たくさんの観光客で賑わいを見せる宮島の表参道商店街。そこから脇にそれる一本の細い路地に、若い夫婦が静かに営む町家カフェ『タムカイマ』があります。
宮島に魅き寄せられた二人の町屋カフェ
『タムカイマ』を営むのは木彫り作家の松竹悌輔(だいすけ)さんと奥さんの由紀さん。
二人とも宮島のありのままの自然に魅かれてここへ移住。宮島での暮らしも由紀さんは7年、悌輔さんは10年以上になるそうです。
この町家を先に見つけて住んでいた悌輔さんは、由紀さんとの結婚を機に内装をリノベーション。2014年の夏、カフェと自身の木彫り作品のギャラリースペースとして『タムカイマ』をオープンしました。
1階がカフェスペース、2階はライブやギャラリーを催すスペースになっています。
「DIYの知識は全くなかった」という二人ですが、階段下もこの通り。
「ここでお茶を飲みながらゆっくり読書をしたい」そう思わずにいられない素敵なスペースが作られています。
やさしい空気感を作る木彫りのオブジェ
店内をよく見てみると、あちらこちらにキノコがはえています。実はこのキノコ、悌輔さんの木彫りの代表作の一つ。あまりに自然すぎて、本当にそこにひょっこり生えてきたかのよう。
こちらは3年前から友人のイラストレーターとコラボして制作しているという、宮島こけし。一つひとつ形もデザインも違ってとってもユニーク。
最近は全国から出展や注文の依頼があるそうです。
メニューはすべて体が喜ぶ無添加&自家製
カフェを切り盛りするのは由紀さん。タムカイマで提供されるスイーツ&ドリンクのメニューはすべて無添加・自家製にこだわり、由紀さんが時間と手間をかけて作っています。
部屋の隅にはレモンをきびさとうだけで発酵させている瓶がオブジェのように置かれていました。
写真はこの日いただいた『ごろごろ木の実の熟成ケーキセット』。焼酎でじっくり1ヶ月以上熟成させた無添加ドライフルーツとナッツがぎっしり。砂糖をまったく使っていないそうですが、ドライフルーツの熟成された甘みだけで十分にスイート。
ドリンクはリンゴ・レモン・ジンジャーの『自家製酵素シロップジュース』。「体にとってもやさしい飲み物なんですよ」という由紀さんの言葉通り、ひとくち、口にふくむと爽やかな香りが鼻を抜け、やさしい甘みが体にしみわたりました。
穏やかに流れる宮島時間が居心地いい
悌輔さんも時々カフェに顔をだして接客を手伝います。
お手製の操り人形を披露している相手は、3年前に旅行で宮島を訪れタムカイマに来店し、悌輔さん・由紀さんとすっかり仲良くなったというスロバキア人夫婦。今年から香川県でワーキングホリデーをすることになったそうで、わざわざ会いに来てくれたのだとか。二人の人柄を感じるエピソードに心がほっこりしました。
『タムカイマ』という店名は古代の日本語で『互いに向かい合う間』という意味。「いにしえからゆっくりと流れる宮島時間をここで感じてほしい」という思いがこめられているそうです。
穏やかな語り口と、はにかむような笑顔が印象的な由紀さんと、飄々とした表情も見せつつ、ユニークな会話と不思議なオーラで会う人を魅了する悌輔さん。
誰もがついつい長居してしまうのは、二人が作った心安らぐ空間と、そこに流れる穏やかな宮島時間のおかげにちがいありません。
タムカイマ
所在地/広島県廿日市市宮島町幸町西浜435-4
営業時間/11:00~18:00
定休日/水曜日・不定休
電話/0829-44-1682
アクセス/宮島フェリー桟橋から徒歩14分
http://tamukaima.com
瀬戸内Finderフォトライター イソナガアキコ
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この記事を取材したフォトライター
イソナガ アキコ
約10年のWEBディレクター業ののち、2014年よりフリーライター。 撮影を含む仕事も増える中、カメラ熱も上昇中。 2019年、インディペンデントな本屋さんを応援する「あいだproject」を創立。 本や本屋を起点にしたイベントをあれこれ妄想しては実行中。 URL/https://isonaga.wixsite.com/aidapress
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