世界遺産!明治日本の産業革命を支えた萩の遺産群めぐり/萩反射炉・恵美須ヶ鼻造船所跡・大板山たたら製鉄遺跡(山口県萩市)

世界遺産に登録された萩エリアの産業遺産群

2015年に世界文化遺産に登録された『明治日本の産業革命遺産』。
幕末からわずか半世紀の間に製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業において急速な産業化を達成したことが世界史的に特筆すべき事象だと認められ、九州・山口を中心に8県11市にまたがる23の構成資産が世界文化遺産に登録されました。

そのうち、山口県・萩(はぎ)エリアは時代順に最初期の遺産群として位置づけられており、萩反射炉・恵美須ヶ鼻造船所跡・大板山たたら製鉄遺跡・萩城下町・松下村塾の5つの構成資産から成ります。

萩エリアの近代産業遺産 ①萩反射炉

『萩反射炉(はぎはんしゃろ)』は日本に現存する3基の反射炉の1つで、萩藩が安政3年(1856年)に試作的に築いたもの。

反射炉とは西洋で開発された金属溶鉱炉の一種。当時は射程距離の長い鉄製大砲を鋳造するには、衝撃に弱い硬い鉄を粘り気のある軟らかい鉄に溶解する必要があり、その装置としてこの反射炉を用いました。

萩反射炉は高さ10.5mの煙突にあたる部分が残っていますが、最終的に技術・費用面の限界から萩藩は本式の反射炉の建設を断念したようです。
しかし、試行錯誤しながら自力で西洋技術を取り入れようとした、産業化初期段階の様子を今に伝える貴重な遺構となっています。


萩反射炉(はぎはんしゃろ)
住所/山口県萩市椿東4897-7
電話/0838-25-3380(萩市世界文化遺産室)
駐車場/あり(無料)
アクセス/JR東萩駅から徒歩約20分
http://www.hagishi.com/search/detail.php?d=100081
JR東萩駅までのアクセスはコチラ

萩エリアの近代産業遺産 ②恵美須ヶ鼻造船所跡

『恵美須ヶ鼻(えびすがはな)造船所跡』は、幕末の安政3年(1856年)に萩藩が設けた造船所の遺跡です。萩市中心部から北東へ約2.5kmの海岸沿いに位置し、先ほどの萩反射炉もこの近くにあります。

石造りの巨大な防波堤が当時のまま現存しているほか、発掘調査によって造船所の関連施設の配置なども判明しています。

萩藩は恵美須ヶ鼻造船所にて、ロシアの技術を用いた『丙辰丸(へいしんまる)』とオランダの技術を用いた『庚申丸(こうしんまる)』という2隻の西洋式帆船を建造しました。
2つの異なる国の技術を用いた造船を1つの造船所内で行った例は他になく、幕末の洋式造船技術の導入期の様相を知る上で貴重な遺構となっています。


恵美須ヶ鼻造船所跡(えびすがはなぞうせんじょあと)
住所/山口県萩市椿東5159-14
電話/0838-25-3380(萩市世界文化遺産室)
駐車場/あり(無料)
アクセス/JR東萩駅から徒歩で約25分
http://hagishi.com/search/detail.php?d=100087
JR東萩駅までのアクセスはコチラ

萩エリアの近代産業遺産 ③大板山たたら製鉄遺跡

『大板山たたら製鉄遺跡(おおいたやまたたらせいてついせき)』は、江戸時代の製鉄所の遺跡で、恵美須ヶ鼻造船所跡から北東方面へ約20km進んだ深い森の中にあります。
恵美須ヶ鼻造船所における丙辰丸の建造では、ここで製錬された鉄が船釘などに使用されたことが確認されています。

『たたら製鉄』とは、原料の砂鉄と木炭を燃焼させて鉄をつくる日本古来の製鉄技術。
遺跡の最奥には『製鉄炉』の跡地があり、ここで砂鉄から鉄を精錬していました。
両側の木組みの部分に設けられた『天秤ふいご』を人力で動かして、中央の炉に空気を送り込むことで木炭を燃焼させ、溶けた鉄が下部に溜まって鉄の塊になる仕組みでした。

なお、萩市内の『萩・明倫学舎』に設けられた『世界遺産ビジターセンター』には、天秤ふいごを再現した体験コーナーがあり、自分でふいごを踏み込むことができますので、ぜひ訪れてみてくださいね。

