
瀬戸内海で2番目に大きい小豆島の中山地区では、
毎年地元の人たちによる農村歌舞伎が奉納されます。
素人芝居をあなどるなかれ。
小豆島では、最盛期(大正〜昭和初期)に島内に30の舞台があり、
役者が500〜600人いたというのだから、この島の芝居好きは相当のもの。
今では肥土山と中山の2舞台が残るのみですが、
夜風に吹かれながら、江戸時代さながら庶民の楽しみとしての歌舞伎が味わえます。

会場となるのは、映画「八日目の蝉」の舞台にもなった中山の千枚田。
黄金色の棚田に彼岸花が紅をさし始めると、地元の人たちはにわかに忙しくなります。
なにせ、役者はもちろん、義太夫、舞台師、化粧方…、すべて地元の人たちだけで行うのですから。


役者たちに芝居を付けるのは「4代続く女形の家系」という矢田徹さん。
役者歴は70年以上、子どもの頃から鍛えられています。
かつては、本番が近付いてくると、
集会所に大根や野菜を持ち寄っては、交代で食事をつくり、朝から晩まで稽古に明け暮れたとか。
サラリーマンが多くなった今では、少し様相が変わりましたが、
それでもみな子どもの頃から舞台を踏んできた強者揃い。

午後5時。
近所の人たちが酒や弁当を携えて、桟敷に集まってくると、おめでたい三番叟で幕が開きます。


子供歌舞伎はプロの歌舞伎でも人気の「白波5人男」。

日が暮れて、祭り提灯に灯りがつくと、大人の外題が2幕。
名演技には大向こう(かけ声)とおひねりが飛び、一層場が盛り上がります。
夜風に吹かれながら、大人も子供も一緒になっての芝居見物。
棚田の真ん中で、江戸時代から続く島の風物詩がよみがえります。

●中山春日神社奉納歌舞伎
日時 10月10日前後の日曜日 午後5時ごろ開幕
会場 春日神社(香川県小豆郡小豆島町中山1486)
問合せ 一般社団法人 小豆島観光協会(TEL 0879-82-1775)
小豆島オリーブナビ http://shodoshima.or.jp/
瀬戸内Finder フォトライター 小西智都子
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瀬戸内Finder 編集部
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