瀬戸内海を見渡せる中世の城跡!
しまなみ海道が通る愛媛県伯方島の東部、瀬戸内海を見渡す丘の上にそびえ立つ木浦城(きのうらじょう)跡。
かつて鎌倉時代にこの地を支配していた紀氏の末裔が1170年頃に築いた城といわれますが、戦国時代には村上水軍が支配する城となりました。
木浦城跡は、現在は『伯方ふるさと歴史公園』として整備されており、居館(天守)や城門が想像的に復元されています。
山城跡としての郭(くるわ:お城の区画のこと)も残っていて、駐車場は本丸よりも一段低い二ノ平に整備されています。
本丸へと登っていく道中に周りを見渡すと、高い土塁や城門内に陣取った守備隊から弓矢などで攻撃を受けやすい造りだったことがよく分かります。
ここはとても守りの堅いお城だったんですね。
本丸には、天守を模した居館と多聞櫓(長屋状の建物で、食料や武具を保管する目的で建造された)を模した資料展示室があります。
両建物内には伯方島の歴史・文化・産業に関する資料が豊富に展示されていて、伯方島に関して知りたいことがあれば、ここに来ればたいていのことは調べられますよ!
瀬戸内海を見下ろす天守の展望回廊!
伯方ふるさと歴史公園のメイン施設は、お城の天守を模した居館。
中世の城跡ですので、当時はこれほど立派な建物は存在しなかったと思われますが、今は3層3階建てのどっしりとした天守が建造され、内部には伯方島内各地の遺跡から出土した古代の土器や石器、製塩土器などが展示されています。また映像によって伯方島の歴史や産業を紹介するコーナーもあります。
居館の最上階(3F)は展望回廊になっていて、二ノ平・三ノ平を含めた城跡の敷地全体を見下ろせ、さらに周辺に広がる瀬戸内海とそこに浮かぶ島々も一望できます。
現在のような立派な居館ではなかったものの、かつてここに見張り用の砦が建てられていましたので、海の景色は当時とほぼ同じはず。
北方には生口島や岩城島などが望めるのですが、その手前の海域を通る船舶を監視するのに適した立地だったことが分かり、水軍海城としての面影を今に残しています。
水軍の名残でもある造船・海運業
下に降りて、居館前の広場に戻ってきました。
右側の城門は、全国的にも珍しい中世前期の砦の姿を、できるだけ当時のまま再現しています。
木浦城は戦国時代には村上水軍が支配する城砦の一つとなり、伯方島ではその頃から造船・海運が主な産業として営まれていました。
城門の前に設置されたプロペラとイカリのモニュメントは、そうした歴史を象徴する記念碑で『造船と海運の町はかた』と記されています。
今も城跡の東側には、眼下に大規模な造船所が見下ろせ、入り江の対岸にも別の造船所が見えます。
実はこの入り江にはかつての水軍城砦がいくつか確認でき、造船所がここに集まっているのは決して偶然ではないはず。
伯方島では住民の1/7が村上姓だそうで、村上水軍の時代から造船術や海運術のノウハウが伝えられてきたのでしょう。
ところで、建造中の船を上から眺めるのは珍しい経験ではないでしょうか?
よく見ると、建造中のタンカーが吊り上げられて海上に浮いています。船底を塗装している行程なのかもしれませんね!
多聞櫓を模した資料展示室では、造船・海運業や『伯方の塩』として有名な製塩業など、伯方島の産業・文化を中心に紹介しています。
先ほどご紹介した村上水軍と海運業の関わりや、製塩と造船・海運業との意外な関わりなど、歴史ファンにとっても興味深い展示内容となっていますよ。
伯方ふるさと歴史公園は、瀬戸内海を見渡す高台にある眺めのよい公園で、中世の木浦城の姿を復元した歴史民俗資料館があり、海を眺めながら歴史のロマンを体感できる絶景スポットです!
◇伯方ふるさと歴史公園
所在地/愛媛県今治市伯方町木浦546
電話/0897-72-2374
参拝時間/9:00~17:00
定休日/毎週月曜日(祝日の場合は原則翌日振替)、12月29日から翌年1月3日まで
入館料/無料
駐車場/あり(無料)
最寄駅/なし
http://museum.city.imabari.ehime.jp/hakata/
瀬戸内Finderフォトライター 松岡広宣
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この記事を取材したフォトライター
松岡 広宣
松岡 広宣/フォトライター 1974年生まれ、兵庫県西宮市出身、西宮市在住。メディアポリス株式会社 代表取締役。 ソーラー発電付きエコキャンピングカー【ソーラーキング号】で全国各地を訪れながら、日本の美しい風景をハイビジョン映像で撮影しています。 できうる限り全国くまなく歩き回って、貴重な日本の自然や風景を映像として後世に残していきたいと考えています。 日本全国を旅していますが、もちろん、地元の瀬戸内も大好きです! 「癒しの国 日本.TV」 ~ 日本全国を「癒しの映像」でバーチャル旅行 http://www.healing-japan.tv/
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