交流を生み出す『港』PORT ART & DESIGN TSUYAMA
大正9年に竣工した、旧妹尾銀行林田支店。その後、洋学資料館としても使われた建物が大正の面影を残しつつ、2018年10月ギャラリーとして生まれ変わりました。
地域内の魅力を外に、地域外の刺激を中に入れ、交流させ循環させるギャラリー『PORT ART & DESIGN TSUYAMA』が話題になっています。
場所は、岡山県津山市の国道53号線から1本入る旧出雲街道沿い、現在の津山洋学資料館や、津山藩の藩医・箕作阮甫(みつくり げんぽ)の生家などが並ぶ道筋です。
石造りの門を抜け木造建築の本館に足を踏み入れると現れるのは、そこが銀行の受付であったことを思わせる8mの欅一枚板。天井や扉の繊細で端正な意匠に、大正時代の華やかさが息づいています。
本館は普段カフェスペースとして解放されていますが、企画によりイベントスペースにも早変わり。2018年12月開催のクリスマスマーケットでは毎週内容が異なるワークショップなども行われています。
企画展として館長の飯綱さんがキュレーションした質の高い作品を展示販売している旧金庫、倉庫棟。企画展なので展示でガラっと印象が変わりますが、この時はガラス作家の作品群と、石造り・赤煉瓦造りの空間がマッチして、歴史ある美術館のような重厚感を醸していました。
クリスマスマーケットではポップで華やかな印象に。内容が違えば何度訪れても楽しめます。それぞれに味わいがありますが、空間の雰囲気を感じて見るだけでも、センスが磨かれそう。
PORT ART & DESIGN TSUYAMAは美術館ではなく、アートギャラリーなので作品に値札がついていて、購入することもできるんですよ!
館長の飯綱洋平さんは、フランス・イギリスでデザインや建築を学び、東京での勤務の後、地元の岡山県北に居を移されました。このハイセンスなPORT ART & DESIGN TSUYAMAには飯綱さんの知識と経験が生かされています。
「PORT ART DESIGN TSUYAMAは港のように交流を生み出し、外の文化の”インポート”、中の文化を”エクスポート”するという意味があります。昔は吉井川に船着場があった歴史もありますし」と穏やかな口調で話す飯綱さん。お客さんとの対話も大切にし、多様な交流が広がっているようです。
津山で格別の『珈琲』をいただく
津山市は江戸時代に蘭学や植物学、西洋医学を輸入し科学の発展に貢献した宇田川榕庵(うたがわ ようあん)に所縁のある土地でもあります。PORT ART & DESIGN TSUYAMAとなる前、ここは宇田川家などの資料を展示した津山洋学資料館でした。
薬として珈琲を輸入したという説もある宇田川榕菴は『珈琲』の漢字を作ったことでも有名です。当時インドネシアから豆が輸入されていたそうですが、COFEE STANDでいただける珈琲は津山市内の焙煎所『レインボーコーヒー』が選び焙煎したインドネシアの豆。オーダーが入ってから豆を挽き、淹れたての珈琲を楽しむことができます。
様々な人が交差していく場所、PORT ART & DESIGN TSUYAMA。美味しい珈琲と大正時代の趣が残るハイセンスな空間で刺激を受けてみてはどうでしょうか。
PORT ART & DESIGN TSUYAMA
住所/岡山県津山市川崎823
営業時間/10:00〜18:00
電話/0868-20-1682
定休日/火曜日(祝祭日の場合は直後の平日)、祝祭日の次の平日、年末年始
駐車場/専用駐車場5台、施設から西へ100m
https://www.port-tsuyama.com
最寄り駅/JR津山駅、ごんごバス東松原バス停
瀬戸内Finderフォトライター 沢坂千晶
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この記事を取材したフォトライター
沢坂 千晶
岡山県出身、2010年にUターンし在住。 元システムエンジニア。帰郷後はローカル情報誌の制作や、団体の広報、組織運営などに携わる。 佇んでしまうほど美しい姿を見せる自然と人情味あふれる優しい人たちが好き。 岡山と周辺の、いい場所、いい人、いいものをお伝えしていければと思っています。
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