#谷口吉生|追求された美に浸る。絵画のようにケンチクを鑑賞する?/丸亀市猪熊弦一郎現代美術館・香川県立東山魁夷せとうち美術館(香川県丸亀市・坂出市)

『いま、世界で最も美しい美術館を作る人』とも称される建築家・谷口吉生(よしお)。
氏が手掛けた美術館、瀬戸内にもあるんですよ。

どこを切り取っても『絵』になる美術館

今回は、#前川國男の記事にも登場してもらった橋本美佳さんと、オトナの美術館巡りです。岡山から1時間ほどで到着しました!

「あー、もう。何回来ても、いいですねえ…」

早速しみじみしていますね。なぜ彼女がこんなにウットリしているのか解き明かしていくのが今回の旅の目的です。
とりあえず外観撮らせてもらっても良いですか?なんかすみません。(パシャリ)

谷口建築の十八番。大きな箱の中に小さな箱が入ったような構成、いわゆる『入れ子型』と呼ばれます。建物全体がちょっと絵の額縁のようにも見えますね。

しっとりと作品を見て廻っていると、こんな場所を見つけました。
エレベーター室の前、両側のスリットから光が差し込む『絵になるスポット』。

しましま模様のベンチ。

こんな感じで『絵になる』場所がたくさん。もっともっと紹介したいですが、そろそろ次の美術館へ。

建築が『作品』と呼ばれるワケ

少し移動して、瀬戸大橋を見上げるように建つ香川県立東山魁夷せとうち美術館。

展示室に入ると、早速、

「ありましたね。柱。かなり効いていますね」

うん、あれはいいですね。なんて他のお客様にやや不思議そうな顔をされながら建築萌えをする橋本さんとぼく。

「それと、この手すり、すごく気持ち良くないですか?いつまでも触っていられます。なんなんだ、この絶妙な細さは!!あと、天井の埋込照明の配置…」

よし、橋本さん。手すりを触り終えたらまずは柱のとこ行きましょう!

このたった1本の柱が無かったら、空間のイメージが全く異なります。
やわらかいトップライトが壁面の作品を際立たせているところがニクイ。

おや、橋本さん。何をされているんですか?

「分かりますか?タイルの目地。ガラスサッシで途切れても、外からそのまま繋がって見えるように、同じ寸法になっていますよ。サッシや通風口も全て床の高さに合わせてあって、『収まり』がとってもきれいです」

橋本さんが建築巡りを続ける理由。
大好きな画家さんが人生をかけて描き上げた絵画を、ずっと見ていたい、何度も見たい、そんな感覚に近いのかもしれません。
建築が『作品』と呼ばれる理由も、徹底して細部まで美しさを追求した谷口吉生氏の建築を観ているとなんだか納得できるのかも。

外壁には『バーモント・グリーン』と呼ばれる素材が使われています。
瀬戸内に合う色合いだと思いませんか?赤いニットが際立ちますね。

最後に、この写真、大抵の建物にはついている『あるもの』がありません。それは何でしょう?

そう、『雨どい』ですね!屋根面に孔が開いていて、そこから排水する仕組みになっています。カフェから見える瀬戸内の景色を美しく楽しんでもらうための、谷口氏からの贈り物。

個人的な感想ですが、この写真は『ケンチク女子』のすべてを物語っています。カワイイけど常に真剣、真剣だからなんかカワイイ。
本気で何かに向き合う姿は素敵ですね!


●谷口吉生(1937年-)
東京都出身、慶應義塾大学工学部機械工学科、ハーバード大学建築学科大学院、ボストンの建築設計事務所、東京大学都市工学科丹下健三研究室・丹下健三都市・建築研究所、を経て、独立。建築家・谷口吉郎を父に持つ。

○丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(愛称MIMOCA/ミモカ)
1991年、丸亀市ゆかりの画家・猪熊弦一郎の全面的な協力のもと開館。70年に及ぶ猪熊の画業を顕彰するとともに、市民の芸術文化の振興をはかることを使命として、市民が気軽に訪れ憩える開かれた美術館を目指す。
所在地/香川県丸亀市浜町80-1
電話/0877-24-7755
FAX/0877-24-7766
メール/mimoca_info@mimoca.org
開館時間/10:00-18:00(入館は17:30まで)
休館日/年末12月25日から31日、および展示替え等による臨時休館日
観覧料/
企画展:展覧会ごとに定めます
常設展:一般 300円(240円) 大学生 200円(160円)
※( )内は20名以上の団体料金
※詳細なスケジュールは下記よりご確認ください。
http://www.mimoca.org

◯香川県立東山魁夷せとうち美術館
東山魁夷画伯の祖父が坂出市櫃石島の出身でゆかりが深いことから、ご遺族より版画作品270点余の寄贈を受け、2005年開館。
所在地/香川県坂出市沙弥島字南通224-13
電話/0877-44-1333
FAX/0877-44-0220
開館時間/午前9時から午後5時まで(入場は午後4時30分まで)
休館日/月曜日(休日の場合は開館、翌日火曜日が休館),年末年始(12月27日~1月1日),展覧会準備期間
観覧料/一般・大学生 300円(240円)
※( )内は20名以上の団体料金
※特別点開催時は別料金
※高校生以下、満65歳以上の方、身体障害者手帳をお持ちの方は無料(受付にて証明書等を提示)
※詳細なスケジュールは下記よりご確認ください。
http://www.pref.kagawa.lg.jp/higashiyama/

■瀬戸内の近現代建築の情報はこちらもご覧下さい。
兵庫県 ひょうごツーリズムガイド
岡山県 おかやまの歴史的土木・近現代建築資産
広島県 ひろしまたてものがたり
山口県 おいでませ山口へ 観光スポット-名所・史跡-近代的建造物
徳島県 徳島県観光情報サイト 阿波ナビ
香川県 うどん県旅ネット_アート_建築・建造物
愛媛県 愛媛県公式観光サイト いよ観ネット

瀬戸内Finderフォトライター/乙倉慎司

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乙倉 慎司/hiroe

乙倉 慎司/hiroe

乙倉慎司 岡山に18年、山口に6年暮らし、現在は広島の離島に仮移住中。建築・デザインの仕事をしています。日々、点々と移ろいながら、そこで見つけた素敵なひと・こと・ものを皆さんと共有していきたいです。 hiroe 福岡で環境分析研究員として働いた後、ロンドンへ留学。ヨーロッパを旅した後に住み着いたのは、瀬戸内海の美しい自然に囲まれた大崎上島でした。 気の向くままに島から島を渡り歩き、新参者ならではの視点で、瀬戸内特有の暮らし、文化、景色を伝えます。

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