愛媛県宇和島市の津島町岩松発、人気のどぶろく『NASSO』。今回、おじさまたちがまちを盛り上げるためにつくったこのお酒を、たっぷりと味わい、こころから楽しめる松山市内のおすすめ3店をご案内します。
愛媛の地魚を味わう居心地よく、おいしい『奴寿し』
一軒目はこちら。道後温泉本館から直線で徒歩2分のお寿司屋さん『奴寿し』。
アーケードを抜けて裏路地に入った場所に、うつくしいのれんが目を引く老舗です。3代目の田中英久さんは、大阪の寿司屋で修業を積み、2019年から父親とカウンターに立っています。
『NASSO』との出逢いは、『NASSO』のつくり手、兵頭肇さんの家族が来店したことから。肇さんも奴寿しを訪れ、どぶろくづくりの想いを知ります。
「地元のいいものを知りたい」と酒蔵や漁港をめぐる田中さん。『NASSO』が生まれた背景や辛口のおいしさに納得して、取り扱いがはじまりました。
お寿司はもちろん、お造り(造りの盛り合わせ2,750円)や煮魚(鯛兜・煮付990円~)など一品料理も絶品。店名の『奴』とはかつての言葉で低い身分を示します。
「『味は大名、値は奴』。初代がつけた店名の意味です。おいしいものを安く提供したいという想いが込められています。地元の食材だけではなく、このまちの文化や歴史もくんでいきたい」。店の雰囲気からも料理からも、田中さんの想いが伝わってきました。
奴寿し
住所/愛媛県松山市道後湯之町14-19
電話/089-941-9772
営業時間/12:00~14:00、17:30~23:30
定休日/水曜日
ポップな夫妻が繊細な料理でもてなす『酒処 ひょうどう』
次にご案内するのは、松山市中心部の『酒処ひょうどう』です。お名前でピンと来たひと、するどいです。ここは『NASSO』のつくり手、兵頭さんの息子さん夫妻が営む酒処。
兵頭光さんと恵利佳さん。このポップなポーズ、今回の撮影用ではないのですよ。写真に収まるときの2人の決まりなんだそう。そんな店、おすすめでしかないでしょ(笑)。
新星ですが、パフォーマンスだけじゃなく、大阪、京都、金沢で和食一筋に腕を磨いてきた光さんの、たしかな技、舌のセンスが堪能できます。
2019年9月、愛媛に戻り、街中にお店を構えました。「地域のためにおやじは酒をつくっています。ぼくたちもここで『NASSO』を広めて、その一役が担えたら」と光さん。
旬の野菜、海鮮を淡く上品に仕立てた料理は絶品。こちらは『お通し(990円)』で、サツマイモとクリームを組み合わせたり、低温調理でやわらかなタコに仕上げたり、細かなしごとぶりが伺えるひと皿。『NASSO』を半合(330円)からチャレンジできるのもうれしい。兵頭夫妻との会話もいっしょに、おいしく愉しい時間をお過ごしください。
酒処 ひょうどう
住所/愛媛県松山市二番町2-5-9
電話/089-997-7017
営業時間/18:00~24:00(L.O.23:00)
定休日/日曜日
Instagram @sake_0902
松山旅の締めは、くつろぎの『Bar SHIRAKI』で
最後にご紹介するのが、『酒処ひょうどう』から徒歩5分の場所にある『Bar SHIRAKI』。じつは、松山には、気取らず、カジュアルな雰囲気ながら、おいしいお酒やカクテルを提供するバーがたくさんあるのです。
なかでもおすすめなのがこの店。「ひとりでのんびりやっているから」と、メディアの露出はない、知るひとぞ知る隠れ家的なバーです。
オーナーでバーテンダーの中野ゆかりさんは、見た目、佇まい、振る舞いが三拍子そろった、とにかくかっこいい方。27年前、女性バーテンダーがシェイカーを振る姿に惚れて、OLをしながら週1回、アルバイトをはじめたのがこの世界に入ったきっかけです。一度は辞めたものの、店名になっている初代オーナーの白木さんから後任に託され、店を守っています。
中野さんと『NASSO』の出逢いも、お客さんから。普段は口にしない『どぶろく』を飲んでみると、「米、米麹、水だけでこんなにおいしくなるなんて」と驚き、たくさんの洋酒に囲まれたなか、たった1本だけ和酒を扱いはじめました。
ワイングラスにそのまま(700円)でも、もちろん味わい深いのですが、生のイチゴと合わせたカクテル『NASSOとストリベリー』(900円)のおいしさは格別。辛口と酸味と甘みの調和がたまらず、甘いカクテルが苦手なひともおすすめです。
『NASSO』を瓶で購入した場合のことも教えてくれました。
「冬に買っても封を切らずに夏まで置いておくと、甘みが出てさらにおいしくなりますよ」
チャージ料はなんと300円。「お酒はもちろんですが、ここで繰り広げられる会話も楽しんでいただけたら」。Bar SHIRAKIで一日を締めくくれば、最高の1日になることまちがいなしです。
Bar SHIRAKI
住所/愛媛県松山市二番町1-5-2 古唐人Ⅱ松山館8F
電話/089-941-2292
営業時間/19:00~26:00 ※日曜日は〜24:00
定休日/火曜日(月曜日が祝日の場合は休み)
想いのある地酒を扱う店に、はずれなし。飲む場所で味わいもちがってくるからふしぎです。ひとつの酒がつなぐグルメめぐり、いかがでしたか? 切り口でグルメは断然おもしろくなります。ぜひ3店とも、足を運んでみてくださいね。
瀬戸内Finderフォトライター ハタノエリ
この記事が役に立ったらいいね!してね
関連キーワード
関連記事
この記事を取材したフォトライター
ハタノ エリ
1978年宮崎県生まれ。愛媛県松山市在住。 新聞記者のちフリーライター。 日常にも、おもてなしの心があふれる愛媛。2年前、この地を離れても忘れられず、2017年春、戻ってきました!訪れたらきっと、大好きになる。そんな確信があるからこそ、誰かの「愛媛行き」を、グッと後押しする記事を書いていきたい。
Hashtags
旬のキーワード