瀬戸内海と日本海をつなぐ関門海峡の九州側、門司港はレトロでモダンな建物が立ち並ぶエリア。対岸の下関に来たら、こちらにも足を延ばしてみては……
スポット 1
関門海峡を5分で往来! 関門連絡船に乗って九州へ
本州最西端の市、下関市の対岸は九州。人気の市場や水族館など観光スポットが建ち並ぶ唐戸にある桟橋からは約20分間隔で関門連絡船が航行しており、その所要時間は5分。あっという間に九州の玄関口・門司港へ到着します。
古くから物流の拠点として栄えてきた門司港は、当時の面影を残しつつ、レトロでモダンな建物が数多くあります。今回は渡船乗り場や駅から約600メートルの範囲内で見て歩ける建築を中心にご紹介。
関門連絡船(下関側乗り場/唐戸桟橋)※巌流島航路も同じ乗り場です
住所/山口県下関市あるかぽーと1-5
http://www.kanmon-kisen.co.jp/route/kanmon.html
スポット 2
よみがえった大正ロマンの駅舎、JR門司港駅
2019年、数年間の保存修理工事を経て、1914(大正3)年の開業当時の姿に復元されました。木造2階建ての駅舎は『ネオルネサンス様式』といわれ、特徴的な左右対称のデザインは、門を表しているとも。1988(昭和63)年には鉄道駅舎として初めて国の重要文化財に指定されました。
切符売り場やみどりの窓口もタイムスリップしたかのような空間です。駅構内にはカフェ、レストランやコンビニエンスストアのほか、手洗い場や待合室など随所にこれまでの歴史を感じさせる跡や造りが残っています。駅の歩みを知ることができる動画パネルは、5カ国(日・英・韓・中2種類)語で再生可能です。
JR門司港駅
住所/福岡県北九州市門司区西海岸1-5-31
スポット 3
今も現役のオフィスビル、門司郵船ビル
門司港駅の正面にあるのは、日本郵船門司支店として建てられ、1927(昭和2)年に竣工したビルです。現在は門司郵船ビルとして、数社が入居するオフィスビルとなっています。1階のコンビニエンスストアの外観も、外壁と調和するカラーリングです。
門司郵船ビル
住所/福岡県北九州市門司区港町7-8
外観のみ見学可
スポット 4
近代化を示す社交場、旧門司三井倶楽部
同じ並びにある『旧門司三井倶楽部』は、1921(大正10)年に三井物産門司支店が接客や宿泊用に建設したもので、アインシュタイン夫妻が宿泊したことでも知られています。現在は1階がレストランやイベントホール、2階にアインシュタインメモリアルルームと門司出身(下関で生誕との説もあり)の作家・林芙美子の記念室があります。
旧門司三井倶楽部
住所/福岡県北九州市門司区港町7-1
開館時間/9:00~17:00、無休
入館料/大人150円・小中学生70円
スポット 5
八角形の塔屋・オレンジと白色の外壁が『港の美貌』とうたわれた、旧大阪商船
大阪商船は門司港を大陸航路の一大拠点としていたそうで、1917(大正6)年に建てられたものを修復。現在は1階にカフェと地元アーティストの作品を展示販売するショップ、地元出身のイラストレーター、わたせせいぞうさんのギャラリーが入っています。
この写真を見てお気付きかと思いますが、レトロ地区は結婚式の前撮りのロケ地としても話題です。特に関門海峡エリアは『フォトウエディングの聖地・関門』と銘打ち、官民が連携し撮影を兼ねての旅行を推し進めています。なかでも外国人カップルから人気で、非日常の衣装と風景のなかで記念撮影ができると好評なのだとか。ご予定のある方、検討してみてはいかがでしょう?
