趣向をこらしたイベントが、全国各地で次々に立ち上がる現代アート。ここ愛媛県松山市の道後エリアでも2013年から、現代アートの祭典が毎年開かれています。
温泉×アートは『道後温泉本館』から
温泉(ONSEN)とアート(ART)で、オンセナート(ONSENART)。イベント名の通り、道後の湯のまちに、アートの作品を配置したり、ホテルの一室まるごとアート作品にしたりと、温泉エリアとアートがコラボする祭典です。
現在開催している『道後オンセナート2018』(~2019年2月28日)は、国内外のアーティスト25名が参加。今回は見学無料の『パブリック作品』のなかから一部をご紹介します。
アーティストたちの創作の核になっているのが「道後温泉本館」。祭典のテーマはこの本館へのオマージュです。では建物の内部に設置された作品から見てみましょう!
本館1階の廊下の壁には、写真家の浅田政志さん作品『鷺の恩返し』(こちらの見学は道後温泉本館利用料が必要)。
白鷺が道後の湯で傷を癒したと伝えられる太古の伝説から着想し、浅田さんが鳥人間鷺太郎に扮し、現代までの変遷を8つの連作で仕上げたセルフポートレート。全身全霊の遊び心がディテールにあらわれています。
道後温泉本館を見つめる、湯のまちのクマさん
本館を後にして、ぐるっと裏手に回ると、巨大なブロンズ製のクマに遭遇! こちらは巨大な木彫りの動物の作品で知られる彫刻家三沢厚彦さんの作品『Animal 2017-01-B2(クマ)』。高さ3メートル超え、重さ1.5トンの迫力をぜひ。
表情がちょっぴり怖いクマさんも裏からみると哀愁さえ感じる……。角度や見方を変えれば、作品の雰囲気もかなり変わりますね。
風景になじむ作品さがしはオンセナートの妙味
そこから坂を下りていく道中にあるのが『傾いた風呂椅子』(久村卓)。インパクトがある作品なのに、風景になじんでいるので見落としのないように。作品の脚部分に座ったり、傾きをなおすポーズをしたりと工夫次第で、おもしろい写真が撮れそう。
店舗やビルの壁など、まちに溶け込む作品が多いのも『道後オンセナート』の特徴です。宝探しのような作品の出逢いがこの祭典の妙味かも。
ニュースポット『飛鳥乃湯泉』周辺も要チェック
次は、2017年にオープンした『飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)』へ。この中庭にある真っ赤な作品は国内外で活躍する大巻伸嗣さん作『つばき』。赤い花弁の中に入ることができます。おしべやめしべになって作品の一部になってみて。
大巻さんの作品は飛鳥乃湯泉の隣にある『椿の湯』にもあります。ねぶたの技法を用いた彫刻作品『Echoes 月光』は松山市の花のツバキがモチーフ。暗くなると作品にあでやかさが増します。
道後商店街のアーケードには、写真集『うめめ』で知られる写真家・梅佳代さんのいくつもの大きなバナーが垂れています。地元の中学生がモデルとなり、道後温泉本館で撮影した作品『坊っちゃんたち』。子どもたちの無邪気な表情をみごとに引き出した写真から、被写体への愛情をたっぷりと感じます。
紹介した作品はほんの一部。身体を癒やす温泉といっしょにアートの湯にも浸って、身もこころも開放してくださいね。
道後オンセナート2018
住所/道後温泉本館周辺
時間/作品によって違うため下記HP参照
駐車場/無料駐車場は無(周辺のコインパーキングを利用)
http://dogoonsenart.com
道後温泉駅までのアクセスはコチラ
瀬戸内Finderフォトライター ハタノエリ
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この記事を取材したフォトライター
ハタノ エリ
1978年宮崎県生まれ。愛媛県松山市在住。 新聞記者のちフリーライター。 日常にも、おもてなしの心があふれる愛媛。2年前、この地を離れても忘れられず、2017年春、戻ってきました!訪れたらきっと、大好きになる。そんな確信があるからこそ、誰かの「愛媛行き」を、グッと後押しする記事を書いていきたい。
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