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展望風呂と露天風呂で楽しむ四国随一の秘湯/和の宿 ホテル祖谷温泉(徳島県三好市

展望風呂と露天風呂で楽しむ四国随一の秘湯/和の宿 ホテル祖谷温泉(徳島県三好市

©ホテル祖谷温泉

“日本三大秘境”の奥にある秘湯を目指して

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岐阜県の白川郷、宮崎県の椎葉村と並ぶ“日本三大秘境”として知られる徳島県の祖谷(いや)地方。峻険な山々の断崖絶壁、その間にできたV字型に深く切れ込んだ渓谷など、厳しくも雄大な自然が広がる風景は、平家の落人(おちうど)たちが隠れ住んだ伝説を今に感じさせてくれます。

そんな非日常感あふれる祖谷地方で、ぜひ泊まってほしいのが『和の宿 ホテル祖谷温泉』。心尽くしのおいしい料理と居心地のいい客室、そして、源泉かけ流しの露天風呂を、絶景とともに楽しむことができるんです。

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『和の宿 ホテル祖谷温泉』へは徳島市から車で約2時間弱。ひたすら険しい山道である祖谷街道を上っていくと、最大の難所である“七曲(ななまがり)”に出ます。

ここに設置された『祖谷渓小便小僧』は、徳島県出身の彫刻家である河崎良行が制作したもの。設置の理由は諸説あるようですが、有名なのは「地元の子どもたちや祖谷街道の作業員などが度胸試しで放尿した故事にちなんでつくられた」という説だそう。ちなみに深い谷底までは約200メートル……。真実はわかりませんが、祖谷有数の観光名所になっています。この『祖谷渓小便小僧』を過ぎると『和の宿 ホテル祖谷温泉』はすぐそこです。

上質なおもてなしが嬉しい和モダンの一軒宿

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落ち着いた雰囲気の『和の宿 ホテル祖谷温泉』は、周囲の景観とマッチした美しい一軒宿。駐車場では親切なスタッフが車を停める場所を教えてくれました。実は取材に訪れた日は天候が今一つで、雨が降ったり止んだりの寒い日でしたが、スムーズに重い荷物を運んでいただき、とても有り難かったです。

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祖谷渓を臨む崖の上に建てられているだけあり、居室数こそ少ないものの、その一つひとつが厳選された造りになっている点も大きなポイントです。

たとえば、こちらの308号室は本館3階にある一般客室ですが、和モダンともいうべきシックな内装が出迎えてくれます。シモンズ製マットレスが嬉しいベッドやBOSE製CDプレイヤーなど、随所におもてなしへのこだわりが感じられるところも◎。円形の窓が印象的な寛ぎ場にはマッサージチェアが設置されています。

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こちらの306号室は露天風呂付客室の一つで『ふたりじめ』と名づけられています。その名のとおり、半屋外空間に設けられた露天風呂は祖谷渓に面しており、誰にも邪魔されることなく雄大な自然を愛でることができます。大切な人と二人で過ごすには、ぴったりの非日常空間だといえるでしょう。『和の宿 ホテル祖谷温泉』には、そのほかにも展望風呂のある客室や月見台のある客室などがあります。露天風呂と専用の足湯を備えた特別室『雲の上スイート 玉響(たまゆら)』も大人気だそうですよ。

祖谷渓の美しさを堪能できる展望テラスと大浴場

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絶景を楽しむことができるのは客室だけではありません。2021年3月には祖谷渓の山並みを一望できる『雲の上テラス』を4階に設置。標高約413メートルから四季折々の美しい眺望を満喫できるとあって、訪れた宿泊客から好評を博しています。初夏の新緑、秋の訪れを告げる紅葉、積雪による水墨画のような光景など、どの季節でも最高のフォトスポットです。

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そして、同じく2021年にリニューアルしたのが、祖谷温泉の源泉を引いた2階の展望風呂『雲遊天空の湯-SORA NO YU-』。浴槽の向こう側を一枚の大きなガラス窓にすることで、屋内にいながら祖谷渓のダイナミックな自然が体感できる大浴場に生まれ変わりました。まるで一幅の絵画のような美しさです。

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取材時にはこの展望風呂が大いに気に入り、時間帯を変えて何度も訪れました。宿泊していれば深夜でも入浴できるのは温泉好きには嬉しいですね。浴槽の壁に身体を預け、お湯に浸かって流れゆく雲を見ているだけで、身心ともに癒やされていきます。実はこのガラス窓、開閉できるようになっており、季節や天候の状態によっては、さらに内と外との境界が曖昧になる不思議な雰囲気を味わえるそうですよ。

ケーブルカーで約170メートル下の露天風呂へ!

