広島では、知らない人はいないほどメジャーな造り酒屋、「千福」(三宅本店)が、明治・大正時代に使用していた幻の酒米「神力米」。
その「神力米」を、数々の苦悩を重ね復活させ、ようやく誕生したのが、日本酒『神力』。
この酒造りまでの一連の流れ(田植え、稲刈り、造り)を、春~冬にかけて実体験出来る、毎年恒例企画がある。
「もう一度原点の酒を造りたい!」
大正9年に『浅間』艦隊に詰め込まれた千福の酒。暑さに弱い日本酒が赤道直下を往復しても、少しも味が変わらなかったということで、酒保委員長から品質証明書が贈られた。そんな原点の酒を再現したのが、『神力 生酛純米無濾過原酒85』なのだ。
熟した果実のような甘酸っぱいふんわりとした香り、しっかりとした酸味の後に旨味・甘味・渋味が複雑に絡み合う濃厚な味わいで、少量生産ということもあり、店頭に並ぶとすぐに完売となってしまう希少なお酒。
原点の酒造りは、2006年、わずか5g、一握りの「神力米」の種もみを育てることから始まり、何年もかけて酒造りができる量まで「神力米」を徐々に増やしていったのだ。
また、「神力米」を使用した酒造りにまつわる文献は、戦火の中で焼失しており、ほとんど資料のない手探りの状態で、試行錯誤を重ね、酒造りを行ったのだ。
そんな歴史の深い酒「神力」の造りを一部体験出来るが、「神力団」企画だ。
5月は田植え、10月は稲刈り、そして最後は12月、酒蔵にて「神力米」を使用した仕込みの一部を、「神力団」の一員として体験出来る。
自分達が植えた苗が、5ヶ月後、こんなに実って可愛い穂をつけている。感動も一入だ。
米、一粒々に有り難みを感じながらの稲刈り。
こうして刈り取られても、お酒の原料として使われる米は全てではない。
割れていたり、大きさが満たされていなかったり、数々の基準をクリアしたお米だけが、「神力」のお酒となっていく。
背景を知ると、日本酒一杯を口に含んだときに感じる重みが違ってくる。
畑のある安芸高田市までは、呉から貸切りバスで片道約2時間弱。
心休まる穏やかな田園風景を眺めながら、稲刈りで汗を流した後に頂くお弁当と日本酒は格別だ。
千福醸造元㈱三宅本店 ギャラリー三宅屋商店
所在地/広島県呉市本通7-9-10
TEL/0823-22-3838
問い合わせ/main@sempuku.co.jp
http://www.sempuku.co.jp/
瀬戸内フォトライター 江崎誠・菅波葉子/㈱Rainbow Sake
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この記事を取材したフォトライター
Rainbow Sake
菅波葉子 ㈱RainbowSake 菅波葉子(広島県出身) 2011年ハワイから帰国後、広島県に帰郷。 日本国内&ハワイの広告会社勤務の後、日本酒を海外に普及するPR会社㈱Rainbow Sakeを立ち上げました。 『SAKEで世界を笑顔で繋ぐ』その架橋になりたい!という想いで、日本とハワイ・シンガポールを中心とした海外を行ったり来たりしています。 帰国する度に地元の魅力を再発見し、瀬戸内海の心安らぐ穏やかな景色、新鮮で素朴な海の幸&山の幸に癒されています。 ㈱Rainbow Sake http://www.rainbowsake.com
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by 瀬戸内Finder 編集部