世界中、どこの土地にも、ずっと昔から愛されてきた『郷土のお菓子』というものがありますよね。
徳島にもさまざまな味がありますが、今回は140年以上も前から愛されてきた阿波銘菓を紹介します。
吉野川市にある和菓子店『長久堂』が、昔ながらの製法でつくり続けている『川田まんぢう』です。
今に続く『川田まんぢう』の歴史
1872年(明治5年)に、初代の吉田橘次氏が阿波市で『長久堂』という屋号で創業した『川田まんぢう』。
今に伝わる銘菓となったきっかけは、1899年(明治32年)に、徳島鉄道が開通したことだといいます。
川田駅前に『川田まんぢう本店』を構え、ひとくちサイズの薄皮まんじゅう製造をスタートしました。
当時の川田駅は徳島線の終着駅であり、燃料を補給するために、少し長めの停車時間が必要だったそう。
そこで行われた『川田まんぢう』の立ち売りは、食べやすい大きさと万人に愛される味わいで大ヒット。
1914年(大正3年)からは、ホーム内でも立ち売りが行われ、汽車の音と重なるように聞こえた売り子の「かわたーまんじゅっ!」という大きな掛け声は、昔の川田駅を彩る風物詩だったといわれています。
川田駅のホーム内における『川田まんぢう』の立ち売りは1980年代まで続いていましたが、人々の主な移動手段が自動車に変わったことを受け、1978年(昭和53年)に『川田まんぢう国道店』がオープン。
看板や赤い暖簾を目印に、県内外から多くの人々が『川田まんぢう』を買い求めるために訪れています。
手間を厭わぬ愛情がおいしさを生む
ころりとした小さな姿が愛らしい『川田まんぢう』には、実にさまざまな楽しみ方があるといいます。
そのままお茶請けにいただくのはもちろんですが、トースターなどで軽く焼き目をつけて焼いてみたり、逆に冷やして小豆アイスのように食べてみるのもおすすめと『長久堂』の六代目である吉田恵子さん。そして、極めつけは『川田まんぢう』に天ぷらやフライの衣をつけて油で揚げる『揚げまんじゅう』!
徳島市内にある某人気串揚げ店では、何とコースメニューの『〆の一本』にも採用されているとか。
選りすぐった北海道産の小豆と霊峰高越山・吉野川の清冽な水を使った薄墨餡はさらりとした味わい。
「薄墨餡になる小豆の皮を一つひとつ丁寧に剥き、独自の製法で約12時間以上かけて精製しています」
完成した上質の薄墨餡をひとくち大に丸め、薄皮で巻いて蒸し上げるやり方は昔から変わりません。
保存料や着色料、防腐剤などを一切使用していない無添加であることも『長久堂』の大きな誇りです。
もっと多くの人へ届けたいという思い
さて、今まで『川田まんぢう』といえば、こちらの伝統的な包装紙に包まれた姿がお馴染みでしたが、
「古き良きものを大切にしながら、より多くの人に知ってもらうため、新しい挑戦もしていきたい」と、
吉田さんは思いきって『川田まんぢう』に新しい現代的なパッケージを増やすことを決めたそうです。
それが、こちらのホワイトを基調にピンクのシンボルをあしらった美しいデザインのパッケージ。
「無添加のお菓子であるという純粋さ、お土産として印象に残る可愛らしさを大切に考えました」
今までのパッケージは15個でワンセットでしたが、4個を一つの単位とすることで小分けが可能に。
より多くの方へ差し上げられるようになった上、小さくなった分、持ち歩きもしやすくなりました。
「本物のおいしさを届けたい」との思いから『川田まんぢう』は厳選された良質の材料を使っています。
「お客さまの口に入るものは『おばあちゃんがつくってくれたお菓子』と同じであるべき」と吉田さん。
手間を厭わず、愛情を込めてつくるからこそ、ここ徳島で『川田まんぢう』は愛されてきたのでしょう。
お取り寄せすることもできますが、やはり阿波銘菓は徳島旅行のお土産の一つとして選んでほしいもの。
県内では『徳島阿波おどり空港』や『阿波おどり会館』内のショップなどでも購入することが可能です
(※ただし、新パッケージの『川田まんぢう』は『川田まんぢう本店』とオンラインショップのみ)。
1872年(明治5年)創業の和菓子店『長久堂』のつくる『川田まんぢう』。徳島を旅するときにはぜひ。
川田まんぢう(長久堂)本店
徳島県吉野川市山川町川田198
電話/0883-42-2206
営業時間/7:00〜21:00
定休日/不定休
川田まんぢう(長久堂)国道店
住所/徳島県吉野川市山川町川田775
電話/0883-42-2906
営業時間/9:00~17:00
定休日/元日
http://kawata-manju.com/
https://www.facebook.com/kawatamanju/
瀬戸内Finderフォトライター 重藤貴志
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この記事を取材したフォトライター
重藤 貴志
徳島で暮らしているインタヴュアー/ライター/コピーライターです。屋号は“Signature”。新聞広告をはじめ、書籍や雑誌、ウェブサイトなど、幅広い媒体で仕事をしています。生まれ育ちは東京ですが、縁あって徳島に移り住みました。県外出身者の視点から見た徳島の魅力を中心に、瀬戸内のさまざまな情報を紹介していきます。 Twitter https://twitter.com/Siqoqtaq
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