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『和の宿 ホテル祖谷温泉』の露天風呂は祖谷渓の谷底にあるため、入浴するには『雲の上テラス』の横からケーブルカーに乗車する必要があります。
傾斜角約42度、高低差170メートルの崖を行き来する所要時間は片道約5分。乗客が自分でボタンを押すと動き出すため、子供さんは大喜びとスタッフからお聞きしました。ケーブルカーが整備される前は、険しい崖につくられた山道で、片道40分ほどかけて上り下りしていたとか……。

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かすかに硫黄の匂いが漂う源泉かけ流しの露天風呂『せせらぎの湯』と『渓谷の湯』は、二つとも深いエメラルドグリーンの水が流れる祖谷川にせり出すような形でつくられています。日替わりで男湯と女湯が入れ替わるため、どちらも入ってみたい場合は連泊がおすすめ。朝の7時から21時(1月4日から2月末までは19時)までいつでも入浴することができるため、刻一刻と移り変わる自然の表情を心ゆくまで堪能することができます。

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露天風呂の泉質はアルカリ性単純硫黄温泉。各種ミネラル成分をバランス良く含み、お肌に優しいとろっとした温泉水は、肌本来の自然治癒力を高めてくれるのだそう。神経痛やリューマチ、美容や健康疲労の回復に最適です。
そして、もう一つの特徴は、ほぼ体温と変わらない約39度という源泉の温度。ゆっくり時間をかけた湯浴みができるとあって、熱いお湯が苦手な海外の方からも大人気です。1時間以上は景色を見ながら浸かっていましたが、のぼせることはありませんでした。

自然の恵みと伝統食材を生かした心尽くしの料理

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旅の楽しみといえば、おいしい食事は欠かせません。温泉で心身をリフレッシュした後は展望レストラン『Café Dining HANA』へ。四季折々の美しい風景と画家の木村英輝氏によって描かれた祖谷渓谷をモチーフにした大胆な壁画が印象的です(現在は各テーブルをアクリル板で分割しています)。
誰でも利用することができるため、ここでランチやカフェを楽しんだ後、日帰り入浴していくお客さまもいらっしゃるそうです。

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夕食の一番人気は、阿波牛の鉄板焼や地元で獲れた鹿肉のロースト、あめごの姿づくりを含む『阿波特選会席』。特産の山菜や源平芋をはじめとする自然の恵み、祖谷豆腐や蕎麦米といった伝統食材をジビエや川魚などと組み合わせた大満足のコースです。食前酒として供される自家製のヤマモモワインをはじめ、一品一品がここでしか味わうことのできない祖谷スタイルともいうべき心尽くしのもてなしとなっています。
もちろん、どのコースも徳島の銘酒やワインとの相性は抜群。ぜひ注文してみてください。

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朝食は和・洋のどちらかを選ぶことができますが、宿泊客の大半が頼むのは『和朝食』とのこと。できたての豆腐や野菜の煮物、刺し身蒟蒻や出汁巻き卵などで食べる炊きたての御飯は、朝からおかわりの手が止まりませんでした。
ちなみに『洋朝食』は厚切りベーコンエッグにハムとソーセージ、パン、スープ、サラダといったメニューだそう。連泊する場合はこちらを頼んでみても良さそうですね。

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そもそも四国四県は温泉が少なく、1975年に発足した『日本秘湯を守る会』の会員旅館も、ここ『和の宿 ホテル祖谷温泉』のみ。“日本三大秘境”の一つに数えられるだけあり、確かに険しい道のりではありますが、到着すれば最高の展望風呂と露天風呂が待っています。

ハイシーズンは紅葉が美しく色づく11月頃ですが、目の覚めるような新緑に包まれる春先もおすすめです。冬季は雪による通行止めや路面凍結があるため、車で向かう場合は冬用タイヤを装備し、細心の注意を払って運転してくださいね。

瀬戸内Finderフォトライター 重藤貴志

※感染症対策に配慮した上で撮影を実施しています。

関連地域

徳島県

四国八十八ヶ所のスタート地点となる徳島県。東西を山に囲まれ、扇状に広がる徳島平野、その先に広がる瀬戸内海。海の幸、山の幸に恵まれ、新鮮な食材を楽しむことができます。また目を楽しませてくれるのは本場の「阿波踊り」。見て楽しむだけでなく、観光客も参加して楽しむことができるのも魅力の一つです。瀬戸内海が魅せる鳴門の渦潮や、秘境祖谷のかずら橋、大歩危峡の川下りなど、徳島の自然も満喫してください。