高砂の秋の風物詩。「たかさご万灯祭」
高砂(たかさご)駅のホームに降り立つと、目の前に停車中の車両からジャズの生演奏が聞こえてきます。
毎年9月に行われる『たかさご万灯祭』の開催に合わせて、祭りを盛り上げるため、特別に山陽電車の中でライブが行われているのです。
※2022年は9月17日・18日の予定でしたが、11月12日(土)・13日(日)に延期となりました
たかさご万灯祭(まんとうさい)は、フォトライター堀の独自ランキングによれば、神戸ルミナリエに次いで第2位の、光をテーマにした行事。
2007年に、高砂市高砂町が「伝統的な建造物または集落が周辺の環境と一体をなしている」として、兵庫県の歴史的景観形成地区に指定されたことをきっかけに始まりました。
その魅力は3つあります。
魅力1:闇に浮かぶ歴史的建造物
高砂には江戸時代初期に運河が作られ、高瀬舟が往来し、堀川沿いに蔵が立ち並んでいたといいます。
その後、近代化によって播磨灘に面した工場群が目立つようになりましたが、かつて港町として水運で栄えた歴史を今に伝える建物や、大正・昭和初期の建物がよく残っています。
こちらの『梅ケ枝湯』は昭和18年の開業当時からほとんど変わらない姿の銭湯です。今もファンの多い銭湯のレトロな建物が、夜になってライトアップされると、非常に幻想的です。
万灯祭会場の中でも梅ケ枝湯は人気が高く、建物「の」写真を撮りたい人と建物「と」写真を撮りたい人のせめぎ合いが激しめですが、どうぞ気長に眺めてみてください。
『出汐館(いでしおかん)』は昭和11年に建てられた迎賓施設。
丁寧に刈り込まれた植木の影が真っ白な壁に伸び、色鮮やかなステンドグラスとの対比が印象深いです。
魅力2:食と音楽で活気づく町
こんなに万灯祭が楽しいのは、何よりも高砂の町全体が活気に溢れているからでしょう。
町内随所では『Jazz Gallery』と題してジャズが演奏され、音を頼りに会場が見つけられるほど。
普段は静かな十輪寺にも人が詰めかけ、ビッグバンドが気持ちよく秋の夜空に音楽を響かせます。
幻想的な灯りもいいけど、お腹が空いちゃうよという人は町の中心部の『銀座商店街』でこの日ばかりは買い食い三昧を楽しんでください。
においと行列に誘われて、うなぎが入った贅沢な蒸しおにぎりや揚げたての唐揚げを買ったら、大正解でした。
魅力3:迷子防止の路地キャンドル
日が落ちて暗くなると、生まれ育った町でも道が分かりにくくなるものですが、たかさご万灯祭ではそんな心配はありません。
会場内の通りの両側に点々と『路地キャンドル』が置かれ、私たちを誘導してくれるから。
碁盤の目の町並みが残る約6kmの路地がキャンドルの灯りで結ばれるのです。
いくらスマホがあっても、地図なしで安心して歩けるっていいですよね。
堀川の『水の灯り会場』では、ヨットがLEDで飾られていました。船上の人たちはみんな楽しそう。
最後は、高砂神社の『和みの灯り会場』で締めくくるのがおすすめです。
境内を照らすのは、およそ3000のキャンドル。オレンジ色の光を見つめていると、自然と厳かな気持ちになります。
また来年も来ようか。
2日間だけの特別な夜が待ち遠しくなりますよ。
たかさご万灯祭
会期/例年9月開催
※2022年は9月17日・18日の予定でしたが、11月12日(土)・13日(日)に延期となりました
会場/高砂駅南側一帯
最寄駅/山陽電車高砂駅
駐車場/臨時駐車場有り。ただし、混雑が予想されるため、できるだけ公共交通機関をご利用ください。
https://mantousait.wixsite.com/takasago
瀬戸内Finderフォトライター 堀まどか
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この記事を取材したフォトライター
堀 まどか
堀 まどか/フォトライター 兵庫県生まれ、在住。実務翻訳、外国人起業家支援、通訳案内士(英語)、そしてフォトライター。 ネットマーケティングの外資系スタートアップで進行管理や顧客サポートを担当。 2011年から、フジサンケイビジネスアイ掲載の週刊コラム『ITビジネス最前線』を英日翻訳しています。 日常の風景や旅先で出会った人の表情など、心に触れるものを写真におさめています。瀬戸内のスポット、暮らしぶり、季節感、食を私目線で切り取ります。 写真ブログ http://riderv328.tumblr.com ツイッター https://twitter.com/Riderv328
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