愛媛・松山の郷土食は、とにかく何でも甘い! 醤油や味噌といった調味料をはじめ、うどんやラーメン、寿司など総じて甘めの味付けです。
松山人の味覚に寄るのはもちろん、客人への「おもてなし」の物差しが甘さの加減だったとか。
甘い食文化のシンボルが、松山市中心部に店を構える『瓢太』。
平日は地元のサラリーマンを中心に列をなし、週末は県内外の観光客が集まる人気店です。
こちらが『瓢太』看板メニューの『中華そば』。
一見、普通のとんこつラーメンに見えますよね?
スープをすすってみると、塩気のあるラーメンに慣れた人なら誰でも、思わず「甘っ!!」と口にしてしまうほどの衝撃が待っています。
甘さの元は、創業当時から継ぎ足してきた秘伝の醤油タレ。
スープは、鶏がらと豚皮の出汁に秘伝のタレを加えたもの。特注のストレート細麺にほどよくからみ、舌が慣れていくと、甘さの奥にある「深み」を感じ始めます。ああ、アリだな、甘いラーメン。そう思ってしまった方、リピーター決定です(笑)。
『中華そば』と同じ秘伝のタレを使ったおでんも『瓢太』名物。
人気の種は、存在感のある豆腐とプリプリのスジ肉。鶏がらと鶏モツでとった出汁がサッパリしていて、甘味はほんのり。
じつは『瓢太』の甘さには、ルーツがあるんです。
戦後まもなく、『松山市駅』周辺にできた屋台村にあった『屋台 瓢太』。当時は希少だった甘さを求めて、多くの客で賑わったといいます。
『瓢太』店主 加藤大さん(写真左)の父親が、『屋台 瓢太』のファンになり弟子入り。昭和55年、現在の店舗で独立し、二代目になった今も当時のレシピを受け継いでいます。
屋台主亡きいま、この味に出合えるのは『瓢太』だけ。「これからもこのレシピを守り続けるのがぼくの使命」と加藤さん。
松山人の胃袋と心を満たしてきた魅惑の一杯を、ぜひ味わってみてくださいね。
瓢太
住所/愛媛県松山市三番町6-1-10
営業時間/11:30~14:00、18:00~23:00
定休日/日曜
電話/089-931-5133
瀬戸内Finderフォトライター ハタノエリ
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この記事を取材したフォトライター
ハタノ エリ
1978年宮崎県生まれ。愛媛県松山市在住。 新聞記者のちフリーライター。 日常にも、おもてなしの心があふれる愛媛。2年前、この地を離れても忘れられず、2017年春、戻ってきました!訪れたらきっと、大好きになる。そんな確信があるからこそ、誰かの「愛媛行き」を、グッと後押しする記事を書いていきたい。
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