#前川國男|日常とカルチャーの交差点。岡山の文化エリアを巡る『カワイイ』を探す旅!/岡山県天神山文化プラザ・岡山県庁舎・林原美術館(岡山県岡山市)

瀬戸内のモダニズム建築の流れを作った一人とされる巨匠・前川國男。岡山城の近くには前川建築がたくさん。生活に溶け込んでいるから気づいていない人も多いかも?

紹介してくれるのは橋本美佳さん。岡山で設計事務所に勤めて8年目。休みになると西へ東へ、建築を見に遠くまで行くんだとか。
(問題:この写真はどこで撮っているでしょう?正解は後半で!)

さて、橋本さん。まずはたくさんの方にケンチクの楽しみ方を知ってほしいですよね。

「それなら、岡山県天神山文化プラザから行きませんか?『ケンチク萌え』ポイントがいっぱいですよ」

散りばめられた萌えディテールを探して

岡山の文化拠点である天神山文化プラザ、通称『天プラ』に到着。

建物内に入ると、星空のような天井がお出迎え。
天窓からは青色の光が落ちてきます。その名も『成層圏ブルー』。ロマンチックですね。

壁面にはナイフで切り込みを入れたような意匠が…。橋本さん、これは何でしょう?

「これ、空調の吹き出し口なんです。イタリアの画家フォンタナの作品から着想を得たもの。ヨーロッパで建築修業をした前川國男氏ならではの取り入れ方、素敵ですね」

ちなみに彼女が座っているこの椅子、水之江忠臣氏デザインのチェアで、開館当初から残されているもの。今では3脚しか残っていないにもかかわらず、2階情報センターに普通に置いてありました(笑)。ご自由に、どうぞ!

ピロティの黄色い天井がカワイイですね!って、橋本さん…?

「ル・コルビュジエの弟子の一人である前川國男は『近代建築の五原則』のひとつである『ピロティ』を1階入口部分に配すことで開放的な広場を作り出し、さらには展示室やホール、他階へのアプローチを自由に…ブツブツ…」

屋上に出てみると、青い壁と赤い扉。ビビッドな空間に出会うことができます。
いわゆるインスタ映えですね、どうですか?

「色合いがドラえもんっぽくてカワイイですね」

この先にある『屋上庭園』も近代建築の五原則の一つ。下階に光を落とす天窓や1階から空間を貫く彫刻を見ることができます。

日常を包み込む上質でおおらかな空間

場所を移動して、岡山の皆さんにはおなじみ、岡山県庁舎へ。

冒頭の写真、実は県庁舎でした。児島出身の作家、古橋矢須秀氏の作品『環』。
「ああ、そういえば見たことが」という方もいらっしゃるのでは?

そして、何といってもこの建物の見どころは中庭とピロティ。
大きな空中回廊と『自由な平面』で、施設を利用するたくさんの人の往来を受け入れるためのプランになっています。

あれ、橋本さん、何してるんですか?

「ちょっと、この階段スラブがカッコいいなと思って。
なかなか見ないデザインですよね。今だったらどうやって施工するんだろう…」

取材していて気づきましたが、ケンチク女子は壁やら手すりやら、とにかく触って確認します。なんかいい絵だなあ。

岡山県庁舎イチ押しディテールは、プレキャストブロックの手すり。
建物の二階から中庭回廊、議会棟、その先へと建物全体に長く伸び、『水平連続窓』と合わせて、横方向への連続性・一体感を表しています。

番外編!前川建築・こだわりの素材

橋本さんのおかげで順調に撮影が進んだので、林原美術館にも立ち寄ってきました。

内部空間も素敵なのですが、今回は外壁の素材についてご紹介!
用いられているのは『焼きすぎレンガ』。一つひとつ色合いやかたちがちぐはぐで、なんだか愛着が湧いてきます。

「建物の表と裏でレンガの使い方が違うのもポイントです!」

さて、駆け足でしたが、前川建築いかがでしたか?

