食文化のバトンを継ぐ。一枚一枚こだわりの下津井わかめ/吉又商店(岡山県倉敷市)

乾物屋・吉又商店

回船問屋のある漁師町の一角、軒先に小さく掛けられた手書きの看板。
晴れた日には、間もなく干物になる魚の開きがカラカラと頭上で回っています。

吉又商店では、こだわりの天日干しわかめを扱っています。
通常の乾燥わかめと異なり、長く煮込むと溶けだしてしまうほど繊細で、『しゃぶしゃぶわかめ』と呼ばれます。初めて食べましたが、口の中でとろけます。

主要商品の他にも、海苔、干魚、小海老など下津井沖の海の幸が店頭に並んでいます。
どれでも1つ250円。

もう一度言います。どれでも1つ250円です…!

手摘み・手干しへの徹底したこだわり

吉又商店に並ぶわかめは、一枚一枚、海の中で選別しながら漁を行います。
納得のいく素材を採ってきてくれる漁師さんとの大切に関係を築いているんですね。

そして、水揚げされたわかめを天日干しにします。

実は、下津井わかめが良質で美味しいのには理由があります。
下津井の沖は周辺の海に比べて水深が浅い『瀬』になっていることから、潮の流れが速いという特徴があります。わかめは急な流れにもまれ、肉厚になることなくことなく柔らかく薄いわかめに育ちます。『しゃぶしゃぶわかめ』の秘密が分かりましたね!

名物ばあちゃんと未来へ繋ぐ

「ひー、ふー、みー。あと一個で、ちょうど1000円だねぇ」

何十年も店先に立ち続けてきた商売上手の名物ばあちゃん。
調子が良い日は今でもお客さんのお相手をします。

地域への熱い熱い想いで、吉又商店を引き継いだ余傳吉恵さん(左)。
以前は学校の先生をされていた余傳(よでん)さんは、商品の説明をしてくれる時も、下津井の歴史文化のことまで教えてくれて、もっとお話を聞いていたくなる素敵な雰囲気の持ち主です。

下津井の建物は、いわゆるうなぎの寝床になっており、商売をしながら建て増ししていく文化があり、一番古い蔵は築百年近くたつんだとか。
「この蔵も若い人の自由な発想で使ってもらいたい」と余傳さん。

下津井わかめを、そして瀬戸の食文化を次世代に繋げるために、今日もわかめが風にたなびいています。


株式会社 吉又商店
住所/岡山県倉敷市下津井1-9-12
休業日/不定休(あらかじめご確認ください)
電話/086-479-9017
※営業時間は日によって異なります。
http://shimotuiwakame.com

瀬戸内Finderフォトライター 乙倉慎司

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乙倉 慎司/hiroe

乙倉 慎司/hiroe

乙倉慎司 岡山に18年、山口に6年暮らし、現在は広島の離島に仮移住中。建築・デザインの仕事をしています。日々、点々と移ろいながら、そこで見つけた素敵なひと・こと・ものを皆さんと共有していきたいです。 hiroe 福岡で環境分析研究員として働いた後、ロンドンへ留学。ヨーロッパを旅した後に住み着いたのは、瀬戸内海の美しい自然に囲まれた大崎上島でした。 気の向くままに島から島を渡り歩き、新参者ならではの視点で、瀬戸内特有の暮らし、文化、景色を伝えます。

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