歌と踊り、美貌と華やかさで観客を魅了し、非日常へといざなう宝塚歌劇。宝塚音楽学校を卒業した女性のみで構成される歌劇団で、団員は“タカラジェンヌ”とも呼ばれ、絶大な人気を誇ります。
「タカラヅカは知っているけれど、実際に観たことはない」
「きらびやかで、気後れしてしまいそう」
そんな“ヅカ”初心者のみなさん、まずは阪急電車に揺られて宝塚大劇場に足を運んでみませんか。
もちろんチケットを事前に購入して観劇に訪れるのが宝塚歌劇の最高の楽しみ方ですが、宝塚大劇場にはチケットを持っていなくても楽しめるエリアもあるんです。
それでは、肩の力を抜いて早速大劇場に向かってみましょう。
最寄りの宝塚駅前では、宝塚歌劇100周年(2014年)を記念して市が設置した像に迎えられます。
タカラジェンヌにも人気の老舗和菓子屋さんやティーハウスのある駅前ショッピングエリアを抜けて『花のみち』へ。1924年の宝塚大劇場オープン時に造られた歴史ある道です。
開演1時間前のゲートは賑やかですね。テーマパークの入り口のようで、ワクワクしてきました。
『宝塚歌劇の殿堂』で伝統の礎を知る
宝塚大劇場でまず紹介したいのは『宝塚歌劇の殿堂』。100周年を記念して開かれた新しい施設です。
2階では、宝塚歌劇発展に大きく貢献した卒業生やスタッフが紹介されています。テレビや映画で華々しく活躍する卒業生の写真や手形、ゆかりの品が展示され、美しさにため息が出ます。
ここで、宝塚歌劇の歴史も学んでおきましょう。
その誕生は1914年。阪急電鉄の前身を創設した小林一三が乗客誘致のため、宝塚に開業した温泉レジャー施設でのことでした。施設の目玉であった室内プールが閉鎖に追い込まれたとき、小林はそこを改装して余興をしようとひらめいたのです。宝塚少女歌劇第一回公演の舞台は元は脱衣所、客席は蓋をしたプールだったというから驚きです。まさに逆転の発想でした。
その後、宝塚音楽歌劇学校が設立され、観客は増え、組が生まれ、宝塚大劇場が建ち、東京にも東京宝塚劇場が開場します。
これは、1927年に上演されて話題をさらった日本初のレビュー『モン・パリ』の舞台写真です。日本で初めてラインダンスが披露された公演だといわれます。戦後、宝塚歌劇の人気は再燃し、ブロードウェイ作品への挑戦や『ベルサイユのばら』の大ブームなどを経て日本芸能界における不動の地位を築き、進化を続けています。
3階では、宝塚歌劇で実際に使われた衣装を展示しています。現在公演中の組のスターが前回公演で身に着けた衣装が並ぶので、熱心なファンは必ずチェックするのだそうです。
年に数回、テーマを変えた企画展もおこなわれています。たとえば『台湾公演展』では、台湾公演時の衣装や小道具を間近で見学することができます。原作の、台湾伝統芸能『布袋劇(ほていげき)』の人形も見ごたえがありました。
※3階の展示内容は公演により異なります。第15回企画展『台湾公演展』は2019年3月11日(月)まで。
ヅカメイクで変身写真が撮影できる
公演ごとにデザインされる衣裳は、宝塚歌劇の華やかさの重要な部分を担っていることがわかりました。そんな衣裳(レプリカ)に実際に袖を通して写真撮影できるのが『ステージスタジオ』という施設です。
ここでは、2種類の撮影体験を提供しています。気軽に立ち寄って、舞台メイクなしで衣裳を着るのが『ショートステージ』。もうひとつは、ばっちり舞台メイクをしてタカラジェンヌになりきる『メイクステージ』です。
受付から帰りの身支度までに2時間ほどかかるというメイクステージの完成度は、やっぱりすごい。変身願望を実現したい人や新しい自分を発見したい人におすすめです!
宝塚大劇場限定オリジナルグッズを手に入れる
“チケットがなくても楽しめる”シリーズ、最後は食事やショッピングで締めくくりましょう。公演中の時間帯なら、宝塚ホテルの運営するレストランやカフェがすいていて、優雅にくつろぐことができます。
お土産ショップも充実しています。
ここでしか手に入らない、カレルチャペック紅茶店の宝塚大劇場オリジナル商品があったり、
ル・クルーゼのカップの内側に、かわいいラインダンスのデザインがあったり。
公演前後は身動きが取れないほど大人気のお店『キャトルレーヴ』には、公演ごとの限定グッズやスター関連のグッズがそろっています。
ロビーにはなんと郵便局まであるんです。『宝塚レビュー郵便局』のレトロなポストに手紙を投函すれば、ラインダンス柄の特別な消印を押してもらえるとあって、結婚式の招待状をここから出す人もいるのだとか。
観劇チケットを手にいざ劇場内へ
さて、大劇場改札を通過して、ここからは観劇チケットを持っている人のみが入れるエリアです。
真っ赤な絨毯を踏みしめて階段を一歩一歩上がり、宝塚歌劇の世界にいよいよ足を踏み入れていきます。胸が高鳴りますね。
階段脇に置かれたピアノは一見普通のピアノですが、実はとっても珍しいすみれ色をしているんだそうです(『すみれの花咲く頃』という楽曲にちなんで、すみれ色は宝塚歌劇を象徴する色になっています)。
宝塚大劇場を一度訪れれば、これまで気付かなかった“ヅカ”の魅力が見えてきます。オペラグラスを借りて観劇した後には、すっかりスターの眼差しの虜になっているかもしれません。
もうひとつ知っておきたいのは、どの公演にも必ず『当日B席』と『立見』券が用意されているということ。公演内容や時間帯によってはあまり並ばなくてもお得に観劇できるので、当日券情報もぜひチェックしてみてくださいね。
宝塚大劇場・宝塚バウホール
住所/兵庫県宝塚市栄町1-1-57
電話/0570-00-5100(宝塚歌劇インフォメーションセンター)
最寄駅/阪急電鉄宝塚駅、JR宝塚駅
駐車場/有り。普通車20分200円、1日最大1,000円、バス・マイクロバス1日2,000円(要予約)
入館料/宝塚歌劇の殿堂:500円(小学生以上)
定休日/水曜日
営業時間/10:00〜18:00
https://kageki.hankyu.co.jp
瀬戸内Finderフォトライター 堀まどか
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この記事を取材したフォトライター
堀 まどか
堀 まどか/フォトライター 兵庫県生まれ、在住。実務翻訳、外国人起業家支援、通訳案内士(英語)、そしてフォトライター。 ネットマーケティングの外資系スタートアップで進行管理や顧客サポートを担当。 2011年から、フジサンケイビジネスアイ掲載の週刊コラム『ITビジネス最前線』を英日翻訳しています。 日常の風景や旅先で出会った人の表情など、心に触れるものを写真におさめています。瀬戸内のスポット、暮らしぶり、季節感、食を私目線で切り取ります。 写真ブログ http://riderv328.tumblr.com ツイッター https://twitter.com/Riderv328
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