「はい、中トロ」
つやつや光る脂の美しさ。柔らかく、口の中にふんわり広がりとろけるおいしさ。たまりませんね。
やっぱり、淡路島『鮓 希凛(きりん)』のお寿司は格別です。
さらにこのお寿司屋にはもうひとつ訪れる理由があります。
電車の走っていない、アクセス至便とは言えない淡路島にわざわざ渡ってお寿司を食べるべき理由があります。
世界最長の吊り橋の眺めが最高!
それが、カウンターに座った客の目の前の窓。正確には、窓を通して見るパノラマの絶景です。
少し“映える”眺めがあれば「絶景」と言われがちな世の中でも、これは瀬戸内を代表する絶景のひとつと言い切っていいでしょう。
本州と淡路島をつなぐ明石海峡大橋の淡路島側のほぼ付け根という立地のため、希凛では“江戸前流の握り寿司”と“明石海峡大橋”という日本の叡智の結晶が2つ同時に楽しめてしまうのです。
『鮓 希凛』の丁寧な仕事が光る
せっかくの機会なので、奮発して『おまかせコース』といきますか。にぎりはもちろん、希凛の素晴らしい逸品料理を併せていただけるコースです。
たとえば、ほっき貝の茶碗蒸し。
熱々をすくって口に運ぶうちに、貝に徐々に熱が入り、身の弾力が少しずつ変化します。貝の甘さとゆずの香りのあわせ技が見事です。
たとえば、てっさ。
ポン酢のジュレとふぐの白子のソースをよくからめ、てっさを噛み締めながら、てっぺんの芽じそとともに味わいます。思わず目を閉じて、静かに口の中に集中します。
たとえば、ふぐの唐揚げ。
運ばれてきた瞬間の香ばしさを、できる限り身体の奥まで吸い込みます。
月並みな表現ですが、外はカリッと、中はしっとりジューシーで、何も付けなくても骨までしゃぶりたくなる味です。ほんのひとつまみの山椒がふわっと鼻腔に広がるのもたまりません。
職人の素晴らしい仕事が作り上げる料理を五感で感じ、旬の食材を噛み締め、ふと目を上げると……はい、この景色。
きらめく海と明石海峡大橋が視界に飛び込んできます。お寿司+絶景のこんな贅沢はそうそう味わえるものではありません。
シャリには、熟成した酒粕を原料とする赤酢を使っています。ほんのり褐色だから、赤シャリ。口の中でほどけるように柔らかく、まろやかな酸味と旨味があります。
元漁師が厳選した海の幸を最高の状態で
お寿司のネタは、希凛から車で5分もかからない岩屋漁港で水揚げされたハリイカ(甲イカ)やカワハギなどの地物と、日本各地の「今一番おいしい」魚介を使っています。
訪問時のウニは北海道の馬糞ウニ、ふぐは大分の5年養殖のものでした。季節や年によっては、淡路・由良のウニ、南淡路の『淡路島3年とらふぐ』を使うことも多いのだそう。
旬の魚介のおいしさを見極める大将は、実は淡路・岩屋出身の元漁師さんです。
大将も仕込みの合間についこの絶景に見入っています。と思ったら、行き交う漁船が何を獲っているのか観察中でした。
「あの網に足挟まって海に落ちたことあるわ」
そんな飾らない大将と職人さん、スタッフの醸し出す雰囲気が温かいのもこの店の魅力です。
お寿司と瀬戸内の絶景に酔いしれたら、岩屋港から高速船『淡路ジェノバライン』で明石海峡大橋の下をくぐって明石に戻るのがおすすめです。
夜なら、淡路島に泊まってのんびりと。
できれば、希凛のお寿司と一緒にゆっくりお酒も楽しみたいですから。
鮓 希凛 淡路店
住所/兵庫県淡路市岩屋1871
電話/0799-72-3811(要予約)
営業時間/昼 11:30〜と13:15〜の2部制、夜 17:30〜22:00(入店20:00まで)※土日祝の夜は17:30〜と19:30〜の2部制
定休日/不定休
駐車場/なし
https://moonjelly-resort.com/sushi
瀬戸内Finderフォトライター 堀まどか
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堀 まどか
堀 まどか/フォトライター 兵庫県生まれ、在住。実務翻訳、外国人起業家支援、通訳案内士(英語)、そしてフォトライター。 ネットマーケティングの外資系スタートアップで進行管理や顧客サポートを担当。 2011年から、フジサンケイビジネスアイ掲載の週刊コラム『ITビジネス最前線』を英日翻訳しています。 日常の風景や旅先で出会った人の表情など、心に触れるものを写真におさめています。瀬戸内のスポット、暮らしぶり、季節感、食を私目線で切り取ります。 写真ブログ http://riderv328.tumblr.com ツイッター https://twitter.com/Riderv328
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