店主の情熱が生んだ“買える・飲める”酒店で阿波の地酒を堪能/太郎酒店(徳島県徳島市)

最高の状態でさまざまな日本酒を愉しめる

夏の“阿波おどり”で賑わう徳島市の両国橋から籠屋町1丁目へと抜ける銀座商店街。その入口に「徳島の地酒を倍増するプロジェクトチーム本部」という気になる看板を掲げたお店があります。“買えます。飲めます。うまいです。”をキャッチフレーズとする阿波の地酒専門店『太郎酒店』です。

店内には徳島産桧の一枚板でつくられた立派なカウンター。決して広いわけではありませんが、いかにも美味しい日本酒が心ゆくまで愉しめる雰囲気ですよね。奥には小さなテーブル席も設えてあり、その日の気分や飲み方、同行者の有無によって、いろいろな時間の過ごし方ができるようになっています。

まずチェックしておきたいのは常にマイナス5度前後に保たれた特注の日本酒セラー! 三好市池田町の『三芳菊酒造』や徳島市の『齊藤酒造場』など、徳島県にある11の蔵元すべての純米酒から選りすぐった逸品を取り揃えているほか、ここ『太郎酒店』オリジナルの「三芳菊無濾過生原酒(純米吟醸・純米大吟醸)」も最高の状態で保管。もちろん、すべてのお酒が購入できるほか、地方発送にも対応しています。つまり、味見をしてからお土産を選ぶことができるんです!

阿波の地酒を応援する情熱が生んだ『太郎酒店』

「徳島県は日本酒の製造量とその消費量が全国最下位。美味しい地酒がいっぱいあるのに、残念ながらその魅力がほとんど知られていないんです」と教えてくれたのはオーナーの山田全宏さん。蔵元の酒造アドバイザーを務めるなど、徳島の日本酒業界になくてはならない存在です。
かつて経営していた日本酒の品揃えが抜群だった居酒屋『籠や太郎 可夢庵』の閉店とともに引退を考えていたそうですが、やはりこの嘆かわしい現状を打破しなければと一念発起。“手頃な値段で阿波の地酒が買えて、実際に飲める場所を提供したい”という思いのもと、2018年7月に開店したのが、この『太郎酒店』でした。

山田さんが太鼓判を押す阿波の地酒が揃う『太郎酒店』では、1杯のボリュームをシングル(50mL)とダブル(100mL)から選ぶことができ、もっともリーズナブルなものは何と200円(!)から。また、ビギナーに嬉しい複数の地酒を一度に味わえるお得な『三種試飲セット』が用意されている点も嬉しいところ。
山田さんに「日本酒の初心者や外国人の方にはどれがいいですか?」と尋ねたところ、ポップで可愛らしい猫のラベルが特徴的な『三芳菊KIT CAT!! 飲み比べセット』を勧めていただきました。

一番左の「KIT CAT!!」は、酒米に徳島県産の日本晴を用いた純米吟醸の無濾過生原酒。まるで白ワインのような葡萄を思わせる香りと味わい。日本酒の初心者にもぴったりです。
真ん中の「KIT CAT!! 2」は、同じ純米吟醸の無濾過生原酒ですが、酒米には徳島県産の山田錦を使用。こちらもフルーティーな香りですが、豊かな日本酒の旨味が口の中に残ります。
そして、最後の「KIT CAT!! 3」は何と微発泡のにごり酒。純米吟醸の無濾過生原酒ですが、パイナップルを思わせる甘い香りと日本酒らしい余韻が強い個性を感じさせます。「日本酒は初めて」という方にこそ、ぜひ試してみてほしいと思いました。

自分だけの一杯を探す楽しみが待っている

続いて「日本酒好きに勧めたい阿波の地酒」をリクエスト。山田さんが選んでくれたのは、貴重な阿波の地酒を少しずつ楽しむことができる『プレミアム清酒飲み比べセット』です。
左から『司菊酒造』の純米大吟醸「きらい銀」、『今小町(中和商店)』の純米大吟醸・無濾過原酒「穰(ゆたか)」、『三芳菊酒造』の純米大吟醸・無濾過生原酒「坐花酔月(ざかすいげつ)」。これだけのラインナップが揃うのは『太郎酒店』だけ。阿波の地酒の最高峰、さっそく注いでいただきましょう!

ゆっくり山田さんが一升瓶を傾けると、貴重な日本酒が光を反射しながらグラスへと注がれていきます。
最初の「きらい銀」は華やかな香りに優しい口当たり。透明感のある純米大吟醸です。
次の「穰(ゆたか)」は、打って変わってほとんど香りは感じられず、どこかウォッカを思わせる硬質なイメージ。後から複雑な余韻がやってくる通好みの味わいです。
最後の「坐花酔月(ざかすいげつ)」は、やや黄色がかった色で『三芳菊酒造』らしい香りと酸味が個性を主張。口に含むと、ふわっとした甘さも感じられます。
いずれも甲乙つけがたい美味しさで、今まで知らなかったことが残念でなりません。

「徳島の地酒を倍増するプロジェクトチーム本部」を標榜する『太郎酒店』では、定期的に魅力的なイベントを開催しています。レギュラー化しているのは、週に一度のペースで開かれる『徳島のうまい地酒を楽しむ会』。旬の日本酒を15種類、おつまみ4点盛りが何と3,500円! 蔵元から杜氏がゲストで訪れることも多く、阿波の地酒のつくり手と交流できるまたとない機会となっています。

ちなみに、この「徳島の地酒を倍増するプロジェクトチーム」に入るには『太郎酒店』と『三芳菊酒造』が一緒につくった純米大吟醸・無濾過原酒「徳島三太郎(とくしまみたろう)」を購入するだけ。徳島を訪れた際には、ぜひ阿波の地酒を味わってみてください。きっと、お気に入りが見つかるはずです。


太郎酒店
住所/徳島県徳島市銀座14-1
電話/088-624-1154(受付時間:16:00~24:00)
営業時間/16:00~24:00(L.O.23:30)     
定休日/日曜日(日曜日・月曜日が連休の場合は日曜日営業・月曜日休)
https://www.facebook.com/tarosaketen

瀬戸内Finderフォトライター 重藤貴志

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重藤 貴志

重藤 貴志

徳島で暮らしているインタヴュアー/ライター/コピーライターです。屋号は“Signature”。新聞広告をはじめ、書籍や雑誌、ウェブサイトなど、幅広い媒体で仕事をしています。生まれ育ちは東京ですが、縁あって徳島に移り住みました。県外出身者の視点から見た徳島の魅力を中心に、瀬戸内のさまざまな情報を紹介していきます。 Twitter https://twitter.com/Siqoqtaq

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