来年(2015)のNHK大河ドラマは激動の幕末維新を描く『花燃ゆ』。
その舞台はご存知、かつての長州藩、山口県です。
2018年には明治維新150周年もひかえ、県内ではぞくぞく関連イベントが開催されています。
そんな維新のカギを握った場所が室津半島にあります。
古くから海上交通の要所として栄えた港町、室津(むろつ)です。
潮風に吹かれながら町を歩けば、 吉田松陰や高杉晋作らが常宿にしていた肥後屋跡や奇兵隊士が斬りつけた刀痕などを見ることができます。
そして、もっとも維新の面影を残すのが、室津の町でひと際目立つ洋風の木造建築「四階楼(しかいろう)」です。
漆喰(しっくい)の白壁を外観に、窓にはステンドグラス、内外に凝った鏝絵(こてえ)の装飾がほどこされています。
異彩を放つその建築様式は擬洋風(ぎようふう)といい、明治初期に西洋の建築を見よう見まねで建てられたものです。
この四階楼を建てた人物が維新の志士、小方謙九郎(おがたけんくろう)です。
謙九郎は幕末、高杉晋作が結成した奇兵隊に入隊。
周辺の海域を舞台とした幕府と長州藩の戦争(大島口の戦い)では、参謀として参戦し、大きな功績を上げました。
明治維新後、謙九郎は官職の席には就かず、室津に帰り、回船問屋・汽船宿を営みはじめます。
その店舗兼住宅として建てられたのが、この4階建ての美しい木造建築でした。
かつて管理人を務め、歴史に詳しい酒井精一郎さんは
私が初めて四階楼を訪れた際、こう話してくれました。
「人とモノが行き交う室津は、江戸での風説や諸藩の情勢など最新情報が集まる場所でした。その広い見聞をもって、謙九郎は維新の志士として明治維新を成し遂げ、文明開化の象徴であるこの建物を作ることができたのでしょう。いわば、四階楼は維新と文明開化の申し子みたいなものです」。
ざんぎり頭を叩いてみれば、文明開化の音がする――
これは明治初期に流行した言葉です。
謙九郎が参謀をつとめた奇兵隊。
その創始者であり、維新の原動力となった高杉晋作のトレードマークは「ざんぎり頭」でした。
そんなことから「(ちょんまげ頭ではなく)ざんぎり頭の人こそ時代の波に乗り、進んでいる人だ」という意味で用いられました。
明治維新からはや150年。
四階楼の門を叩けば、今も文明開化の音をはっきりと聴くことができます。
【おいでませ!山口】
●四階楼(国指定重要文化財)
住所/山口県熊毛郡上関町大字室津868-1
開館時間/10:00~17:00
定休日/月曜(月曜祝日の場合は翌日休み)、年末年始(12/29~1/3)
入館料/無料
TEL/0820-62-6040
●「やまぐち幕末ISHIN祭」特設サイト
長州の幕末維新史や幕末維新ゆかりの人や場所、スペシャルインタビューなど魅力的なコンテンツがいっぱいです。来年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』を先取りしたい方にもオススメ!ぜひご覧ください♪
http://www.ishin150.jp/
瀬戸内Finderフォトライター 藤本雅史
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