自分自身と向き合う貴重な体験。数年後に届く手紙を出そう/花見山 心の手紙館(徳島県鳴門市)

桜の名所の中腹に建つモダンな洋館へ

徳島県の北東に位置し『鳴門わかめ』や『なると金時』など、多くの名産品で知られる鳴門市の一部、
鳴門海峡と小鳴門海峡・ウチノ海に挟まれた大毛島に『花見山』と呼ばれている桜の名所があります。
ここは約350本もの枝垂れ桜が咲き乱れ、お花見シーズンには多くの人々で賑わう人気のスポット。
桜以外にもいろいろな草花が植えられているため、四季を通じて自然の美しさが感じられる場所ですが、
この『花見山』には、季節の草花を愛でる以外にも素晴らしい楽しみ方があることをご存じでしょうか。

それが、今回ご紹介する『花見山 心の手紙館』という同名のNPO法人が運営する施設です。
『花見山』の麓の駐車場から山の中腹にある『花見山 心の手紙館』まではゆっくり歩いて約7分。
曲がりくねった道を上っている間にも、さまざまな草花や小鳥の鳴き声を楽しむことができます。
最後の上り坂に差し掛かったところで、モダンなデザインの美しい洋館が見えてきました!

自分の手でしたためる、未来に届く手紙

扉を開けて洋館の中へ入ると、そこは誰でも自由に利用することができる無料休憩室。
ドリンクコーナーがあるほか、居心地の良いテーブルと椅子などが用意されています。
飲食自由・持ち込み可能ということですので、2階へ上る前に一息ついておきましょう。

2階へ上がると『花見山 心の手紙館』の副館長である中野シゲ子さんが笑顔で迎えてくれました。
「ここでは希望する方に『心の手紙』を書いていただき、未来へ届けるサービスを行っているんですよ」
正式には『手紙のタイムカプセル便』というこのサービスは、あなたが書いた手紙を大切に預かり、
1年から5年後までの希望する年月に、指定した住所・相手へ責任を持って郵送してくれるというもの。
その相手は誰でもよく、家族や友人はもちろん、未来の自分自身に向けて手紙を書く人も多いそうです。

実際に『心の手紙』を書くのは、こちらの『心の手紙ホール』と呼ばれる広々とした専用スペース。
大きめの観葉植物が目隠し代わりになるため、ほかの人の視線を気にせずに手紙を書くことができます。
『花見山』の中腹にあるため、天気の良い日には窓の外に広がる鳴門海峡や淡路島なども見えますよ。
また「どうしても手紙だけに集中したい!」という方には、隣に専用の個室も用意されているそうです。

思いを預かる『花見山 心の手紙館』

受付で『心の手紙』の申し込みをすると、受付で渡していただけるのが、こちらの『手紙キット』。
専用の封筒と便箋、預り証などがセットになっており、すぐに手紙を書き始めることができます。
とはいえ、いきなりペンを持って手紙をしたためるのは、慣れていないと難しいかもしれません。
そんなときは景色を観ながら考えたり、中野さんからアドバイスを受けてみるのもいいでしょう。

桜の名所として知られる『花見山』に『花見山 心の手紙館』がオープンしたのは2013年のことでした。
東日本大震災の被災地でボランティアを経験した前館長が「心の絆を体感できるものは何か」と考えて
たどり着いたのが、未来の誰かへ送る『手紙のタイムカプセル便』というサービスだったといいます。
そこで『日本薬学の父』と呼ばれる長井長義の長男で、外交官だった長井亜歴山が建てた洋館を改装。
口コミを中心に評判が広がり、この5年間で述べ6,000通もの手紙を預かって発送しているそうです。
その中には、2015年に陸前高田市の小中学生605人が、未来に向けて書いた手紙も含まれているとか。

「手紙を出してから受け取るまでの時間があるからこそ、その言葉は特別な意味を帯びてくるんです。
普段は恥ずかしくて言葉にできない思いや、忘れたくない今の気持ちを未来に届けてほしいですね」と
『花見山 心の手紙館』で、中野さんと同じく副館長を務める山田啓二さんが優しく教えてくれました。
未来へ向けた手紙は、過去から届くメッセージでもあるため、読んだ人の心を強く捉えるのでしょう。
実際、多くの人が『心の手紙』をきっかけに来館し『寄せ書き帳』に感謝の気持ちを綴っていくそう。

館長の岡本浩幸さんは「一人でも多くの方の手紙を、できるだけ長く届けていきたい」と考えています。
世界にたった一通しかない直筆の手紙を預かり、指定された年月に届けるのは『約束』のようなもの。
「スマホやPCではなく、一文字ずつ心を込めて手紙を書くことでしか伝わらない思いもあるはずです」
未来の自分自身や結婚記念日に妻へ、仲違いした友人へ、登校拒否の孫へ…など、その内容はさまざま。
鳴門海峡の美しい景色を眺めながら心を落ち着け、ゆっくり未来へ向けて手紙をしたためてみませんか。


花見山 心の手紙館
所在地/徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字大毛234-35
開館時間/10:00~16:00
定休日/火曜日、年末年始
※お花見シーズンには大変混み合います。
電話/088-687-3555
http://www.hanami-yama.com

瀬戸内Finderフォトライター 重藤貴志

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重藤 貴志

重藤 貴志

徳島で暮らしているインタヴュアー/ライター/コピーライターです。屋号は“Signature”。新聞広告をはじめ、書籍や雑誌、ウェブサイトなど、幅広い媒体で仕事をしています。生まれ育ちは東京ですが、縁あって徳島に移り住みました。県外出身者の視点から見た徳島の魅力を中心に、瀬戸内のさまざまな情報を紹介していきます。 Twitter https://twitter.com/Siqoqtaq

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