100年以上、徳島で続いてきた自転車店
徳島市の中心部、蜂須賀氏の居城だった徳島城跡の“鷲の門”がある交差点に、中四国の自転車好きから支持を集める一軒の自転車専門店があります。店名は『ナカニシサイクル』。ハイエンドのスポーツバイクはもちろん、子供用の三輪車から年配の方向けの電動自転車まで取り扱う街の自転車屋さんです。
「これが創業当時の写真です」と代表の中西裕幸さんが見せてくれたのは、時代を感じさせる着物姿のご家族とピカピカの自転車が並ぶモノクロームの写真。大きく「中西自轉車店」と書かれた看板の下の暖簾には「各国式自轉車商」とあります。創業は明治37年ですから、西暦に直してみると1904年(!)。もう100年以上も徳島の自転車業界をリードしてきた老舗中の老舗だということがわかります。
店内にはさまざまな形の自転車が所狭しと並んでいます。特に目を引くのは、色とりどりのフレームが美しいロードバイクやクロスバイク。主な取り扱いブランドはアメリカの〈SPECIALIZED〉、イタリアの〈PINARELLO〉や〈DE ROSA〉など。メーカーに関わらず『ナカニシサイクル』で購入したスポーツバイクは、部品交換を必要としないメンテナンスが永年無料になるそうです。
徳島を自転車で走る人々を手厚く支援
徳島県はサイクルスポーツを通じて新たな魅力創造や健康増進、観光振興などを目的とする『自転車王国とくしま』という取り組みを推進中。「山も川もいっぱいありますし、自然の豊かな徳島は自転車で走るにはぴったりです」と語るのは『ナカニシサイクル』の齋田智宏店長です。
ロードバイクやクロスバイクなどを運んできた車を無料で駐車できる「王国拠点」や「公式25コース」などが整備されてきたこともあり、ここ数年で国内外から訪れるサイクリストも増えていると教えてくれました。実際に取材の前日にも、台湾から自転車で四国一周に挑戦中の方が愛車整備のために訪れていたそうです。
ここ数年、お店の雰囲気を少しずつ変えているという齋田店長。「いかにもプロショップという雰囲気は一般のお客さまが入りにくいと思って。できるだけ多くの方に自転車の魅力を伝えていきたいですね」。
こちらのリースが飾られた白い壁の一角は、女性向けに組み上げた自転車を紹介するウィメンズコーナー。成果は着実に現れており、〈SPECIALIZED〉のウィメンズバイク売上日本一を達成しています。
最新のフィッティングツール〈RETÜL〉が導入されているのも『ナカニシサイクル』の大きな特長の一つ。バイクフィッターの川崎智貴さんによれば「これは3Dモーションキャプチャーによってライダーの姿勢や動きを具体的に数値化し、より適切なフィッティングを可能にするというものです」とのこと。
特にフレームからその人に合わせて組み上げていくロードバイクでは、極めて高い効果を発揮するそうです。徳島県内で体験できるのはここだけのため、多くのフィッティング予約が入ってきているといいます。
サイクルウェアの専門店も併設
『ナカニシサイクル』は、全国的にもめずらしいアパレル専門店『ITOMONN(いともん)』を5年前から併設。こちらも元気に営業中です。店名は織物を表す昔の言葉“糸物”から。さっそく中に入ってみましょう!
「サイクルウェアからソックス、シューズまで、一通り必要なものが揃います」と齋田店長。店内にはフランスの〈MAVIC〉や東京発のオリジナルブランド〈KAPELMUUR〉など、デザイン性の高い製品が数多く並んでいます。
「初心者の方が選んで楽しいように、普段着感覚で着られるものもいっぱいありますよ」。新素材や立体裁断の説明を聞いているだけでもテンションが上がります。そのほか『ITOMONN』にはイギリス発のオシャレな折りたたみ自転車〈BROMPTON〉も展示。徳島県ではここでしか購入できないそうです。
『ナカニシサイクル』がお客さまを大切に思う気持ちは、創業した100年以上前から変わりません。かつては齋田店長と川崎さんも『ナカニシサイクル』へ通っていた自転車少年だったといいます。中西代表を“兄ちゃん”と慕う仲の良さ一つをとってみても、お店の温かい雰囲気が伝わってくるでしょう。BMXスクールやビギナーライド、パンク修理講習会や試乗会などのイベントも数多く開催しています。
「年に一度くらいは、うちで自転車を購入されて、ここから四国一周をスタートする方もいらっしゃいますよ」と齋田店長。四国八十八ヶ所霊場を自転車で巡礼するお遍路さんも立ち寄るという『ナカニシサイクル』。四国で自転車に乗りたいツーリストの強い味方でもあります。徳島を旅するときにはぜひ。
ナカニシサイクル
住所/徳島県徳島市徳島本町1-6
電話/088-625-2864
営業時間/10:00~20:00 ※日・祝日は~18:00
定休日/水曜日
駐車場/あり
http://cycling.co.jp
Instagramアカウント/@nakanishicycle
瀬戸内Finderフォトライター 重藤貴志
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この記事を取材したフォトライター
重藤 貴志
徳島で暮らしているインタヴュアー/ライター/コピーライターです。屋号は“Signature”。新聞広告をはじめ、書籍や雑誌、ウェブサイトなど、幅広い媒体で仕事をしています。生まれ育ちは東京ですが、縁あって徳島に移り住みました。県外出身者の視点から見た徳島の魅力を中心に、瀬戸内のさまざまな情報を紹介していきます。 Twitter https://twitter.com/Siqoqtaq
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