御所別墅には、街の喧騒を離れ、上質な時間を求める人が訪れます。
場所は日本最古の湯として名高い有馬温泉。温泉街から山の手に向かう道沿いの広大な敷地にそっと立つ宿です。
かつて、ここには神戸の居留地に住む外国人が避暑や滝見のために滞在した『清水ホテル』が建っていました。
有馬の老舗『御所坊』の別邸へ
別墅は“べっしょ”と読み、別荘を指します。
御所別墅は、800年(!!!)以上前から湯守により代々営まれてきた有馬温泉の宿『御所坊(ごしょぼう)』の別邸という位置づけです。
御所坊にたびたび逗留した谷崎潤一郎は、小説の中にも御所坊を登場させました。そのゆかりから、御所別墅のロビーにも、谷崎の全集が置かれています。
こぢんまりとした玄関から入ってきたせいか、実際に高い天井はより高く感じられ、ロビーが広々としています。
雰囲気はとてもモダン。
それでいて、長い1日を終えた登山客が身体を休めに立ち寄るログハウスのように、心地よさと温もりが感じられる空間です。
客室はすべて離れのスイートルームです。
宿泊客はそれぞれの部屋で思い思いの時間を過ごします。
窓の外の緑を眺めているだけで気持ちがやすらぎます。こんなに静かな部屋でくつろげば、本を繰る手も進むでしょう。
久しぶりに、誰かに手紙を書きたくなるかもしれません。
赤銅色の温泉とサーマルルームで疲労回復
全室に備え付けられた『サーマルルーム』(写真手前)も、御所別墅の癒やしの秘密のひとつです。
室温が体温とほぼ同じ36度に保たれたサウナで、じんわりと汗をかくことができます。
温泉とのダブルのリラックス効果で、ベッドで足を伸ばして横になれば、次に気が付いたときにはすっかり日が昇っているかもしれません。
滝川に面した2階建ての部屋(メゾネット)もあります。畳に布団を敷けば合計4人まで泊まることができます。
湯気がもうもうとあがる温泉大浴場では、有馬温泉の象徴である上質のお湯が楽しめます。いわゆる『金泉』です。
鉄分と塩分を多く含んでおり、空気に触れた途端に酸化して赤銅色に変化するのだそうです。
有馬の温泉街を歩いていると、道路の端が同じ色に染まっているのにたびたび遭遇します。
温泉の出どころである『御所泉源』(写真)と『妬(うわなり)泉源』は宿から少し離れたところにありますが、独自の配湯設備を導入しており、御所別墅でもかけ流しの温泉に浸かれるんです。
塩分濃度の高い有馬温泉に入ると体の芯から温まり、湯冷めしにくいので、大浴場から客室へ戻る小道をゆっくりと歩きたくなります。
有馬温泉で兵庫県産特選和牛の夕食
旅の楽しみのひとつである、お料理も秀逸です。
ステーキコースのメイン料理がこちら。
淡路島産有機野菜のローストとピュレが、“付け合せ”というのがはばかられるほどおいしくて感動。すみません、まずこれを伝えたくて。
そして、旨味がほとばしる主役は『但馬玄(たじまぐろ)』のステーキ(写真の部位はランプ。コースはロースまたはフィレ)です。上田畜産から直接買い付けた但馬玄は、元祖黒毛和牛の中でもとても希少なブランド牛なんです。
酸味と甘みのバランスが絶妙な赤ワインのソースが、肉の凝縮した濃い旨味を引き立てます。
御所別墅内のレストランで食事をするなら、カウンター席がおすすめです。
大きな窓越しに美しい木々を眺めながら、地のものをおいしくいただく幸せに浸ってください。特に紅葉の季節は、カウンターにもみじが映り込み『床もみじ』さながらの美しさを演出します。
御所別墅では、普段より1分1時間がゆっくり過ぎていくのが感じられます。
豊かな時間が流れる別荘へ、足を向けてみませんか。
有馬山叢 御所別墅(ありまさんそうごしょべっしょ)
住所/兵庫県神戸市北区有馬町958
電話/078-904-0554
最寄駅/神戸電鉄有馬温泉駅、六甲有馬ロープウェー有馬温泉駅
駐車場/あり(有馬里駐車場)
http://goshobessho.com 神戸電鉄有馬線 有馬温泉駅までのアクセスはコチラ
瀬戸内Finderフォトライター 堀まどか
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堀 まどか
堀 まどか/フォトライター 兵庫県生まれ、在住。実務翻訳、外国人起業家支援、通訳案内士(英語)、そしてフォトライター。 ネットマーケティングの外資系スタートアップで進行管理や顧客サポートを担当。 2011年から、フジサンケイビジネスアイ掲載の週刊コラム『ITビジネス最前線』を英日翻訳しています。 日常の風景や旅先で出会った人の表情など、心に触れるものを写真におさめています。瀬戸内のスポット、暮らしぶり、季節感、食を私目線で切り取ります。 写真ブログ http://riderv328.tumblr.com ツイッター https://twitter.com/Riderv328
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