千年を超え、海を渡る神の舞/祝島の神舞

♪ホーォ ホーホー エーイヤー
ホーラン エーェ ヨヤーサーノサー

ホーランエンヤの舟歌にあわせ、
20人の男が3メートル近い櫂(かい)を一斉に力強く漕ぎだす。
出航したのは伝統の手漕ぎ船「櫂伝馬船(かいでんません)」。
始まったのは「神舞(かんまい)」と呼ばれる千年を超え受け継がれる海上神事だ。

祝島は空から眺めると、❤の形をしている。
そのまま視線を左に移すと、国東半島にちょこんと飛び出た姫島が見える。
この姫島と祝島を結んだルートは古くから瀬戸内の主要航路である。
そして、この海の道がつなぐ温かい交流から始まったのが「神舞」だ。

今から1100年以上前のこと。
伊美(姫島の対岸にある国東半島の集落)の一行が嵐にあい、祝島の人に助けられ、
そのお礼に農耕を知らなかった祝島へ麦の栽培と神祭の方法を伝えた。
それからというもの、祝島の民は伊美のお宮に毎年欠かさず参拝するようになり、
一方、伊美からは神様が海を渡ってくるようになった。

この古代からの交流が現在も続いている。
開催は4年に一度、奇遇にも夏のオリンピックと同じタイミングだ。

2012年8月、まさにロンドンオリンピックが終わる頃、
友人から「櫂伝馬を漕がないか?」と誘いの電話がかかってきた。
「行きます!」と2つ返事で祝島へ渡った。

櫂伝馬船を漕ぎ出し、沖で伊美別宮社の一行を出迎える。
見えるのは島影と広大な海だけ。しばらしくして、はるか向こうに船団が姿をあらわす。
この光景は古代から変わらないのではないか・・・
そう思った瞬間、千年前の情景が目の前に広がった。
祭りは始まったばかりだがすでに胸がいっぱいで泣きそうだ。

神舞はこのあと5日間にわたって続く。
毎日古式にのっとり神楽が奉納され、神様をのせた船が来た道を帰っていく。

人で溢れ返った島には笑顔しかなく、滞在中、ずっと神様に祝福されているようだった。

次の開催は2016年。リオのオリンピックが終わったら「神舞」だ。
神が海を渡り、舞い降りる夏の日、祝島は世界のどこよりも❤に包まれる。


祝島の神舞(山口県指定無形民俗文化財)
住所/山口県熊毛郡上関町祝島
HP/www.iwaishima.jp/home/kanmai/kanmai

瀬戸内Finderフォトライター 藤本雅史

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