロビーへ。
左手にフロント、右手には棟方志功の版画の衝立、その後ろに棟方志功がこの旅館で制作したという作品が展示されています。
まずは足元湧出の名泉『鍵湯』『立湯』へ
日帰り入浴もできる『奥津荘』の『鍵湯』『立湯』は全国約35,000軒の温泉施設のなかでも30軒ほどしかない足元湧出の温泉です。この温泉は元々、旅館横を流れる吉井川の川底に湧き出ていました。お湯が自噴する場所に浴槽が造られたため、湯量も多く自然の形も活かされています。
ロビーをぬけ、左手の階段を降りていきます。
『鍵湯』は江戸時代に津山藩初代藩主森忠政がこのお湯を気に入り、他人が入れないよう鍵をかけてしまったことからお殿様専用の『鍵湯』と言われるようになったそう。吉井川と一枚岩で繋がっています。
『立湯』は深いところで水深1.2mほど、大人が立ってちょうどの高さです。お湯に入ると底の花崗岩が凸凹しているのがわかります。42〜43度で湧出しているお湯は加温や循環の必要がなく、温泉に浸っていると体の芯からポカポカ。
日帰り入浴は、10:45~14:30(受付14:00まで)、『立湯』が女湯、『鍵湯』が男湯になります。
朝夜8時に男女入れ替わるので、宿泊すると『鍵湯』と『立湯』どちらにも入れますよ!
湯治としての宿泊も魅力
『奥津荘』の温泉は湯治場として利用されることも多いそうで、2〜3日で肌の状態や体調改善につながったという調査結果もあるそうです。
お部屋は全8部屋、畳敷きで落ち着いた和風の部屋が多いですが、洋室も完備。この部屋は目の前に吉井川が流れています。宿泊では季節のお料理もまた楽しみの一つですね。
特別な離れの別邸
こちらは離れの『聴泉亭』『清閒亭』。格式高い和室で、部屋に露天風呂がついています。しっぽりとしたくつろぎの時間を過ごしてくださいね。
奥津荘で制作活動をした棟方志功
版画家、棟方志功は1956年ベネツィア・ビエンナーレ国際美術展の版画部門で日本人として初の国際版画家大賞を受賞するなど日本を代表する版画家の一人です。
『奥津荘』に展示してある作品はこの場所で制作した貴重なものばかりです。
豊かな自然に囲まれた日本旅館で、歴史ある名泉に入り、美術品を鑑賞する。
ここにしかないとびきりの時間を味わってみてくださいね。
名泉鍵湯 奥津荘
住所/岡山県苫田郡鏡野町奥津48
電話/0868-52-0021
宿泊は12歳以上の方のみ
日帰り温泉
営業時間/10:45~14:30(最終受付14:00)
料金/中学生以上1,000円、3歳以上小学生以下500円
http://www.okutsuso.com
瀬戸内Finderフォトライター 沢坂千晶
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この記事を取材したフォトライター
沢坂 千晶
岡山県出身、2010年にUターンし在住。 元システムエンジニア。帰郷後はローカル情報誌の制作や、団体の広報、組織運営などに携わる。 佇んでしまうほど美しい姿を見せる自然と人情味あふれる優しい人たちが好き。 岡山と周辺の、いい場所、いい人、いいものをお伝えしていければと思っています。
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