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太古の遺跡に江戸時代の商家!奥深い東播磨の歴史とご当地グルメの旅に出かけよう

太古の遺跡に江戸時代の商家!奥深い東播磨の歴史とご当地グルメの旅に出かけよう

明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町の3市2町、70万人以上が暮らす東播磨地域は瀬戸内海に面し、加古川流域に播州平野が広がる豊かな地域です。

東播磨の歴史の流れをざっとつかむには、JR土山駅の南口近くから伸びるミュージアムロード『であいのみち』を歩いてみるのが近道です。

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『であいのみち』は1980年代まで半世紀以上運行した別府(べふ)鉄道土山線の線路跡を整備した緑道です。

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春には花があふれ、道沿いには子どもたちに人気の野添北公園や圓満寺の五重塔が並びます。

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散歩と同時に歴史を知ることができるのは、6つのタイムトンネルゲートやマイルストーン(道しるべ)が年表代わりになっていて、現代から古代へさかのぼって播磨の歴史が辿れるから。

①大中遺跡で弥生時代へタイムトラベル

大中遺跡公園(加古郡播磨町)

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『であいのみち』の先にあるのは、大中(おおなか)遺跡公園。園内には兵庫県立考古博物館と播磨町郷土資料館があります。

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大中遺跡は弥生時代のおわりから古墳時代はじめ頃の遺跡で、1962年(昭和37年)に播磨町内の中学生が発見したそうです。貴重な中国製の鏡が出土したことから、ここが播磨で有力なムラだったことがわかっています。

竪穴住居は発掘調査をもとに復元されました。「大中遺跡AR(拡張現実)」アプリを活用すれば、およそ1900年前の人々が集落や住居の中で何を着て、どんな土器で何を食べていたのか再現された様子が目の前で繰り広げられます。

②歴史が楽しくなる2つのミュージアム

播磨町郷土資料館・兵庫県立考古博物館(加古郡播磨町)

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遺跡の出土品は、園内にある播磨町郷土資料館に展示されています。おもしろいのは、イイダコ壺が見つかっていること。弥生時代の播磨でも漁業がさかんで、人々がタコを食べていたということですね。

また、弥生時代後期に話されていた言葉が研究に基づいて再現され、資料館内で聞くこともできます。意外にも弥生人と少しは言葉が通じるかもしれないと思わせてくれます。

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ほかにも、資料館の屋外には別府鉄道の機関車が展示されていて、写真を撮ったり、レトロな客車に乗り込んだりすることができます。

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幕末に日米で活躍したジョセフ・ヒコ(浜田彦蔵)ら播磨町出身の人物について学ぶこともできます。ジョセフ・ヒコは日本人として初めてアメリカ市民権を取得し、リンカーン大統領と会見する機会を得て、帰国後は日本で初めて新聞を発刊したすごい人です。

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一方、参加体験型の兵庫県立考古博物館は、手を動かしたり展示物にさわったりして、体験しながら楽しく学べるのが大きな特徴。『発掘ひろば』ではゴムチップに埋められた古代の宝物を発掘する体験ができます。『テーマ展示室』で県内各地の遺跡から出土した古代人の骨やまつりの道具、迫力満点のジオラマを間近で見れば、兵庫県の歴史を考古学で解き明かす楽しみが深まります。

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古代人と同じように、木の道具だけを使って火を起こす体験はかなりエキサイティングで、いい思い出になること間違いなしです。

③柿本人麻呂も詠んだ「いなみ野」を偲ぶ

いなみ野万葉の森(加古郡稲美町)

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同じ加古郡でも、播磨町の北に位置する稲美町は、田園風景と大小88のため池が印象的なところです(上の写真は天満大池)。この地域(稲美町だけを指すものではない)は奈良時代に編纂された『播磨国風土記』の頃から大和朝廷と太宰府との交通の要路として知られ、『万葉集』においても印南野、稲日野(いなびの)として柿本人麻呂らにより和歌が詠まれています。

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そんないにしえを偲べるのが、『いなみ野万葉の森』です。当時の印南野と瀬戸内海をイメージして作られた日本庭園には、120種類を超える万葉植物に、60ほどの歌碑が添えられています。

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『令和』の典拠となった、大伴旅人が太宰府で開いた『梅花の宴』の序文の歌碑も設置されていて、改元の際話題になりました。

