岡山県、宮本村。宮本武蔵のルーツを辿る旅
安土桃山時代から江戸時代にかけて多くの戦いの中を生き抜いた剣豪『宮本武蔵』。
昭和初期、吉川英治作の小説『宮本武蔵』が彼の名前を有名にし、その後映画やドラマ、漫画などにリメイクされました。
剣術道場を開設していた京都の吉岡一門をたった一人で破り、剣客佐々木小次郎との決闘に櫂を削って作った木刀で勝利するなど、剣で敵う者がいなかったと伝わるその生涯は、物語の中でさまざまに描かれているものの、細かな事実はいまだ謎が多いそうです。
宮本武蔵はどのような人だったのでしょうか。小説『宮本武蔵』で生まれ故郷と紹介されている『宮本村』(岡山県美作市宮本)に行ってきました。
智頭急行の各駅停車のみ停車する『宮本武蔵』駅は人名がそのまま駅名になっている珍しい駅です。降り立つと、たけぞう(若き日の宮本武蔵)が迎えてくれます。
宮本武蔵駅から700メートルほど歩くと、武蔵武道館や記念碑、生家などのある一帯が見えてきます。生家隣にある、讃甘(さのも)神社は古く歴史ある神社で、里に戻っていた武蔵が宮司の太鼓のバチさばきを見て、二天一流の兵法を思いついたという説があるとか。
そもそも命の危険が迫る戦いでは、腰についた刀を全部役に立てたいという思いがあったようです。
父親の新免無二斎も剣の達人だったそう。幼いながらも父親の剣術に反抗していた武蔵。かなり暴れん坊な性格で、村人から怖がられていたそうです。
剣道上達祈願にも!剣豪を祀る『武蔵神社』
生家から鎌坂のツツジ畑を横目に歩くこと3分。武蔵自身が祀られている『武蔵神社』に到着します。本堂では剣道の上達祈願をした絵馬や、使い終えた竹刀が奉納されています。
本堂から右手、木々の溢れ日が美しい森の中に武蔵と父親の無二斎のお墓があります。このお墓は宮本武蔵の養子伊織が熊本で逝去した武蔵の魂を里に帰すため分骨したといわれていて、現在は地元で守られています。
武蔵をゆっくり見る、知る、体験する『五輪坊』
宮本武蔵資料館がある『五輪坊』。宿泊施設や食堂、温泉、剣道場も備える複合施設です。本館2階には合宿もできる宿泊場所があり夏は団体で混み合うそう。
茶室も構える別館(交流館)にはツインベッドや畳で少人数が泊まれる部屋もあります。
10月下旬から11月上旬の紅葉シーズンには庭の木々も色付きさらに趣がある空間に。
五輪坊の本館にある『武蔵資料館』。五輪坊では絵画の複製が展示してありますが、達磨図は美作市内に本物が保管されているそうです。日本の兵法の中でも代表兵法書の一つとなっている『五輪書』(複製)も。五輪書は宮本武蔵が作成したのち、弟子の孫乃氶と求馬助に託され、秘文として扱われていました。実物はいまだ見つかっていないそうです。
五輪書は身近な例で具体的に書かれているため、兵法だけでなく処世にも活用できるようで現代的に解釈した書物もたくさん出版されています。ビジネス書としても人気だそう。
資料館の奥にある指定書付きの刀のつばは武蔵が作成した実物とのこと。
武蔵のこともっと詳しく知りたい!という方には、五輪坊に事前に連絡するのがオススメです。スタッフと来館の時間があえば館内の説明をしてくれるサービス(日本語対応)を無料でされています。入館料500円のみで、詳しい説明を受けられるのはありがたいですね。要予約です!
武蔵の里一帯を見るだけではなく、深く体験したい方はぜひ本館隣にある剣道場『武蔵道場』へ。
空いていれば1日700円で利用できるそうです。竹刀や防具などの備品は貸し出ししていないので持ってきてくださいね。
海鼠透鍔をモチーフとした武蔵武道館
遠くから見ても目立つ『武蔵武道館』は宮本武蔵が作った刀のつば『海鼠透鍔(なまこすかしつば)』が元となったという立派な武道館です。メインアリーナには剣道のコートが6面あるほか、バレーボールなどの球技でも使えます。
この日は『お通杯』と言われる総務大臣賞争奪、第17回宮本武蔵顕彰女子剣道大会が行われていました。会場には女性剣士の威勢の良い声が響き渡ります。1階は選手のみ出入りできますが、2階では一般観戦もできるので、試合がある日は覗いてみてもいいかも。
一般観戦が許可されないこともあるので、詳しくは1階事務所を訪ねてみてくださいね!
まだまだ謎の多い剣豪、宮本武蔵。色々な資料を見比べた中で自分なりのストーリーを作ってもいいかもしれません。
武蔵の里 五輪坊
住所/岡山県美作市宮本94
電話/0868-78-4600
入場料/武蔵資料館500円
宿泊料/1部屋2名利用1泊2食付7,000円~、素泊まり3,900円〜
※さまざまなプランがあるので詳しくはお問い合わせください
定休日/なし
駐車場/あり
http://musashi5.html.xdomain.jp
宮本武蔵駅までのアクセスはコチラ
武蔵武道館
住所/岡山県美作市今岡754-1
電話/0868-78-7634
料金/メインアリーナは1時間2,000円〜4,000円
定休日/土日祝
駐車場/あり
http://www.city.mimasaka.lg.jp/soshiki/kikaku/sports/shisetsu/1463536504543.html
瀬戸内Finderフォトライター 沢坂千晶
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この記事を取材したフォトライター
沢坂 千晶
岡山県出身、2010年にUターンし在住。 元システムエンジニア。帰郷後はローカル情報誌の制作や、団体の広報、組織運営などに携わる。 佇んでしまうほど美しい姿を見せる自然と人情味あふれる優しい人たちが好き。 岡山と周辺の、いい場所、いい人、いいものをお伝えしていければと思っています。
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