旧大阪商船
住所/福岡県北九州市門司区港町7-18
開館時間/9:00~17:00、無休
※わたせせいぞうギャラリーのみ入館料大人150円・小中学生70円。休館日あり
フォトウエディングについては
『フォトウエディングの聖地・関門』 http://kanmon-wedding.com
スポット 6
赤と白の洋館、大連友好記念館
おみやげ屋さんや飲食店が並ぶ『海峡プラザ』の横を通り、フリーマーケットなどイベント会場になっているレトロ中央広場の方へと進むと、こちらにも洋館が。
レトロとはちょっと趣が異なる建物は北九州市と友好都市関係にある中国・大連市の締結15周年を記念し、大連市にある歴史的建造物を複製建築したものです。モデルとなった建物は1902年に帝政ロシアが鉄道汽船会社の事務所として建設し、戦後は集合住宅としても使われたそう。現在は1階にレストラン、2階はどなたでも利用できる休憩スペース(Wi-Fi利用可)や大連市の紹介コーナーがあります。左後ろに見えているのは『門司港レトロ展望室』。
大連友好記念館
住所/福岡県北九州市門司区東港町1-12
開館時間/9:00~17:00、無休 ※レストランの営業日時は異なる
スポット 7
元は明治時代に建設! 旧門司税関
記念館の斜め向かいにある旧門司税関は1912(明治45)年に建設され、昭和初期まで税関庁舎として使用。平成に入ってから赤れんがを使って修復・復元されました。1階は税関業務についての展示、休憩室や喫茶店、2階には展望室があります。
旧門司税関
住所/福岡県北九州市門司区東港町1-24
開館時間/9:00~17:00、無休
スポット 8
昨今の人気フォトスポット、鎮西橋公園
レトロ建築とは別物ですが、この『mojiko』モニュメントもひそかに人気の撮影スポットになっているようです。車道のすぐそばにあるので、記念撮影の際は車が通っていないかご注意ください。
鎮西橋公園
住所/福岡県北九州市門司区港町3-14
さて、ここで門司港駅方面へと戻り、海沿いの通りを歩きます。門司港名物・焼きカレーのお店が立ち並んでいますので、お食事をする場所探しも楽しいです。そして駅から約600メートル、白く横長の建物へとたどり着きます。
スポット 9
かつての旅客ターミナル、旧大連航路上屋
1929(昭和4)年に大連をはじめ、世界各地を結ぶ国際航路の旅客ターミナルとして建てられ、2013(平成25)年に大型休憩施設としてリニューアルオープン。1階には北九州市や大連にまつわる展示や映画・芸能資料館『松永文庫』があります。写真は一番の特徴といわれる、2階のコリドー(旧デッキ)。その長さは130メートルあります。ベンチに腰掛けて一息つくのもおすすめです。
旧大連航路上屋
住所/福岡県北九州市門司区西海岸1-3-5
電話/093-322-5020
開館時間/9:00~17:00、年4回休館日あり
※松永文庫は毎週月曜日休館(祝日の場合は翌日)
スポット 10
門司港の新ランドマーク、関門海峡ミュージアム
旧大連航路上屋の向かいには2019年9月にリニューアルオープンした『関門海峡ミュージアム』。豪華客船をイメージしたガラス張りのデッキでは行き交う船を間近に眺められ、最先端の技術を駆使した体験型プログラムや展示で関門海峡の歴史を学べます。初めて関門エリアに来た方にはぜひ行ってみてほしいです。
関門海峡ミュージアム
住所/福岡県北九州市門司区西海岸1-3-3
電話/093-331-6700
https://www.kanmon-kaikyo-museum.jp
ここから、渡船乗り場の『マリンゲートもじ』まで一直線(約450メートル)。コンパクトにお伝えしましたが、このほかにも立ち寄りたくなるスポットがたくさんある門司港です。また、ご紹介したスポットの一部は日本遺産の『関門“ノスタルジック”海峡~時の停車場、近代化の記憶~』構成文化財にもなっています。こちらも合わせて、楽しい散策の参考になれば幸いです。
関門“ノスタルジック”海峡~時の停車場、近代化の記憶~
https://www.japanheritage-kannmon.jp/
瀬戸内Finderフォトライター Yuka Hesaka
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この記事を取材したフォトライター
Yuka Hesaka
山口県出身、在住。 新聞社勤務を経て、フリーランスに。 取材で大切にしているのは「セレンディピティ(偶然の気付き)」。 新旧にとらわれず、おすすめしたいスポットやモノなど、多方面からお伝えしていきます。
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