グルメ・おみやげ

絶景・ワイン・料理で瀬戸内を味わい尽くす。瀬戸内醸造所レストランmio/広島県三原市

絶景・ワイン・料理で瀬戸内を味わい尽くす。瀬戸内醸造所レストランmio/広島県三原市

「ザ・瀬戸内海」な景色を望む絶景レストラン『mio』

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広島県南部に位置する三原市。その中でも県道185号線沿いに広がる須波という町は、これぞ“ザ・瀬戸内海”という多島美が見られる、ロケーションに恵まれた街です。
その須波の海沿いにある面積約29aの造船所跡地に、ワイナリー併設のレストラン『mio(澪)』が誕生しました。

こちらのレストランを運営するのは、2018年から委託醸造による自社ワインの小売販売をしてきた『瀬戸内醸造所』です。

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代表の太田祐也さんは、三原市出身。進学のため上京し、25歳の若さで地方創生のコンサルタント会社を起業、地域ブランドや小規模事業者の支援をしてきました。

故郷の三原市に瀬戸内醸造所を設立したのは、太田さんが「最大限尊敬していた」という祖父が太田さんに託した「お前は町のためになることをやれ」という遺言を守るため。そしてもう一つは、地方創生の仕事をする中で芽生えた「次の世代に継承するために瀬戸内の情景、食文化を世界に発信したい」という想いを叶えるためでした。

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だからこそ、建物のデザインも、瀬戸内のポテンシャルを世界に発信することを念頭に、かなりこだわったそう。設計は建築家の菅原大輔氏が代表を務める〈SUGAWARADAISUKE建築事務所〉に依頼しました。

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眼前に広がる瀬戸内海、そして背面にそびえる山の風景をあらゆる角度でトリミング。その景色はまるで一つひとつが絵画のような美しさであり、さらには季節、時間によって刻々と移り変わっていくスクリーンのようでもあります。

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小上がりのスペースに設けられた窓からの眺めもこの通り。
レストランで使われている食器、家具等もすべて地元にゆかりのあるものにこだわったそう。テーブルセットは、三原市で手仕事にこだわった家具工房を兄弟で営む〈サクラサク〉の作品。シンプルながら使いやすさとデザイン性が両立するようにデザインされています。

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オーシャンビューのガーデンは、なるべく手を加えず、自然に育つ植生によって経年で楽しめるよう工夫されています。あえて残されたクレーン跡など、かつて造船所だったことを忍ばせる遺物が醸すノスタルジー感が私にはどストライクでした。

三原ワインと味わうSETOUCHIランチコース

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さあ、お待ちかねのランチタイム。店内の席はカウンターや小上がり、テーブル、テラス席などがあります。
『瀬戸内醸造所 レストランmio』ランチbasic+mainコース 魚・牛肉(8.800円・予約優先)は、日本の四季に合わせてメニューを更新されているそう。ちなみに訪れた時は「小暑 温風至(しょうしょ あつかぜいたる)」でした。

ランチはワンドリンクオーダー制。今回は贅沢にグラスワイン3杯セットを注文しました。この日いただけたのはこの3本。左から「2019徳佐シードル」「2019 Setoushioカルベネ・ソーヴィニヨン」「2019三原ニューベリーA」。瀬戸内醸造所のロゴをモチーフにしたラベルがとってもおしゃれです。

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写真は前菜(八寸)。フランス料理をベースにした洋食に和の要素を加えた、どれも手のこんだお料理ばかり。ドライな味わいのシードルや、さっぱりとした清涼感のあるワインともよく合います。和を感じさせるモダンな檜の器は、店内の家具を担当した〈サクラサク〉が制作したものだそう。

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レストランの目の前の海、2kmも離れていない場所で行われているタコ壺漁で前日採れたばかりのタコや、対岸に浮かぶ佐木島で栽培しているキュウリやナスをふんだんに取り入れた料理の数々。新鮮な食材が放つ瑞々しい香りと美しい見た目が食欲をそそります。

