広島県庄原市は中国地方のちょうど中央部にある山深いエリア。この地域に2019年、古民家を改装した一棟貸しの宿泊施設が2棟誕生しました。そのひとつがここ、庄原市上谷町にある『不老仙』です。
霧の谷に建つ築100年の古民家を訪ねる
広島空港から庄原市中心部までバスでおよそ1時間、そこから車でおよそ30分。不老仙のある細長いV字の谷には、人々が狭い谷筋を懸命に切り拓き、石垣を築いた棚田が続いています。ここは朝夕の寒暖の差から霧が出やすく、その神秘性から「仙人の住まう谷」と呼ばれてきました。
超プライベート! 思いおもいの時間を過ごそう
不老仙に到着すると、視界の範囲には遠くにぽつんと民家が見えるのみで、山に囲まれた棚田と空をまさに独り占めできます。到着したら、まずは庭に備え付けられているガーデンチェアに腰掛けて、この景色を楽しみましょう。
そのようにプライベート感しかない環境だから、不老仙は家族や気のおけない友人同士でわいわい過ごすのがおすすめです。広い前庭でバーベキューを楽しんだり、花を摘んだり、虫取りをしたり……。気になる本を何冊か持ち込み、コーヒーを片手に読書にふけるのも。
そう、ここ不老仙ではあまり出歩かずに、過ぎていく時間そのものを味わうのがいい──そして疲れたら、縁側や畳の上でゆっくりとうたた寝してください。
美しく改装された入母屋造の日本家屋
不老仙は入母屋造の伝統的な日本家屋です。玄関を入ると広い土間があり、建物の表側にはリビングスペースとなる二つの和室。それを開放的な縁側が取り巻いています。
浴室には5人家族ぐらいなら一度に十分入れそうな大きな湯船が。台所も広く、大人数で賑やかに料理するのにぴったりです。寝室にはクイーンサイズのダブルベッドが二つ。他に布団が備え付けられており、ベッドを使わない人は和室に布団を敷いて寝ることも可能です。
日本伝統の小粋なデザインを見つけてみよう
決して豪奢ではありませんが、不老仙にはそこかしこに小粋な意匠が散りばめられています。二つの和室を仕切る襖の上には、常緑なことから生命力の象徴である松と、長生きの象徴である鶴のデザインを施した欄間(らんま)が。その下にある長押(なげし)にも鶴や、同じく長寿の亀の形をした釘隠しを見つけることができます。
ソファに転用されている床の間の建具にある繊細な「組子」の幾何学模様は「角麻」と呼ばれる魔除けのかたち。現代においてもモダンでカッコいいですよね。この谷で生きた人々の祈りを残しながら、シンプルで美しいジャポニズムを表現する空間に仕上がっています。
静かに? 賑やかに? 夜の待ち方もあなた次第
気がつくとあたりは夕暮れ時。美しい夕日が山に隠れると、静かに昼が夜に置き換わっていきます。空はオレンジから藍色へと変化し、次第に谷は暗闇に覆われます。
敷地入り口から建物までのアプローチに空港の滑走路のようにランプが灯るのを見て、今が現代であることをようやく思い出すことができるくらい、ここは自然豊かな里山のなか。見上げると天の川がくっきりと夜空に横たわります。
賑やかな酒宴を張るか、それとも静かな長い夜を過ごすか、そこはあなたの自由。あなたたちの他に、ここには誰もいないのですから。
せとうち古民家ステイズHiroshima 不老仙
住所/広島県庄原市上谷町796
電話/0824-72-3385([一社]庄原観光推進機構)
宿形態/バケーションレンタル(1棟貸し切り1組限定)
最大定員/8名
料金/定価48,000円(貸切料)+1名4,000円(中学生以上、素泊まり)+税
※小学生1名あたり1,000円+税
※キャンセルポリシー 予約日の7日前からキャンセル料100%
※季節により別途割引価格のご案内などがあることがあります
※アクセスや注意点、細かい設備についてはウェブサイトをご確認ください。
※近隣の観光情報については庄原観光サイト「庄原観光ナビ」まで
〈せとうち古民家ステイズHiroshima〉不老仙
https://cominca-stays.jp/
瀬戸内Finder編集部
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