並んでも食べたい! 飛ぶように売れるじゃこ天の店/練や 正雪(愛媛県松山市)

開店前から行列、数時間で完売の人気店

『じゃこ天』をご存じですか? 愛媛県のソウルフードのひとつで、魚のすり身を平たくして油で揚げたものです。この形の練り物を愛媛では『天ぷら』と呼びますが、その中で『じゃこ天』は、小魚の骨のジャリッっとした食感が特徴のひと品です。

愛媛県内に多数ある天ぷら・じゃこ天の店のうち、今回は松山市の港町、三津地区にある三津浜商店街の『練や 正雪(ねりや しょうせつ)』を訪ねました。

『正雪』は、毎日開店後の数時間で売り切れてしまうという大人気店。10時の開店前から店の前には既に行列が! オープンすると暖簾がかけられるのも待ちきれない様子で、待ってましたとばかりに列が動き出しました。

カウンターの上にずらりと天ぷらが並んでいます。
じゃこ天、じゃこカツ、そして具材入りの天ぷらが5種類(野菜、しょうが、タコネギ、エビ、きくらげ)、さらにレジ前のガラスケース内に、大、中、2種類の竹輪。揚げたてのいい香りが店内に漂います。どれも美味しそう!

テイクアウト形式で、お客さんは一列に並んで入口脇にある容器とトングを手に、自分で好きな商品を詰めてレジへ持って行きます。容器が一杯になったら再度列の最後尾に並んで新たに詰めて、という具合にたくさん買う人も多く、あっという間にカウンターの上はからっぽ。
ガラスの向こうでどんどん揚げているのが見えますが、追いつかないほどです。『飛ぶように売れる』とは、こういう様子を言うのだなと実感。

小さな紙袋も置いてあって、買ってすぐ揚げたてにかぶりつくこともできますよ。

作っているところをちょっと拝見!

店主の酒井正雪さんは、『まさゆき』さんと読む名前なのですが、昔から『しょうせつ』さんと呼ばれることが多く、それもいいかなとお店の名前にしたそうです。
三津で生まれ育った正雪さんの家は代々練り物屋で、加工と配送のみを行っていましたが、正雪さんはお客さんの声が直接聞こえる小売をしようと、この場所に店を構えました。それが大ヒット!「大変だけど、とてもやりがいがあります」と正雪さん。

天ぷらは、左手に持っている木型ですり身を楕円形にして揚げていきます。木型は近所の建具屋さんが「作ってあげるよ」と引き受けてくれたのだそう。和気あいあいとした町のコミュニティが目に浮かびます。

商品のベースになる白身魚のすり身は、身だけを使い数回晒して余分なタンパク等を除いた真っ白の生地。一方じゃこ天は、骨や皮も使うので生地が少しグレーがかっていて、栄養も豊富。
写真の機械の中にあるのがじゃこ天の生地。ベースの白身に、柔らかい食感のシログチと、旨みを引き出すハランボ、アジなどを合わせています。

最初の攪拌だけこの機械を使いますが、よく見てください、石臼です!正雪さんによると「生魚を扱う時、これじゃないとどうもしっくり来ん」のだそう。ステンレス素材では出せないヒミツの何かが、石臼にはあるようです。

これがじゃこ天に欠かせないハランボ。ホタルジャコとも呼ばれる小さな魚です。キラキラ光っていて、新鮮さは一目瞭然。一匹ずつ頭やウロコを落としていきます。
このお店の人気ナンバーワン商品のじゃこ天は、こうした丁寧な手作業があってこその美味しさなのですね。

ちなみにじゃこ天の特徴であるジャリジャリ感は、店によってさまざまです。こちらの店では「少し抑えめ」と正雪さん。ふっくら分厚い生地の中でまさにベストバランス!と思える絶妙な歯ごたえですよ。

愛媛の新名物や、昔ながらの味も

パン粉をつけて揚げているのは『じゃこカツ』。じゃこ天の生地にニンジンやタマネギなどの野菜が混ぜられています。サクッとしたパン粉と野菜の甘みがたまりません! そのままスナック感覚で食べたりパンに挟んだり、もちろんご飯のおかずにも。
じゃこカツは愛媛の新時代のソウルフードで、誕生してまだ20数年くらいですが、県内ではすっかりスタンダードです。

竹輪もぜひ、おすすめしたい逸品です。時間をかけて炙られた香ばしい皮の風味と、何といってもしっかりとした歯ごたえが特徴。プリプリと弾力があり、噛むほどに魚の旨みが滲み出てきます。
竹串付きのまま売られているので、一本豪快にかじってみては?

町のコミュニティが支える三津の人気店

地方発送も受け付けています。
包みのイラストも味がありますね!こちらは近所のフランス料理店の奥様が描いてくれたのだそう。町のコミュニティから生まれた、素敵なパッケージですね。

正雪さんは三津という町をとても大切に思っていて、三津の町を活性化させる活動もしています。昔からの住民や新しく来た若い世代、新旧様々なタイプのお店。町のみんながそれぞれの得意分野でつながり合って、盛り上げて行こうという姿勢が、お話の中やお店の中の随所に感じられました。

『正雪』では機械をほとんど使わない手作りで、また保存料無添加なので大量生産はできず、それでもひっきりなしに作って1日約千枚作りますが、予約だけでも毎日平均300〜400枚あるそうです。
予約しないで行くなら午前中に、確実にゲットするには朝10時のオープンを目指しましょう!

伊予鉄道高浜線・三津駅までのアクセスはコチラ

練や 正雪
所在地/愛媛県松山市住吉1丁目5-3
最寄駅/伊予鉄道高浜線 三津駅
営業時間/10:00〜売切次第
定休日/木曜、第4日曜
電話/089-994-5809
http://www.neriya-shousetsu.com

瀬戸内Finderフォトライター 矢野智子

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矢野 智子

矢野 智子

1970年、愛媛県今治市生まれ。松山市在住。 大学時代を京都で過ごした後愛媛に戻り、システムエンジニアとして年の半分以上は県外出張という旅人のような生活を20年近く続けました。 退職後、愛媛を紹介する本を友人と作ったことをきっかけに、自分の「夢」と愛媛の魅力を再発見。地元出版社で編集のイロハを学び、現在は自らを「ことばのデザイナー」と称しフリーで活動中。書く、作る、伝えることに力をそそいでいます。

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