海を臨む藍染めスタジオ&カフェ
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムに日本の伝統色・藍色の組市松紋が選ばれたことで、藍文化がにわかに脚光を浴びています。
この機会にこれまで藍染めに興味のなかった若い世代や、海外の人たちにも藍の魅力を知ってもらおうと、新しいアプローチで発信し続けているのが、『in Between Blues』のオーナー・永原レキさん(写真右)。
徳島県南部、海陽町にある『in Between Blues』(以下『iBB』)は藍染めのスタジオとアトリエ、カフェとショップが一体になったスペースです。藍染め=伝統工芸というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、『IBB』では日常的に使えるものや、アート性の高い作品まで、藍染めの幅広い可能性を感じさせてくれます。
その一端を感じられるのがコレ! 地元サーフボードブランド『303SURFBOADS』とコラボ制作した藍染めのサーフボード『空海』です。このサーフボードは、常識に縛られることなく、新しいモノづくり力を応援する『LexusNewTakumiProject2016』で制作した作品で、小山薫堂氏『注目の匠』にも選出され話題を呼びました。
サーフボードに藍染め…というと、突飛なかけ合わせに思うかもしれませんが、機をてらったわけではありません。徳島には古くから藍文化が根付いていて、永原さんの故郷・海陽町はサーフィンのメッカ。そして弘法大師・空海が開いた四国八十八ヵ所霊場ゆかりのお遍路文化など、この土地ならではの魅力を吸いあげて生まれたのがこの作品です。
そこかはとなく郷土愛や自然への敬意が感じられ、サーフィンをしない人でも手に取ってみたくなる美しさ。空の青と海の青を染め重ねたような佇まいに一目で引き寄せられます。
自分だけの青に染める
店内には他にもさまざまな藍製品が販売されていて、その多くが徳島の藍で染められています。
藍の葉を発酵させた『すくも』をもとに灰汁発酵建てした染料を用いた伝統的な藍染に加え、『iBB』では『株式会社トータス』が自社栽培した藍の乾燥葉を使用する藍ハーブ染めを活用した染め体験や、製品販売もしています。
すくもを使わないこの手法を、地域の古名をとって『あまべ藍』と呼び、天然藍染色に触れ、自然を大切にする想いを育む一つのきっかけとして徳島県の南部のエリアから発信しています。
藍を食べる、『食藍』という提案
カフェスペースでは、藍を食べて楽しむこともできます。
古くから薬草としても使われていた藍。そんな藍の効能に着目し、藍の種子や葉をスコーンやマカロンにアレンジ。パティシエやマフィンのお店が、藍の種や海部の塩、原材料にもこだわって仕上げたオリジナル藍スイーツは絶品です♪
古くから日本人の生活と共にあった藍。海を臨むおおらかな景色の中で、美しい藍色に囲まれた時間をのんびりと楽しんでみてください。
in Between Blues
所在地/徳島県海部郡宍喰浦字松原216-3
営業時間/11:00〜17:00
定休日/火曜
電話/0884-70-1488
http://inbetweenblues.jp/
瀬戸内Finderフォトライター 飛田久美子
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この記事を取材したフォトライター
飛田 久美仔
飛田久美仔(とびたくみこ) 1973年生まれ。 徳島県在住。 徳島県の出版社で10年以上勤務し、月刊誌の編集長を務める傍ら、MOOKや企業のパンフレット、HPなどの制作に携わる。2014年12月よりフリーのライター兼編集者に。美味しいもの、楽しいこと、新しいものはいち早く知りたいタイプ。自分史や自費出版の編集、電子書籍なども気軽にご相談を! 2015年4月より地域おこし協力隊として、移住対策と地域資源の活用がライフワーク。
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