歴史

阪神・淡路大震災のありのままを保存。地震の脅威を学べる体験施設/野島断層保存館(兵庫県淡路市 淡路島)

阪神・淡路大震災のありのままを保存。地震の脅威を学べる体験施設/野島断層保存館(兵庫県淡路市 淡路島)

阪神・淡路大震災の震源となった野島断層

1995年(平成7年)1月17日未明、兵庫県南部を震源として発生した『兵庫県南部地震』は、マグニチュード7.3、最大震度7を記録し、この地震で6,434名の方々が尊い命を失いました。
阪神地方や淡路島北部に大きな被害を与えたこの地震災害は『阪神・淡路大震災』と名付けられました。

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淡路島北部にある野島断層は、阪神・淡路大震災の震源となった活断層。
1998年(平成10年)に開園した北淡震災記念公園内にある『野島断層保存館』では、野島断層の一部をありのままの状態で保存しており、地震の凄まじさと脅威を見学・体験できます。

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入館直後に目に飛び込んでくる、衝撃的なシーン。
野島断層保存館のエントランスホールには、国道43号が倒壊した様子の再現模型があり、震災当時の記憶が鮮明に蘇ってきます。

入館受付を済ませて、まず最初に野島断層を見学します。

野島断層をありのまま保存

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野島断層保存館の目玉は、やはり断層保存ゾーンです。
国の天然記念物に指定された地震断層のうち、約140mの断層が覆屋(おおいや)で保護され、ありのままの状態で保存されています。

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舗装道路を横切る断層や地割れの列が現れた断層のほか、水路・生垣・あぜ道の横ずれの様子もそのまま残されていて、断層による様々な地形の変化を見学できます。

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野島断層の約50cmにおよぶ地面の隆起と1m近い横ずれの様子を間近に見られ、断層の断面が見られるトレンチ展示コーナーもあります。
阪神・淡路大震災で現れた地震断層の中で、現在も地面のずれをはっきりと見ることができるのは、この断層保存ゾーンだけです。

震災に耐えた神戸の壁やメモリアルハウス

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断層保存ゾーンの脇には『神戸の壁』も移設・保存されています。
『神戸の壁』は、昭和2年頃に神戸市長田区若松町の公設市場の延焼防火壁として建てられ、第二次世界大戦中の神戸大空襲(1945年)に耐え残り、阪神・淡路大震災では周囲の建物が倒壊全焼する中、この壁だけは倒れず、焼けず、その姿をとどめました。

街の復興が進むなか、震災の記憶を風化させないための震災遺構として、また震災から得た教訓と防災に対する意識向上の象徴として、北淡震災記念公園に『神戸の壁』が移設されました。

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また、敷地の最奥にある『メモリアルハウス』も激震に耐えた遺構の一つ。
活断層の真横でもほとんど壊れなかった家を『地震に強い家』として公開していて、家の塀や花壇のレンガがずれた様子を見られます。

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メモリアルハウスの中に入ると、地震直後の台所の様子が再現されていて、毎週火曜日に『震災の語りべ』が体験談を語るコーナーや資料展示コーナーなどがあります。

震災体験館で地震の揺れを実体験!

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さらに敷地内に併設されている『震災体験館』では、実際の地震の揺れを経験できる震災体験コーナーがあり、阪神・淡路大震災と東日本大震災の震動の違いも比較体験できます。

動画もありますので、阪神・淡路大震災の揺れの様子をご覧ください。

最初の激しい本震の後すぐに余震も発生していて、その揺れも体験できます。
また、東日本大震災の揺れも体験できて、阪神・淡路大震災の時よりも長時間にわたって震動が続き、しかもだんだん揺れが大きくなっていったことを比較しながら体験できます。

実際の地震をそのまま再現すると、あまりにも震動が激しすぎてケガしてしまう恐れがあるため、本来の半分ぐらいの揺れに抑えているそうです。
それでも、地震エネルギーの凄まじさと脅威を充分に実感できます。

その他、館内には阪神・淡路と東日本の両震災の映像や南海地震への備えの映像を観られる『震災シアター』コーナーもあります。

阪神・淡路大震災で現れた地震断層をありのままに保存し、地震エネルギーの凄まじさと脅威を学べる『野島断層保存館』。
地震の揺れを実体験できるコーナーも併設され、日頃から地震に備える大切さを身をもって知ることができる貴重な体験施設です。

瀬戸内Finderフォトライター 松岡広宣

関連地域

兵庫県

瀬戸内海と日本海の2つの海に面し、中央には中国山地が延びる兵庫県。古くから貿易の拠点として発展してきた商業地と豊かな自然が残る兵庫県は、観光地としての見所も数多く存在します。異国文化漂う神戸の町並み、白く輝くように美しい姫路城、せとうちの海で大きく育った明石のタコや、四季の花々を楽しむことができる淡路島。買い物、温泉、歴史や文化、そして自然。どれをとっても一級品の旅が楽しめる場所です。