製鉄炉の手前には『砂鉄洗場』があり、砂鉄が水に沈むことを利用して不純物を取り除き、燃焼する砂鉄の純度を高めていました。

他にも製鉄事業の運営全般を管理していた『元小屋(もとごや)』や食料庫である『米蔵(こめぐら)』などの建物の跡地も確認できます。

大板山たたら製鉄遺跡には展示休憩施設『大板山たたら館』も整備されていて、たたら製鉄の仕組みや萩の近代産業遺産の内容をパネルや映像を見ながら学習できます。

館内には実際に砂鉄と木炭を原料にして、たたら製鉄の手法によって製錬した鉄の塊も展示されています。実際に触れることもできますよ。


大板山たたら製鉄遺跡(おおいたやまたたらせいてついせき)
住所/山口県萩市大字紫福10257-5
電話/0838-25-3380(萩市世界文化遺産室)
営業時間/大板山たたら館:毎日9:00〜17:00(1・2月は休館)
駐車場/あり(無料)
アクセス/JR萩駅から車で約40分
http://hagishi.com/search/detail.php?d=1100190
http://www.ohitayama-tatara.net
JR萩駅までのアクセスはコチラ

萩エリアの近代産業遺産 ④萩城下町・⑤松下村塾

萩城下町』は、幕末に日本が産業化を目指した当時の地域社会における政治・行政・経済をあらわす資産で、萩城跡・旧上級武家地・旧町人地の3地区からなっています。

また『松下村塾』は、明治維新の先覚者・吉田松陰が主宰した私塾。松陰は海防の観点から工学教育の重要性をいち早く提唱し、自力で産業近代化の実現を図ろうと説き、後に塾生らの多くが日本の近代化・工業化の過程で重要な役割を担いました。

萩・明倫学舎の世界遺産ビジターセンター

さらに萩エリアの近代産業遺産について詳しく知りたい場合は、萩市街の中心部にある『萩・明倫学舎』に設けられた『世界遺産ビジターセンター』もオススメ。

萩エリアを中心に、明治日本の産業革命の概要・経緯や松下村塾を主宰した吉田松陰が日本の工学教育に果たした役割などについて、映像やパネル・アニメーション等により、分かりやすく学べます。
先ほどご紹介した『天秤ふいご』の体験コーナーもあるので、最初に萩・明倫学舎を訪れてから各産業遺産を巡るのもいいでしょう。

以上でご紹介したように、幕末の動乱の中でも萩藩の人々は積極的に西洋技術を学び、試行錯誤を繰り返しながら産業の近代化に挑戦し、明治日本の産業革命に重要な役割を果たしました。
あなたも萩エリアの産業遺産群を巡りながら、産業の近代化に挑戦した人々の足跡を追いかけてみませんか?


萩・明倫学舎(はぎ・めいりんがくしゃ)
住所/山口県萩市江向602
電話/0838-21-0304
営業時間/9:00~17:00
定休日/なし ※2月の第1火曜日・その翌日休館
入場料/本館:無料
    2号館:大人300円 高校生200円 小中学生100円
駐車場/あり(有料)
アクセス/JR萩駅からタクシーで約15分
https://www.city.hagi.lg.jp/site/meiringakusha

瀬戸内Finderフォトライター 松岡広宣

大きな地図を見る>

この記事が役に立ったらいいね!してね

関連キーワード

関連記事

この記事を取材したフォトライター

松岡 広宣

松岡 広宣

松岡 広宣/フォトライター 1974年生まれ、兵庫県西宮市出身、西宮市在住。メディアポリス株式会社 代表取締役。 ソーラー発電付きエコキャンピングカー【ソーラーキング号】で全国各地を訪れながら、日本の美しい風景をハイビジョン映像で撮影しています。 できうる限り全国くまなく歩き回って、貴重な日本の自然や風景を映像として後世に残していきたいと考えています。 日本全国を旅していますが、もちろん、地元の瀬戸内も大好きです! 「癒しの国 日本.TV」 ~ 日本全国を「癒しの映像」でバーチャル旅行 http://www.healing-japan.tv/

Hashtags

旬のキーワード

「アート」のランキング

「アート」の記事はまだまだあります

アート一覧

Features

特集

特集一覧
PAGE TOP