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万葉の草花を愛でながら鳥のさえずりに耳を澄ませ、のんびりと散歩するのにもってこいの庭園ですよ。

④加古川に来たらやっぱり『かつめし』

本家かつめし亭(加古川市尾上町)

さて、今回の旅は歴史に加えて東播磨の名物ご当地グルメも一緒に楽しんでしまおうというプランです。まずは、加古川の定番ソウルフード『かつめし』で腹ごしらえをしましょう。

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『かつめし』は洋皿にごはんを盛り、ビーフカツを乗せてデミグラス系のソースをかけ、茹でキャベツを添えた料理のこと。聞いただけでヨダレものでしょう!?

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『本家かつめし亭』は『かつめし』の専門店で、ごはん、牛肉、ソース、そして価格へのこだわりが半端ないんです。牛肉は、毎朝加古川で仕入れる高級黒毛和牛・播州牛。歩留まりでも肉質でも高い評価を受けるA4からA5ランクの肉を厳選しています。

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豚骨と鶏ガラスープをベースに数種類の野菜を加えて作り上げたデミグラスソースは甘味と酸味が丁度いい塩梅です。ソースとの相性を考えて、お米は兵庫県産のヒノヒカリを使っています。こんな素材を使ったこんなクオリティーの『かつめし』が、こんな価格でいただけてしまうのかと正直驚いてしまいます。

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ソースに絡ませたビーフカツ、お米、そしてキャベツを合わせてお箸でつまみ、一口に頬張るのが『かつめし』のおいしい食べ方。しゃっきしゃきのゆでキャベツが、ここでいい仕事ぶりを発揮して、どんどん箸が進みます。“ダブルかつ大盛り”を選ばなかったことが悔やまれます。が、歴史&グルメ旅ですから、ここは少しお腹に余裕をもたせて次の目的地を目指します。

⑤工楽松右衛門ゆかりの古民家へ

工楽松右衛門旧宅(高砂市高砂町)

江戸時代に加古川舟運や北前船海運の要所として繁栄した高砂市の南堀川船着き場前です。

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ここに江戸時代後期に建てられた、漆喰の白が眩しい建物があります。高砂出身で、兵庫津(現在の神戸市)を拠点として廻船業に従事し、全国各地で港湾の改修に取り組んだ工楽(くらく)松右衛門。その子孫が代々暮らしていたのが、この『工楽松右衛門旧宅』です。

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日本遺産『北前船寄港地・船主集落』の一部を構成し、建築物としても見どころがたくさんあります。軒下には、上げ下げすれば夜には戸締まりができるばったり床几(しょうぎ)と蔀戸(しとみど)があり、南側に面する外壁は当時の舟板を使った舟板塀になっています。

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吹き抜けの土間では、見上げると太松の梁や複雑に組まれた丸太が美しく、訪れる人を圧倒します。工楽松右衛門は、扱いやすく丈夫でしなやかな帆布を開発した発明家としても知られます。帆布製品を扱うお店もあるので、お気に入りの高砂土産が見つかるかも。小腹がすいたら、高砂名物のにくてんを試してみてくださいね。

⑥はちみつを包み込んだ新しいパンケーキ

ステフォレ本店(加古川市加古川町)

加古川市に移動して、鶴林寺に赴く前にちょっとティータイム。

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“文房具と雑貨の森” をコンセプトに掲げる人気のお店『ステフォレ』本店に併設されたカフェでパンケーキをいただきます。とは言っても、ただのパンケーキではありません。

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加古川の新ご当地スイーツ『加古川おくるみおやつ』のひとつ、『加古川産はちみつのふわふわパンケーキ』なのです。『加古川おくるみおやつ』は、加古川ならではの食材を包んだおやつで、提供店舗によって包むものもおやつの形態も異なるバラエティ豊かな名物。

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注文を受けてから、30分かけてスキレットで焼き上げるパンケーキは生地にメレンゲがたっぷり使われているため、ふわっふわの仕上がりです。中心には加古川産のはちみつがたっぷり包まれていて、生地全体にじゅわっとしみています。

さらに、お好みで“追いはちみつ”をすれば、加古川の里山で採れたはちみつの自然な甘みが存分に味わえます。トッピングにたっぷりかかった生クリームと合わせても、ぺろりと食べられてしまいます。

