伝統から革新へ。今、あらためて注目したい『阿波和紙』の可能性/阿波和紙伝統産業会館(徳島県吉野川市)

『阿波和紙』の可能性を広げて

1000年以上ともいわれる優れた保存性に加えて、強靭さと柔らかさなどを兼ね備えている『和紙』。
そのなかでも、徳島産の『阿波和紙』の啓蒙と継承を目的とする施設が『阿波和紙伝統産業会館』です。
吉野川市山川町にあるこの施設では『阿波和紙』の素晴らしさや美しさを体験することができます。

徳島県で手漉和紙がつくられていたという最古の記録は、奈良時代までさかのぼることができるとか。
『天日鷲命(あめのひわしのみこと)』を祖神とする阿波忌部氏が、ときの朝廷へ献上していたそうです。
また、1585年(天正13年)から阿波藩主となった蜂須賀家政も、産業振興の一つとして製紙業を奨励。
その後も明治時代まで盛んとなり、1889年(明治23年)には『パリ万国博覧会』にも出品されました。
しかし、欧米からの洋紙輸入をきっかけとして、全国各地の和紙関連産業は次第に衰退の憂き目に…。
吉野川市山川町でも『阿波和紙』の専業は、1952年創業の『富士製紙企業組合』一社だけとなっています。

その『富士製紙企業組合』とともに『阿波手漉和紙商工業協同組合』と『阿波和紙伝統産業会館』が、
『阿波和紙』の伝統を継承しつつ、新たな可能性を追求するブランドが『Awagami Factory』です。
たとえば『アワガミインクジェットペーパー』は、インクジェットプリントに対応した新時代の和紙。
従来の光沢紙とは異なる和紙の持つ表情を生かした再現性の高さで、国内外から支持を集めています。
写真はもちろん、水彩画や版画といった作品の印刷など、さまざまな芸術表現に活用されているそう。

本場の紙漉きを体験できる面白さ

『阿波和紙伝統産業会館』1階の大半を占めているのが、体験実習にも使われる『作業スペース』です。
手作業にて『阿波和紙』を製造しており、原料処理から紙漉き、仕上げまでを一貫して学習可能。
名刺のような小さなものから2メートルを超える大きなものまでつくることができるということです。
取材にお伺いした日も、何人もの紙漉職人の方々が、それぞれの担当部署で作業に勤しんでいました。

せっかく『阿波和紙伝統産業会館』に来たからには、ぜひ本物の紙漉きを体験をしてほしいと思います。
手漉きではがき3枚をつくる『ハガキ判体験』と半紙2枚をつくる『半紙判体験』が500円。
どちらも無地のベースを漉いた後、色つきの原料を使って好きな模様をつけることができるそうですよ。
リピーターには3時間の時間内に何枚でも『阿波和紙』をつくることができる『フリーコース』が人気。
ただし、こちらは13時30分までに来館して申し込みが必要になるため、その点は注意してくださいね。
そのほか、綿のハンカチを藍染めできる『藍染め体験』も500円(こちらは事前の予約が必要です)。

2階には二つの展示室(ギャラリー)と多目的ルームなどがあり、さまざまな催しが行われています。
写真は徳島県内の小学生たちが手掛けた作品を集めた『第29回小学生によるデザインはがき展』の様子。
はがきサイズの和紙を使って思い思いにデザインされた作品は、どれもユニークなものばかりでした。
また、多目的ルームでは、和紙全般にまつわる貴重な書籍や資料などを閲覧することができるそうです。

また『阿波和紙伝統産業会館』では、さまざまな分野のアーティストの制作活動を支援しています。
それが開館当初から行われている『ビジティング・アーティスト・プログラム』という取り組みです。
世界各国から訪れたアーティストたちが徳島に滞在しながら、ここで『阿波和紙』を用いた作品を制作。
今まで欧米を中心に述べ100名以上が『阿波和紙』と向き合い、個性的な世界を大きく広げています。

ぜひ『阿波和紙伝統産業会館』へ!

施設を出る前に、じっくり堪能してほしいのが、1階の入口近くにある『ミュージアムショップ』です。
『Awagami Factory』でつくられているさまざまな製品を、実際に手に取って確かめてみてください。
ステーショナリーやインテリアなど、あらゆる方面に広がる『阿波和紙』の可能性が感じられるはず。
ポストカードやポチ袋は、ちょっとオシャレなお土産として、特に女性からの人気が高いとのことです。

いろいろな角度から『阿波和紙』の持つ可能性を体験することができる『阿波和紙伝統産業会館』。
各種ワークショップや紙漉きの研修会なども実施しているため、リピーターも多いとのことです。
『阿波和紙』の伝統と革新の両面を担う『阿波和紙伝統産業会館』。徳島を旅するときにはぜひ。


阿波和紙伝統産業会館
所在地/徳島県吉野川市山川町川東141
最寄り駅/JR阿波山川駅
阿波山川駅へのアクセス
営業時間/9:00~17:00
定休日/月曜日(※祝祭日の場合は翌日)、年末年始
電話/0883-42-6120
入館料/一般300円、学生200円、小中学生150円(※20名以上の団体割引あり)
http://www.awagami.or.jp

瀬戸内Finderフォトライター 重藤貴志

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重藤 貴志

重藤 貴志

徳島で暮らしているインタヴュアー/ライター/コピーライターです。屋号は“Signature”。新聞広告をはじめ、書籍や雑誌、ウェブサイトなど、幅広い媒体で仕事をしています。生まれ育ちは東京ですが、縁あって徳島に移り住みました。県外出身者の視点から見た徳島の魅力を中心に、瀬戸内のさまざまな情報を紹介していきます。 Twitter https://twitter.com/Siqoqtaq

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