「えがおする」。
これはこの地方に古くから伝わる言葉で、「おもてなしをする」という意味。
訪れたお客さまを見送るときなどに、「えがわるかったねえ(おもてなしもできませんで)」などと使うこともあるそうです。
相手へのあたたかな心遣いや、謙虚さ。
そんな思いがこの言葉に宿り、時代を越えて受け継がれてきました。
そんな「えがお」でお客さまを迎えているのが、広島県庄原市惣領町で『和み亭』を営む和田芳治さん・和子さんご夫婦と、お友達の大原さん。
築200年の自宅の母屋を利用して、地元の旬の食材を使った「里山快席」(2500円/税込)などを楽しめる『和み亭』を営んでいます。
近所でとれた山菜や地元の野菜、川魚などをふんだんに使った料理は、彩りも鮮やか。
おすすめは「里山のご馳走五品盛り」。
裏山でとれた栗の渋皮煮、イタドリのきんぴら、アザミの煮しめ、ワラビのピクルスのワイン漬け、地元の川でとれたハヤ。
おいしさの秘けつを伺うと、「どこにでもある食材に、ちょっとひとひねり」。そう答えて和子さんはにっこり。
ワラビのピクルスをワインに漬けてみたり、味付けにコンソメやトマトソースなどを使ったり、日々いろんな試行錯誤を繰り返しているのだとか。
今年94歳になるお母さんの味を受け継ぎつつ、和子さんの「ひとひねり」が魅力的なスパイスになっている様子。
「どこにでもある」というのも、「この辺りならどこにでもある」ということで、むしろ普段はなかなか口にする機会がないものばかり。
山の恵みを上手にいただく、「里山暮らし」の知恵が息づく品々です。
そして『和み亭』の自慢が、ごはん。
『和み亭』では、ごはんをエコストーブで炊いています。
エコストーブとは、木切れ5〜6本を燃やしてごはんを20分程で炊くことができる、小型のロケットストーブのこと。
このエコストーブも、芳治さんの手作りです(開発者は西山憲昭さん)。
強力な直火で炊き上げたごはんは、ふっくら。
「いつも食べているごはんと違う!」と驚く人も多いのだとか。
今回は、裏山でとれた栗がどっさり入った栗ごはん。
「うちの栗ごはんは栗たっぷり。栗を食べているのかごはんを食べているのか(笑)」と和子さん。
そのほかにも、庄原の名産コンニャクのステーキ、芳治さんが自宅で作った薫製、庄原近辺でとれるハナビラタケを使ったお吸い物、和子さんの手作りりんごケーキなども。
お客さまの中には、お子さんの誕生会を毎年ここで開催する方もおられるとか。
広島県の最北西部に位置する庄原市は、美しい里山風景や、昔ながらの文化が息づく場所。
春にはセツブンソウ、初夏には新緑や蛍、秋には紅葉、冬には一面の銀世界が楽しめます。
豊かな自然と、おいしい料理と、心あったまるおもてなし。
第二のふるさとのような場所で、ゆったり過ごしてみませんか。
■里山会席/税込2500円
・里山のご馳走五品盛り•カボチャサラダ・柿なます・里芋しんじょう・コンニャクステーキ・くんせいたち・鹿肉の煮込み・栗ごはん・ハナビラダケの吸い物・香の物・りんごケーキとコーヒー ※内容は季節によって異なります
■和み亭
住所:広島県庄原市総領町木屋1000
電話:0824-88-2618
アクセス:中国自動車道 庄原ICから車で15分
営業:毎週土日月の昼食 ※3日までに要予約、2〜15名まで、1月・8月は休み
瀬戸内FInderフォトライター 宇都宮雪代
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瀬戸内Finder 編集部
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