自分だけの楽しみ方が見つかる。いくつもの顔がある看板のないお店/14g(徳島県徳島市)

年によって多少の変動はありますが、実はコーヒーやコーヒー飲料の消費額や消費量が多い徳島県。
たとえば、2015年の総務省統計局のデータでは、県民一人当たりのコーヒー消費額が全国7位、コーヒー飲料消費量が全国1位と、コーヒーの香りと味わいを愛する人がたくさんいるんです。
そのため、県内には昔ながらの喫茶店はもちろん、個性的なカフェが点在していますが、徳島市東新町のアーケード近くに建つヒラオカビルの2階でも、おいしいコーヒーを楽しむことができます。

訪れる人によって意味合いが変わるお店

階段を上がって左側、大きなガラスの横にある黒い扉が、その隠れ家のようなお店のエントランス。
どこを探しても記されてはいませんが、お店の名前は『14g(ワンフォージー)』といいます。
店名の由来は、1杯分に適したコーヒー豆の分量が、おおよそ14グラムであるというところから。
数字とアルファベットの組み合わせによる独特の響きが、どこか歌や小説のタイトルのようですね。

なぜ『14g』をカフェと書かないかといえば、訪れる人の目的によってガラッと意味合いが変わるため。
基本はパンとコーヒー、ワインのお店ですが、服や靴、雑貨などを扱うセレクトショップでもあります。
その上、月に何度かはイベントスペースやライブハウスへと変身することもめずらしくありません。
取材した日には絵本『赤い金魚と赤いとうがらし』の刊行を記念した原画展が開催されていました。

『14g』で販売されているのは、どのジャンルであれ、つくり手の思いが伝わってくる品物ばかり。
実際にお店で使われているコーヒーを淹れる道具や食器をはじめ、旅するように毎日を過ごすための手帳『トラベラーズノート』、履くほどに足に馴染んで手放せなくなるNAOTの靴などが並んでいます。
これらの品物を買いに来る人にとっては、まさに『14g』はセレクトショップであるといえそうです。

毎日でも飽きないコーヒーとパン

さまざまな顔を見せてくれる『14g』ですが、一番の売りは何といっても香り高いコーヒーです。
中深煎りの『アアルトブレンド』と深煎りの『アルヴァーブレンド』、ちょうど両者の中間ともいえる中深煎りと深煎りのミックスである『14gブレンド』がその日の朝に焙煎され、店頭まで届けられます。
いずれも注文を受けてから、一杯ずつハンドドリップで丁寧に淹れてくれるのが嬉しいところ。
もちろん、コーヒー豆も販売しているため、その味わいが気に入った方は徳島旅行のお土産にぜひ。

もしかしたら、コーヒーのブレンドにつけられた名前で、気がついた方もいらっしゃるかもしれません。
ここ『14g』は、徳島からおいしいコーヒーを全国へ届ける『aalto coffee(アアルトコーヒー)』のコーヒー焙煎人、庄野雄治さんが2014年の9月にスタートした2軒目のお店です。
当時のブログには「華美でも過剰でもない」「来たい人だけが来てくれるように」と綴られていましたが、そんな庄野さんの思いがすみずみまで反映され、特別な空間に成長してきていると感じました。
店長代理の丹下雄二朗さんも「ずっと流動的というか、少しずつ変わっていくお店ですね」と語ります。

また、コーヒーと同じく『14g』で人気を博しているのが、店内でつくられるさまざまな種類のパン。
オーガニックレーズンの自家製酵母を使い、宮田菜都実さんが一つひとつ心を込めて焼いています。
「おいしいって言っていただけるのが何よりも嬉しいですね」と素敵な笑顔で話してくれました。
ふわっとシナモンが香る一番人気の『コルヴァブースティ』をはじめ、じゃがいもを練り込んだ『ポムドテール』、ほのかな甘味が嬉しい『はちみつのカンパーニュ』など、ラインナップは約17種類。
季節や日によっても変わりますが、その中から約8種類ほどが焼き上がった順に店頭へ並べられるとか。
宮田さんのおすすめは『コルヴァブースティ』と『ホワイトチョコとクルミの牛乳パン』だそうです。

※2020年春から、パンの販売はしばらくお休みとなりました。スコーン、ドーナツ、チーズケーキなどがお店に並んでいます。詳細はFacebookでチェックしてみてください。

日々の繰り返しとともに進化する『14g』

2017年にオープンから『14g』は、独自のペースで着実に進化を続けています。
お昼どきに食べられるランチには、パンプレートに加えてベトナムの麺料理であるフォーが人気を呼んでいましたが、10月からの新メニューとして何とチャーシューを使ったサンドウィッチが登場。
徳島県板野郡北島町の人気ラーメン店『中華そば 田村』の刻みチャーシューと新鮮な野菜に粒マスタードを添え、香ばしく焼き上げた『14g』のフォカッチャで挟み込むコラボレーションメニューです。

「徳島に『14g』というお店があることが、もっと『街の日常』になってほしいんです」と丹下さん。
日々の繰り返しを大切に、無理なく自然体でお客さんと接する姿勢にも、その思いが表れています。
お店前のテラスで、古道具やアクセサリー、野菜やタロット占いといった個性的な出店者が集う小さなマーケット『la cour(ラ・クール)』を開催するなど、ますます面白くなってきた『14g』。
旅の途中に立ち寄って一息つくだけでなく、イベントなどを目的に足を運んでみてはいかがでしょうか。
落ち着いた雰囲気の空間で楽しむパンとコーヒー、雑貨の数々が、あなたの訪れを静かに待っています。


14g
住所/徳島市東新町1-14 ヒラオカビル 2F
最寄り駅/JR徳島駅
徳島駅へのアクセス
営業時間/11:00~17:00
定休日/火・水曜日、年末年始
電話/080-6282-3266
https://www.instagram.com/14g.jp/
https://www.facebook.com/14g.jp/

瀬戸内Finderフォトライター 重藤貴志 

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重藤 貴志

重藤 貴志

徳島で暮らしているインタヴュアー/ライター/コピーライターです。屋号は“Signature”。新聞広告をはじめ、書籍や雑誌、ウェブサイトなど、幅広い媒体で仕事をしています。生まれ育ちは東京ですが、縁あって徳島に移り住みました。県外出身者の視点から見た徳島の魅力を中心に、瀬戸内のさまざまな情報を紹介していきます。 Twitter https://twitter.com/Siqoqtaq

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