瀬戸内海の島々をつなぐ『しまなみ海道』。そこから降りた、愛媛県今治市の『大島』に2020年4月、新刊と古書の本屋と自家焙煎コーヒーのお店がオープンしました。
大島の新名所になる予感。夫妻で営む『こりおり舎』
それが、『こりおり珈琲』と『こりおり文庫』の2つ看板で営む『こりおり舎』。
カーナビゲーションを頼りに、島特有の細い道を走ります。ナビの目的地が示したのは、島の景色に埋もれた一軒の民家。見落としそうな外観ですが、本とコーヒーがひとつになったデザインの灯りが、無事の到着を教えてくれます。
焙煎とカフェを担当するのが、千々木大介さん。本屋を担当するのが妻の涼子さん。
2人は結婚後、栃木県に移住。大介さんはそこで2年間、古民家カフェのパイオニアで知られる『日光珈琲』でカフェの運営を学びます。涼子さんは、大手の本屋で書店員として働いた経験もあるほどの本好き。2人でコーヒー屋と本屋をする。それが人生の目標になります。
大島へ移り住んで、なりわいを築く
「お店を持つなら、海がある場所で」と2017年、縁もゆかりもない大島へ移り住みます。
2人はまず、『こりおり珈琲』の屋号で、テントを張り、コーヒーを販売。キッチンカーにかたちを変え、本入りの木箱とともに愛媛県内外で出店するようになり、その屋号が少しずつ地域に知られるようになっていきました。
そうして、ゆっくりと地域に根ざし3年、空き家だった古民家を改修して、『こりおり舎』を構えました。
自家焙煎コーヒーをメインに、スイーツも並ぶコーヒー店と、新刊&古本が並ぶ本屋が、別々の入口で、別々の空間で、ひとつの建物におさまった新しい形態。本と喫茶を同じ空間で味わうブックカフェとは、少し毛並みがちがうようです。
新刊、古本約4,000冊がそろう『こりおり文庫』
まずは建物右側の『こりおり文庫』からお邪魔しました。
民家の構造をそのまま生かした入口は、靴を脱いで上がり框に。だれかのお宅に「おじゃまします」の感覚がとっても新鮮。
絵本から専門書まで、玄関からつながる広い空間と3つの部屋に分けられて配架しています。扱う冊数は約4000冊。そのうち500冊ぐらいが新刊で、そのほかは古本というバランス。ジャンルは、地域のこと、商いのこと、暮らしのことが中心です。
本たちがとても穏やかな表情をしているのはきっと、涼子さんの人柄を写しているからでしょうね。これはまちがいなく、時間を忘れてしまうパターンです。
自家焙煎豆が10種類並ぶ『こりおり珈琲』
一度、外に出まして、左側の『こりおり珈琲』へ。
常時、10種類の焙煎豆をそろえ、自家製焼き菓子といったスイーツも用意。
もちろん、その場でも飲むこともできます。オーダーのたびに大介さんが丁寧にドリップ。専用マグで、淹れたての味をゆっくり堪能できます。
娯楽、集まる場所がすくない島で、小さな子からお年寄りまでここで憩う。そこに、外から来た観光客が混じる。想像するだけで胸いっぱい(笑)。
近い将来、簡易宿泊もはじめ、内と外の交流がぐんと濃くなる予定。
本とコーヒーを媒介に、いろんな価値が生まれそうな『こりおり舎』。ぜひ足を運んでみてくださいね。
こりおり舎(こりおり珈琲、こりおり文庫)
住所/愛媛県今治市吉海町仁江2436
電話/0897-72-8006
営業時間/12:00~17:00 ※土日11:00〜
定休日/水・木・金
http://www.corioliscoffee.com/
瀬戸内Finderフォトライター ハタノエリ
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この記事を取材したフォトライター
ハタノ エリ
1978年宮崎県生まれ。愛媛県松山市在住。 新聞記者のちフリーライター。 日常にも、おもてなしの心があふれる愛媛。2年前、この地を離れても忘れられず、2017年春、戻ってきました!訪れたらきっと、大好きになる。そんな確信があるからこそ、誰かの「愛媛行き」を、グッと後押しする記事を書いていきたい。
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