上品に光る鈍色の屋根瓦に白壁の蔵。
一世紀以上もの昔から、商業のまちとして栄えた倉敷市美観地区の統一された美しき町並みには、何度訪れても魅了されてしまうものです。
白壁の間を縫うように、いくつもの路地が走っていることもこの町の特徴のひとつ。
旅先ではわざと迷子になるのが楽しいとは言いますが、GPSは正しい場所を指しているはずなのに、正しくそこへ向かっているはずなのに、まんまと迷子になってしまいました。
ようやく正解の路地を見つけ、たどり着いた先が『常衛門食堂』。
京都で割烹料理を学び、倉敷でフランス料理の店を営んでいたオーナーシェフ・八束さんが2015年にオープンした『町の食堂』です。
「みんなでテーブルを囲む『食卓』のような店にしたかった」と八束シェフ。
1階の土間にある作業台には椅子が並べられており、まさに目の前で料理が繰り広げられます。
ちなみに、この渋〜い店名は以前ここに暮らしていた方の名前からいただいたものだとか。
「2階へどうぞ」と案内された先には、白壁の町と日本庭園を見渡す和室が。
2階の客間は計8テーブルあり、ファミリーも安心して食事を楽しめる広さです。
人気のランチタイムに滑り込めたらラッキー! あとはワクワクしながらその時を待つだけ。
売り切れ必至! 名物「おまかせ定食」
待ってました! 常衛門食堂の『おまかせ定食』、プラスだしまき玉子。
おまかせ定食は、その日のメイン料理・小鉢2皿・ご飯・汁物がセット。
八束シェフの腕前は、ひと口食べれば瞬時に分かります。
味噌汁はダシの香りが豊かに立ち、ほうれん草のおひたしは目を見張るほど美しい。
ポテトサラダはホクホクで、トロトロのクリームコロッケは玉ねぎの歯触りと甘みが生きている。
中でも『常衛門食堂』で絶対に食べてほしいのが、ぷるっぷるでフワッフワのだしまき玉子。
八束シェフ曰く「だしまき玉子とは、ダシ入りの玉子焼きではなく『ダシを閉じ込めた玉子』のこと。
はち切れんばかりのボディーには丁寧に取られたダシがた〜っぷり。
これは箸で掴める茶碗蒸し? ダシの『つなぎ』に玉子を使うなんて、想像もしなかった……!
ひと皿ごとに訪れる感動のために、人々は迷いながらもこの場所を目指すのです。
昼の定食は売り切れ次第終了ですが、夜は一品料理が楽しめる酒場になります。
チキン南蛮に煮込みハンバーグなど気になる献立が並びますが、昼の『おこのみ定食』ではメニューボードの中から好きな一品をメイン料理にすることも可能です。
「どーしてもコレが食べたい!」という時はおこのみ定食をオーダーするか、おまかせ定食に好きな料理をプラスして注文を。
気になるお店の外観はコチラです。よ〜く覚えてくださいね。
取材班はこの日、大通りからこの2階が見えていても一度で到着できませんでした……。
迷った先に美味がある、そう信じて突き進んでください。きっとたどり着けますよ!
常衛門食堂
住所/岡山県倉敷市阿知2-22-2
電話/086-441-0375
営業時間/11:00頃〜売り切れ次第終了、18:00頃〜Last(日曜日は通し営業)
定休日/月曜日
駐車場/なし
Instagram @tsuneemon
瀬戸内Finderフォトライター 塚本 明日香
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この記事を取材したフォトライター
塚本 明日香
広島県尾道市生まれ。 地元誌の編集を10年間経験したのち、現在は瀬戸内エリアの編集者・ライター・Webディレクターとして活動中。愛用カメラはNikon D610。 大人になってからの趣味は演劇と舞。外が好きでどこでもバイクで行きたがる。夢は犬に囲まれて暮らすこと。
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