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温菜は、「瀬戸内小魚のオーブン焼き」。添えられた瀬戸田の塩レモンがびっくりするほど美味しい! シェフ自ら仕込んで3ヶ月熟成させたものだそう。「購入できませんか?」と思わず聞くほど美味でした。

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この日の肉料理は「神明鶏(しんめいどり)のフリット 中東スパイス風味」。(2022年現在は魚+牛肉の内容に変更しています)

華やかなスパイスの香りがワインとマッチ。そして何より鶏肉のしっとり感にびっくり。神明鶏は地元三原が誇るブランド鶏肉。衣をつける前にマリネするのがポイントだそう。こんなにしっとりジューシーな鶏肉は初めて食べました。

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こちらは魚料理。「鱧(はも)のポッシェ 大葉のサルサヴェルデ」。
日本の煮物のように、出汁やワインで鱧を煮込んだ、さっぱりと夏らしい一品。魚介料理によく合うスパークリングワイン「2019三原ニューベリーA」との相性は最高でした。

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このランチコースの特徴は、パンやライスではなく、自家製手打ち麺が用意されていること。ワインと一緒に楽しむことを前提にしたコースなので、「お酒を飲んだ締めにはラーメンが欲しくなる」というアイデアからだそう。
毎日仕込むという自家製手打ち麺のモチモチ感とこだわりの出汁をじっくり味わいました。

ワイナリーもいよいよ本格稼働!

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取材したのは2021年7月。8月からの本格稼働に向けて試運転中だったワイナリーも特別に見せていただきました。スロベニアから輸入したというタンクが、おしゃれなワイリーにとてもよく似合う! 稼働以降は、予約制(有料)でワイナリー見学ツアーも考えているとのこと。詳しくは瀬戸内醸造所の公式サイトでチェックしてくださいね。

直売所は竹原市に。散策がてらワインをお買い物

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レストランから車を走らせること約30分。国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている竹原市の町並み保存地区に、瀬戸内醸造所の本社も兼ねるワイン直売所があります。しっぽりと風情漂わせるシックな古民家の軒先には野草や花が生けられた一輪挿しが。太田さんはその情景がとても好きなんだそう。

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実はレンガの産地でもある竹原市。店内に什器を設置する代わりに、そのレンガを使って、この町が継承してきた歴史とこれが紡がれる未来が重なり合うことをイメージした螺旋(らせん)状の展示台を造りました。
訪れる人の新しい出会いと交流が生まれますように、という願いも込められているんだそう。素敵なコンセプトですね。

ワインと料理でSETOUCHIの新しい未来が始まる

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コロナ渦に準備を進め、2021年4月にオープンした『瀬戸内醸造所レストランmio』。
新型コロナ感染症の再拡大、そして7月には集中豪雨によって、苗木の植付け直後だったぶどう畑が浸水するなど、想定外の出来事が続きました。

「正直しんどいことが多かったですが、地域の皆さんをはじめ、この事業を応援してくださっている方がたくさんいて、温かい支援をいただいています。必ずや、この恩返しはするつもりです」と太田さん。

近々、ガーデンでのBBQコースも始まるなどレストランもまだまだ進化中。瀬戸内醸造所が紡ぐSETOUCHIストーリーは始まったばかり。次なる展開に乞うご期待ください!

瀬戸内Finderフォトライター イソナガ アキコ

関連地域

広島県

「嚴島神社(宮島)」と「原爆ドーム」という2つの世界遺産を有し、国内外から多くの旅行者が訪れる広島県。広島風お好み焼き、牡蠣、レモンといった定番グルメから、化粧筆の代名詞ともなった熊野の筆づくり、かつての軍港の姿を残す呉の街並み。根強いファンが多い地元球団やサッカーチームの観戦も見逃せません。また近年では、サイクリストの聖地「しまなみ海道」や、連なる島々を飛び石に見立て名付けられた「安芸灘とびしま海道」など多島美景観を実際に体験・体感できる観光も人気です。