愛媛県南部の大洲市河辺地区は、山深い秘境の渓谷で高知県との県境にも近く、坂本龍馬が土佐藩を脱藩する際に通った地区として知られています。
この川辺地区には、珍しい木造の屋根付き橋が8つあり、「浪漫八橋」と呼ばれています。
今回は、この浪漫八橋のうち、3つの橋をご紹介します。
まずは、「ふれあい橋」。平成3年に完成した新しい橋で、隣接する河辺ふるさと公園のシンボル施設として架設したものです。
車社会を迎え、次第に数が少なくなってゆく屋根付き橋の行く末を憂い、その文化を残したいと、地元の方々が公園整備と合わせて架設したものだそうです。
次に、「帯江橋」。こちらは年季が入った木造の橋ですが、近年、景観をよくするため、屋根をトタン葺きに葺きかえたそうです。
こちらは屋根の中の様子。もともと屋根付き橋は、雨露による腐敗防止策として建設されたものなのですが、今ではベンチやテーブルも置かれ、住民の憩の場にもなっています。
そして、三つ目が現存する浪漫八橋の中でも最古の「御幸の橋」。天神社の参道に架けられていることもあり、他の屋根付き橋とは別格の神聖な雰囲気の橋です。
屋根は切妻造の杉皮葺となっており、橋桁には杉材が、柱・欄干・踏板はケヤキ材が使用され、釘を一つも使用していません。
橋を渡る途中で振り返ります。秋の柔らかい陽射しも入り、木造の暖かみが感じられます。
橋を渡りました。実はこの橋こそ、坂本龍馬が脱藩する際に渡ったと伝えられる橋です。
周辺には、龍馬にまつわる石碑や案内看板も設置されています。
「御幸の橋」は、元は安永2年(1773年)に架設されたものですが、明治19年(1886)に大洪水が起こり、残念ながら流失してしまいます。現在の橋は、洪水のあった同年に氏子総代の石浦庄吉が棟梁となって完成したものと伝えられています。
周囲の紅葉した木々とも調和した「御幸の橋」。現在は愛媛県の「有形民俗文化財」にも指定されています。
屋根付き橋の景観は、山深い秘境に生きる人々の知恵の結晶でもあります。
坂本龍馬の「脱藩の道」にまつわる名所にもなっており、毎年9月には、わらじを履いて龍馬の足跡をたどるイベントの会場の一つにもなっています。
あなたも「御幸の橋」を渡りながら、坂本龍馬の脱藩を疑似体験してみませんか?
所在地:愛媛県大洲市河辺町北平
案内HP:http://www.oozukankou.jp/kanko-k.html
瀬戸内Finderフォトライター 松岡広宣
この記事が役に立ったらいいね!してね
関連キーワード
関連記事
この記事を取材したフォトライター
松岡 広宣
松岡 広宣/フォトライター 1974年生まれ、兵庫県西宮市出身、西宮市在住。メディアポリス株式会社 代表取締役。 ソーラー発電付きエコキャンピングカー【ソーラーキング号】で全国各地を訪れながら、日本の美しい風景をハイビジョン映像で撮影しています。 できうる限り全国くまなく歩き回って、貴重な日本の自然や風景を映像として後世に残していきたいと考えています。 日本全国を旅していますが、もちろん、地元の瀬戸内も大好きです! 「癒しの国 日本.TV」 ~ 日本全国を「癒しの映像」でバーチャル旅行 http://www.healing-japan.tv/
Hashtags
旬のキーワード