⑦聖徳太子創立と伝わる鶴林寺へ

刀田山鶴林寺(加古川市加古川町)

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腹ごなしに、ステフォレから南に10分ほど歩けば、播磨有数の古刹『刀田(とた)山鶴林寺』に到着します。この地に身を隠していた高句麗の僧を訪ねた聖徳太子が開いた寺と伝わり、鎌倉・室町時代に全盛期を迎えて30以上の寺坊が並ぶ大寺院へと拡大しました。

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その室町時代初期に建てられた本堂は、太子堂と並んで国宝に指定されています。日本古来の建築様式『和様』を基本としながらも、大陸伝来の『禅宗様』や『大仏様』も取り入れた『折衷様』の仏堂です。桟唐戸(さんからど)を開けば開放感を、閉めると重厚感を感じられる作りです。

本堂内の秘仏五体はいずれも国の重要文化財ですが、特別な機会を除けば60年に1度しか開帳されません。そのほかにも鶴林寺には多くの文化財が残されているので、宝物館も見逃せません。

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また、室町時代に創建され、江戸時代の改修、近年の火災による損傷と解体復元修理を経た三重塔は、仁王門の外からも見える鶴林寺のシンボル的な存在です。

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注目したいのが三重塔の屋根の南西に据えられた鬼瓦。正面と左右、3つの顔に睨みつけられて縮み上がりそう……なのですが、よく見るとどこかユーモラスな表情です。この三面の鬼瓦には、裏鬼門の魔除けの意味があると言われています。

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鶴林寺は毎年1月に本堂で繰り広げられる鬼追いでも知られるお寺です。タイミングが合えば、ぜひ見学してみてください。

さあ、本日の旅は、加古川のもうひとつのご当地グルメ『加古川ギュッとメシ』で締めくくりましょう。

⑧漬け込み牛肉の旨味あふれるギュッとメシ

有機茶房ごえん(加古川市加古川町)

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『加古川ギュッとメシ』の一例がこちらです。はい、360度どこから見てもおいしそう。味噌ベースのタレに漬け込んだ牛肉を味わう料理で、味の変化やプラスアルファの工夫が用意されていることが『加古川ギュッとメシ』の条件です。

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『有機茶房ごえん』でランチタイムにいただける『まごころギュッ(牛)とメシ』は、ごはんの上に牛肉と旬の野菜のナムルが “ギュッと” 敷き詰められた状態で提供されます。まずはこれを器によそってそのままいただきます。歯ごたえ抜群の野菜、コクのある牛肉、そして白ごはんの組み合わせが完璧です。糀味噌や酒粕の味わいを引き立てる甘辛いタレには、隠し味として『有機茶房ごえん』で焙煎した有機コーヒーが使われているのだとか!

2杯目には、白ごまと甘酢生姜をはらりとかけて。ごまの香ばしさと甘酸っぱい生姜が全体を引き締めます。このまま食べきってしまいそうなところをぐっとこらえて、3杯目はかつおベースのお出汁をかけていただきます。

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すると、漬けダレの味噌と酒粕がお出汁に少しずつ染み出して、粕汁風にどんどん変化していきます! 牛肉をコーティングしていたタレがお出汁に溶けて、お肉そのものの深い味わいが前面に出てくるんですね。『加古川ギュッとメシ』の “味変”効果、 恐るべしです。

『有機茶房ごえん』は有機野菜をたっぷり使ったランチ、有機コーヒー、そして生き生きと働く店員さんたちが自慢のカフェです。こんなとっておきの場所で1日を振り返るのも、旅の醍醐味のひとつですね。

※感染症対策に配慮した上で撮影を実施しています。

東播磨地域の情報サイト「まるごと東はりま」

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瀬戸内Finderフォトライター 堀 まどか

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瀬戸内海と日本海の2つの海に面し、中央には中国山地が延びる兵庫県。古くから貿易の拠点として発展してきた商業地と豊かな自然が残る兵庫県は、観光地としての見所も数多く存在します。異国文化漂う神戸の町並み、白く輝くように美しい姫路城、せとうちの海で大きく育った明石のタコや、四季の花々を楽しむことができる淡路島。買い物、温泉、歴史や文化、そして自然。どれをとっても一級品の旅が楽しめる場所です。