#村野藤吾|今も昔も新しい!?地域に愛されるディテールを見に行こう!/渡辺翁記念会館・世界平和記念聖堂(山口県宇部市・広島県広島市)

ときに、クラシックで、ときに、モダン。幻想的に見えたり、あっさり塩味だったり。
独特の世界観。誰にもまねできない空間に出会えます。

それが、建築家・村野藤吾。時代の『流行り・廃り』に左右されない普遍性を求め、93歳で生涯を閉じるその前日まで仕事をしていたスーパーマン。ぼく自身、大好きな建築家トップ3の村野作品から、瀬戸内で見ることのできる2施設をピックアップ!

村野ワールドへようこそ!

はい、こんにちは!

「こんにちはー!山口大学工学部の建築学生、呉英里子(左)と安部彩華(右)、3年生です。今、私たちは山口県宇部市にある、渡辺翁記念会館の屋上に来ています!」

丸くぷっくりとしたフォルムがいいですね。よく見ると、外壁タイルに凹凸感があります。
さて、中に入ってみましょう。

素敵なトビラを発見!
十字型にくりぬかれた入口上部、そして市松模様の床。

この建物は1937年、つまり第二次世界大戦がはじまる前に建てられている、と聞くとちょっと驚きませんか?

渡辺翁記念会館は地域の方に愛される音楽ホールです。
まるで並木道のように、上に向けて広がった柱が立ち並ぶホワイエ。ツヤっとした床と柱に光が反射して、しっとりとした質感が魅力的です。

細かいしつらえへの徹底したこだわり

あえて、一番マニアックなところからご紹介させてください!
一番の見どころは間違いなくここ!!!
呉さん、安部さん、レポートをお願いします!

「会館スタッフさんによると、おそらくこの階段の手すりは1つの石材を削り出してつくってあるだろうと専門の方から聞いたことがある、とのことです。触り心地がとってもなめらかで彫刻作品みたいですよ!場所は秘密です、探してみてくださいね」

ホール内のペンダントライトが、壁にたおやかな灯り模様を映し出します。
ここは音響に優れたホールとしても有名です。音を美しく反射させるため緻密に計算された曲線を多用した空間構成になっています。

名残惜しいですが、次は広島市内へ移動です!

時代を超えた魅力を探る!

さて、ところ変わって、広島の世界平和記念聖堂。
何年も前から、広島に来ると立ち寄るお気に入りスポットです。何をするでもなくぼーっとするのが好きです。

さて、到着しまし…おや?

そうでした、工事中でした。
世界平和記念聖堂は竣工60年を過ぎ、2019年3月まで耐震補強工事を行います。
国指定の重要文化財として大切に次世代に引き継ぐために、前例のない工事に挑戦中なのです!

工事前に撮影された世界平和記念聖堂はこちら。

正面の十字架の周囲、模様のように黒く見えているのは突き出したレンガです。壁に凹凸をつけることで、人間の手でつくられた温かみが伝わってくるよう。先の渡辺翁記念会館との共通点です。

本日一緒に来ていただいたのは、江田島で古い建物の運営プロジェクト等を手掛ける南川智子さん。

南川さん、普段よりだいぶ聖堂内のイメージが違いますね。

「修復のためにステンドグラスを外しているからでしょうね!一枚一枚補修するらしいですよ。でも、カラフルなステンドグラスが無くても、これはこれですごく良い。工事中に見学に来れてよかったです!逆に今しか見られないから、貴重なのでは!?」

「村野作品ってホント不思議ですよね、たぶん、20年後に見ても『古い』と感じさせない力があるっていうか…(本パラパラ)」

終わりに、興味がわいたよ、もっと知りたいよという方へ、必読の1冊をご紹介。
『様式の上にあれ(村野藤吾著作選,鹿島出版社)』。
戦時中から続く村野作品が、なぜいまだ色あせないのか、垣間見えます。

難しい話は抜きにして、理屈抜きですごく居心地がいいんです。近くの椅子に座ると、なんだか気持ちがしっとりとするんです。ご紹介しきれなかったけど、写真映えする場所もいっぱいあるから、ぜひたくさんの方に体感してほしいなあ。


●村野 藤吾(1891-1984年)
佐賀出身、早稲田大学理工学部電気工学科、同大学建築学科、渡辺節建築事務所を経て、村野建築事務所を開設。文化勲章、日本芸術院賞、日本建築学会賞など数々の賞を受賞。

◯渡辺翁記念会館(重要文化財)
1937年開館。渡辺祐策の宇部市への功績を記念し寄贈された音楽ホール。村野藤吾出世作とされる。
所在地/宇部市朝日町8番1号
電話/0836-31-7373
FAX/0836-31-7306
メール/info@ube-bunzai.jp
見学受付時間/9時から16時30分(イベントがない日のみ)
利用可能時間/9時から22時
休館日/毎月第3火曜日,12月29日から1月3日
駐車場/約250台(うち身体障害者用6台)無料
※ご見学の際は事前にお問合せください。
※会場のご利用・申込方法等は下記よりご確認ください。
http://wmh.ube-bunzai.jp/

◯世界平和記念聖堂(カトリック幟町教会)
1954年竣工。原爆の犠牲となった人々の追憶と慰霊のため、また全世界の友情と平和のシンボルとして献堂。2006年7月5日に戦後の建築物としては初めて,広島平和記念資料館(広島市)と共に重要文化財に指定されている。
所在地/広島県広島市中区幟町4-42
電話/082-221-0621
FAX/082-221-8486
受付時間/9:00~17:00
http://noboricho.catholic.hiroshima.jp/

■瀬戸内の近現代建築の情報はこちらもご覧下さい。
兵庫県 ひょうごツーリズムガイド
岡山県 おかやまの歴史的土木・近現代建築資産
広島県 ひろしまたてものがたり
山口県 おいでませ山口へ 観光スポット-名所・史跡-近代的建造物
徳島県 徳島県観光情報サイト 阿波ナビ
香川県 うどん県旅ネット_アート_建築・建造物
愛媛県 愛媛県公式観光サイト いよ観ネット

瀬戸内Finderフォトライター/乙倉慎司

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乙倉 慎司/hiroe

乙倉 慎司/hiroe

乙倉慎司 岡山に18年、山口に6年暮らし、現在は広島の離島に仮移住中。建築・デザインの仕事をしています。日々、点々と移ろいながら、そこで見つけた素敵なひと・こと・ものを皆さんと共有していきたいです。 hiroe 福岡で環境分析研究員として働いた後、ロンドンへ留学。ヨーロッパを旅した後に住み着いたのは、瀬戸内海の美しい自然に囲まれた大崎上島でした。 気の向くままに島から島を渡り歩き、新参者ならではの視点で、瀬戸内特有の暮らし、文化、景色を伝えます。

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