「近代建築っていうと、ちょっととっつきにくい印象があるかもしれませんが、ディテール(細部)のカワイイ場所がいっぱいあって、普通に写真を撮りに遊びに来るのも楽しいかも。何度か来ていますが、私も知らない場所いろいろみつけて、取材中なのにスマホで写真を撮りまくってしまいました(笑)。また遊びに来たいな」


●前川國男(1905-1986)
新潟市に生まれ、東京帝国大学工学部建築科を経てフランスに渡り、世界的な建築家ル・コルビュジエに師事。帰国後、モダニズム建築の旗手として、戦後の日本建築界をリード。東京文化会館、熊本県立美術館 他

○岡山県天神山文化プラザ(旧 岡山県総合文化センター)
1962年開館。2005年に大規模改修を行い『岡山県天神山文化プラザ』としてリニューアルオープン。展示室、ホール、練習室、会議室、文化情報センターを備え、創作から発表まで一貫して利用できる芸術文化の拠点。
所在地/岡山県岡山市北区天神町8-54
休館日/月曜日、年末年始(12月28日~1月4日)
電話/086-226-5005
FAX/086-226-5008
メール/tenplaza@o-bunren.jp
※お問合わせ受付時間9:00~18:00
http://www.tenplaza.info/

○岡山県庁舎
1953年の指名設計競技により選定された前川國男による設計。1957年に本庁舎(本館・議会棟旧館)が完成、その後西庁舎、南庁舎、議会棟新館、本庁舎東棟が建設。1945年の空襲で7割以上の市街地を焼失した岡山における戦後復興のシンボルとして時代を牽引。
所在地/岡山市北区内山下2丁目4番6号
電話/086-224-2111(案内電話)
※案内受付8:30~17:15(土日祝日および12月29日~1月3日はお休み)
http://www.pref.okayama.jp/

○林原美術館
(株)林原の三代目社長・林原一郎の遺族の方々により財団法人林原美術館が設立され、1964年に開館。1986年に『岡山美術館』から『林原美術館』に名称を変更。
所在地/岡山市北区丸の内2-7-15
電話/086-223-1733
FAX/086-226-3089
メール/bijutsukan@hayashibara-museumofart.jp
開館時間/午前10時~午後5時 ※入館は4時30分まで
休館日/毎週月曜日(月曜祝日の場合は翌日),展示替期間(不定期),年末年始
入館料(企画展)/一般:500円,高校生:300円,小・中学生・友の会会員・障害者手帳を提示の方・付添者・引率者: 無料,団体(20名以上)・65歳以上を証明できるもの又は岡山県郷土文化財団会員証をお持ちの方:2割引
http://www.hayashibara-museumofart.jp/

■瀬戸内の近現代建築の情報はこちらもご覧下さい。
兵庫県 ひょうごツーリズムガイド
岡山県 おかやまの歴史的土木・近現代建築資産
広島県 ひろしまたてものがたり
山口県 おいでませ山口へ 観光スポット-名所・史跡-近代的建造物
徳島県 徳島県観光情報サイト 阿波ナビ
香川県 うどん県旅ネット_アート_建築・建造物
愛媛県 愛媛県公式観光サイト いよ観ネット

瀬戸内Finderフォトライター/乙倉慎司

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乙倉 慎司/hiroe

乙倉 慎司/hiroe

乙倉慎司 岡山に18年、山口に6年暮らし、現在は広島の離島に仮移住中。建築・デザインの仕事をしています。日々、点々と移ろいながら、そこで見つけた素敵なひと・こと・ものを皆さんと共有していきたいです。 hiroe 福岡で環境分析研究員として働いた後、ロンドンへ留学。ヨーロッパを旅した後に住み着いたのは、瀬戸内海の美しい自然に囲まれた大崎上島でした。 気の向くままに島から島を渡り歩き、新参者ならではの視点で、瀬戸内特有の暮らし、文化、景色を伝えます。

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