まるで東洋のマチュピチュ。
新居浜市東平地区
旅をしていると時折、異空間に足を踏み入れてしまったかのような絶景に出会うことがありませんか? 非日常こそ、旅の醍醐味のひとつ。今回は愛媛県で、そんな不思議な気分に浸ることができるスポットをめぐってみます。
まずは新居浜市の東平(とうなる)地区です。
ここはかつて、別子銅山で栄えていました。現在はその産業遺跡群が、標高750mの山間に静かに横たわっています。その姿はかのアンデスの天空都市を思い起こさせ、『東洋のマチュピチュ』とも呼ばれています。
1691(元禄4)年から1973(昭和48)年までという長きに渡って銅の採掘が行われ、最盛期には数千人が暮らす町がここに形成されていたそうです。
今では崩れ落ち、植物がからまる赤煉瓦の残骸。青空の下や、山間部ならではの霧の中で、その姿は物悲しさと同時に神秘的なまでのロマンを感じさせます。じっと眺めていると、かつての賑やかな頃の声が耳に届いて来そうです。
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まるでジブリの世界。
今治市『小島要塞』
続いて今治市沖に浮かぶ小さな島、その名も小島(おしま)へ。島へ渡る手段は船だけ。渦の逆巻く来島海峡を行けば、非日常感がどんどん高まります。
この島には明治時代、日露戦争に備える沿岸要塞が築かれ、現在もそれらがほぼ完全な形で残されています。
兵舎跡や砲台跡、爆薬庫などが島のあちこちに点在。ジブリアニメの中の世界を見るような佇まいです。
戦いのために作られた建物を花と緑が包み、幻想的な美しさながら、なんだか切ない気持ちになる光景です。
2500本の椿が咲き乱れる島の遊歩道も見どころのひとつです。緑のトンネルに赤い花が散り敷き、未知の世界へと誘われそう。木陰から不思議な生き物が顔を出しそうです。
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まるで石に守られた城跡。
愛南町『石垣の里』
愛媛県のぐっと南の方、愛南町では人の生活と密着する美しい風景と出会いました。
外泊(そとどまり)地区は『石垣の里』として知られています。まるで城跡かと思うほどの大迫力の石垣に、民家がガッチリと守られているのです。
この集落は入江に面した急斜面にあり、台風などの自然災害から暮らしを守るために、人々は高い石垣で家を囲いました。その高さは軒に届くほど。
整然と積み上げられた石垣が見事な景観を成し、『日本の美しいむら農林水産大臣賞』など複数の栄誉にも輝いています。
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まるで天に至る石垣。
宇和島市『遊子水荷浦の段畑』
積み上げた石垣といえば、こちらは天を仰ぎ見るほどの高さ。遊子水荷浦(ゆすみずがうら)の段畑(だんばた)です。
宇和海を望む小さな岬の先の急斜面を、段々畑が覆い尽くしています。
『耕して天に至る』といわれる通り、急斜面の上の上までずうっと、幅の狭い畑が大階段のように続きます。
日本農村百景などにも選ばれたこの景勝地は、実はジャガイモの名産地。石垣、海、太陽、3方からの光と熱で美味しいジャガイモが育つのです。半農半漁で糧を得てきた人々の知恵と努力の結晶です。
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まるでグランドキャニオン。
今治市『大島石の採石場』
人の営みが奇跡のような景観を創造している場所を訪ねて、今度はしまなみ海道を渡って大島へやって来ました。
大島は全国的に名高い大島石の産地。青みを帯びた堅牢な大島石は、国会議事堂や赤坂離宮などにも使われている名石です。瀬戸内海を望む山の上の採石場へ登ると、見下ろす深い岩の底で石を切り出しているのが見えます。
なんという高さ。なんという迫力。アメリカのグランドキャニオンならぬ『しまなみアートキャニオン』という通称にも激しく納得できます。
輝く青い海と切り立つ岩肌のコントラストが織りなす、まさに絶景です。
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まるで天空の道。
日本のスイス『四国カルスト』
最後に、空へ向かって昇るような場所へご案内。愛媛県と高知県にまたがる四国カルストです。
尾根に広がる大パノラマの高原。青空の下でゆったりと草を食む牛たち。『日本のスイス』とも称される風景です。
その中を行く県道383号線は、別名『天空の道』と呼ばれます。まさに空へと向かっているような道です。心が晴れ晴れとしてきます。大きな白い風車が近未来的な姿で大自然の中にそびえ立ち、不思議な存在感を見せています。
遠くの尾根にずらりと並ぶ白い風車が見えます。空は高く広く抜けて、なんだか山のずうっとむこうまで見えて来そうです。風景の中に吸い込まれて、空から見下ろしているような気分になります。
夜は満点の星空。もう別世界という他ありません。
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町の片隅やちょっと出かけた先などでも、奇跡のような絶景に出会えることがあります。何か心に訴えかけてくる風景に出会ったら、ちょっと足を止めて眺めてみたり、歴史や背景を調べてみたりすると、新しい世界が広がるかもしれませんよ。
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