「いい町にはいい本屋がある」そんな信念のもと、街の魅力的な本屋を訪ねて歩く〈素敵な街の本屋さんinせとうち〉シリーズ。
勝手に(!)始めたこの企画も第3弾となります。
今回は素敵本屋さんを求めて、愛媛県までやって来ました!
本と雑貨をハシゴして、コーヒーも飲める!
訪れたのは、「日本100名城」にも選ばれている『松山城』がある愛媛県松山市の中心街。
松山市役所前駅から伊予鉄道のチンチン電車に揺られること約5分。
松山市駅という駅で降り、商店街の脇道を入った先の路地沿いに建つレトロビルに『本の轍(わだち)』があります。
大きな窓から陽光が差し込む明るい店内に、古本、新刊、雑貨がバランスよく配置されています。
聞けば、8割近くが古本ということですが、古本屋のイメージとはかけ離れたポップな雰囲気はまるで女子が大好きな雑貨屋さんのよう。
店内には、注文を聞いてから丁寧に挿れるドリップコーヒーやクラフトビールが飲める席もあります。
この素敵な本屋を営むのは、越智政尚さん・千代さん夫妻。
千代さんは広島や愛媛で雑貨販売に携わり、『文化屋雑貨店』の店長を務めていたこともあるそう。
政尚さんは、誰もが知る広島の某大手生活総合雑貨店の立ち上げにも関わったそうで、いわばお二人とも雑貨のプロフェッショナル。センスの良さはお墨付きです。
昔から雑貨と古本が好きだったというお二人は、“好き”のカテゴリーがかなり重複しているそうで、店内にあるものはすべて、お二人ともが好きなものばかりだそう。
懐かしの古本に脳内タイムスリップ
まず私の目を釘付けにしたのがこちら! スパイの棚です。
この棚の本をすべて制覇したら、かっこいいスパイになれそうな気がしませんか!?
そしてこの『スパイ手帳』がシュールすぎるでしょっ!
次に目をつけたのが、洋書の古本コーナーとロシア製のミシンのおもちゃ!
子どもの頃、ミシンのおもちゃが欲しくて欲しくてねだった経験のある私は、懐かしくて叫んでしまいました。
一緒に置いてある古本の装丁も、ため息が溢れるほど素敵。
柔らかな色と優しいタッチで描かれた装丁のイラストは、もはやアート作品です。
日本製の絵本の古本もたくさんあって、取材も忘れて脳内タイムスリップ状態。
ノスタルジーな世界にどっぷりハマってしまいました。
洋書の古本とは微妙にニュアンスが異なるのですが、この和のレトロ感もたまらない!
棚をじっくり見せてもらって感じたのは古本の状態が素晴らしく良好ということ。
新刊と並べてもまったく遜色ありません。
それは越智さん夫妻の本への愛はもちろんのこと、「古本に興味がない女性や若い人にも、雑貨のように気軽に手にとってもらえるように」という思いも込められています。
絵本や児童書ばかりではありません。
大人のための実用書や趣味の本もたくさん! 政尚さんお気に入りの棚がこちら!
ジャズや映画の評論家、植草甚一さんの本が大好きだそうで、こんなジャズの棚が作られていました。
……と、この棚を見ていて、ある物を発見してしまいました。
それは中身も忠実に再現された昭和を代表する雑誌の豆本、『タイムスリップグリコ 思い出のマガジン』。
「もしや、あの伝説の雑誌の豆本はありませんよね?!」と尋ねてみたら……
ありましたーーー!『Olive』の豆本!
しかも同号のオリジナルまで!! 感動しすぎて鳥肌立ちました。
私があんまり興奮しすぎたので、千代さんがなんとこの豆本をプレゼントしてくれました。
一生の宝物にします!!(涙)
旅の思い出のお土産もたくさん
そんな優しい千代さんは、幼少の頃から洋裁や編み物が大好きで、現在は編み物作家としても活躍中。
写真右上にも写っている、レース編みで作った地球色の『世界一周トラベリンゴ』は2015年にminneハンドメイド大賞企業賞を受賞。
ニューヨークでも作品展に出展したり、ワークショップを行ったそうです。
この写真ではわかりにくいのですが、アップルウォッチをレース編みで表現した『編みアップルウォッチ』は、世界的に有名なアーティストも愛用しているとか。
こんなお土産をプレゼントしたら、きっとどんな友達も喜んでくれることでしょう!
自分の“好き”をいろいろ再発見できた、愛媛本屋巡りの旅。
後ろ髪を引かれながら、「また訪れます」と約束して取材を終えました。
最近は本屋巡りの旅もブームのようで、私のような女性観光客も少なくないとか。
一期一会の出会いを旅の思い出に。
特別のお土産にとっておきの本や、ここにしかないモノを選んでみてはいかがでしょう。
受け取ったあの人も、ちょっと意外な!?旅のお土産をきっと喜んでくれるはずです。
本の轍(ほんのわだち)
住所/愛媛県松山市春日町13-10 小田原ビル101
最寄り駅/伊予鉄道 松山市駅 徒歩4分
電話/089-950-4133
営業時間/13:00~19:00
定休日/不定休
https://twitter.com/honno_wadachi
Twitterで本の入荷情報やイベント情報発信中。ぜひチェックしてください! 伊予鉄道 松山市駅までのアクセスはコチラ
瀬戸内Finderフォトライター イソナガアキコ
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この記事を取材したフォトライター
イソナガ アキコ
約10年のWEBディレクター業ののち、2014年よりフリーライター。 撮影を含む仕事も増える中、カメラ熱も上昇中。 2019年、インディペンデントな本屋さんを応援する「あいだproject」を創立。 本や本屋を起点にしたイベントをあれこれ妄想しては実行中。 URL/https://isonaga.wixsite.com/aidapress
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