これを知ると今治城はもっと面白い!町中に見る城の名残/(愛媛県今治市)

藤堂高虎が築いた名城・今治城

今治城は、築城の名人と称される藤堂高虎が築いた城です。残念ながら当時の姿を残すのは内堀と主郭部の石垣のみですが、再建された天守や門、櫓などいずれも見応えがあります。
関連記事>天守から『しまなみ海道』も望める、瀬戸内海に面した『日本三大水城』の一つ!/今治城

さて、今回は城の外に出て、在りし日の今治城の姿を町の中に探します!

今治城が海城たる所以が見える!

瀬戸内海沿岸に築かれた今治城は、日本屈指の海城としても知られます。
堀には海水が引き込まれ、海の魚が泳ぐのも見えます。

ではその海水は、どこから堀の中へ入ってくるのでしょうか。
堀の北東脇にある駐車場から堀に沿って北へずーっと進むと、堀の北隅に、石垣が四角く口を開けた場所が見えます。これが海へつながる水路です。

水がどんどん堀の中へ流れ込んでいます。
海の潮が引く時間なら、逆に水は堀から出ていきます。潮の満ち引きによって水が出入りし、堀の水位も変わるのです。
水の流れを追ってみましょう。

道路を渡り、100mも行かないうちに海に出ました。今治港の内港です。

かつて今治城は、三重の堀で囲まれていました。現在の堀はその一番内側。
当時は中堀、外堀を通って、船で海へ漕ぎ出せるようになっていました。船の預かり所や水運管理の役所などがあった城内の港が、現在の今治港の原型ともいわれています。

町の中に残る外堀の姿

三重の堀のうち、内堀は今も残り、中堀は埋め立てられてしまいました。
では、外堀はどうなったのでしょうか?
実は町の中に、今もその名残を見ることができるのです。

ということで、今治商店街、その名も『今治銀座』へやってきました。
このあたりの場所を地元では『ドンドビ』と呼びます。道路標識にも『ドンドビ交差点』の文字。

でも『ドンドビ』って、いったい何?聞きなれない言葉ですよね。漢字で書くと『呑吐樋』。これが実は、今治城の外堀と関係があるのです。

ドンドビ交差点の一角にある、『やなぎばし』と書かれた橋の欄干。

そのたもとに『どんどびの由来』を記す石碑があります。
それによると、『呑吐樋(どんどび)』は水の出入りを調整する装置のことで、今治城の外堀と泉川が合流するこの場所にあったそうです。水を飲んだり吐いたりするように見えることから付いた名前なのだとか。

そして現在の『金星川』が、今治城の外堀だったと書かれています。外堀が、今もここに!

石碑の場所から道路を渡り、商店街の入り口右手に見える川、これが金星川です。川には複数の橋が架かっているのが見えます。
辿って行ってみましょう。

それぞれに色や形が違う橋が、いろんな表情で金星川のレトロな風景を作り出してくれています。今治のベネチアと呼ばれているとかいないとか……。

地名にも城の名残

地名にも城があった頃の名残が見えます。

商店街の中に見つけた『旧町名 川岸端(かしばた)』を記した石碑。金星川沿いの地そのままの名です。

石碑側面に、外堀だった頃の金星川は17間(約31m)の川幅で、海から船を乗り入れていたと書かれています。このあたりがかつては豪商が軒を並べる町の中心地だったとも。

金星川の橋のひとつ『辰の口橋』の先にある『辰の口公園』の入り口には、『辰之口(たつのくち)』の石碑。
こちらは町名ではなくこの界隈の名前で、かつての侍屋敷と城下町の出入り口にあたる場所だったそうです。
公園には当時ここにあったであろう辰之口門を思わせる建物も見えますが(写真右手奥)……実は公衆トイレです!

今治銀座を通り抜けると、先ほど城の堀の水路を辿った時と同じ今治港の桟橋へ出ます。
城とつながる場所だったことが、はっきり感じられます。

こうして当時の名残を探して町を歩くと、今治城が今までよりずっと広く大きく感じられるようになりました。何気なく眺めていた町も、「ここも城の一部か」「当時の城下の賑わいは……」と想像が膨らみ、まったく違う景色に見えてきました。

今治城を訪ねる際は、ぜひこの町歩きもお楽しみください!

 
瀬戸内Finderフォトライター 矢野 智子


今治城
住所/愛媛県今治市通町3-1-3
電話/0898-31-9233
駐車場/あり
最寄り駅/JR今治駅
https://www.city.imabari.ehime.jp/museum/imabarijo/
ドンドビ交差点
住所/愛媛県今治市常磐町4丁目

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矢野 智子

矢野 智子

1970年、愛媛県今治市生まれ。松山市在住。 大学時代を京都で過ごした後愛媛に戻り、システムエンジニアとして年の半分以上は県外出張という旅人のような生活を20年近く続けました。 退職後、愛媛を紹介する本を友人と作ったことをきっかけに、自分の「夢」と愛媛の魅力を再発見。地元出版社で編集のイロハを学び、現在は自らを「ことばのデザイナー」と称しフリーで活動中。書く、作る、伝えることに力をそそいでいます。

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